富士山頂郵便局でしか味わえないお仕事と霊峰の魅力
夏の短期間だけ開設される富士山頂郵便局だが、その歴史は古い。1906年に富士山郵便局として吉田口および須走口寄りの八合目に開設され、1909年からは現在の場所である山頂に設置された。以来、ほぼ毎年夏の山開きシーズンに合わせて開設している。
街で見かける郵便局とは違い、営業時間は午前6時から午後2時まで。常時3名の社員が勤務しているという。
ここからは、富士山頂郵便局に勤務経験があり、現在富士宮郵便局に勤務する方々に山頂ならではの仕事について話を聞いた。
――富士山頂郵便局の勤務で大変だったこと、印象に残っていることは?
戸塚さん「富士山頂郵便局は泊まり込みの勤務になり、長い人で1週間勤める社員もいます。食事は自分で用意したレトルト食品が中心です。水が貴重であるため風呂はありません。大変な環境ですがほとんどの社員が良い経験になった、楽しかったと言っています」
加納さん「富士山頂は標高3700mを超えますので、高山病にかかりやすいです。頭痛のため深夜に起きてしまったことがあるんですが、外に出たところその日は無風で雲もなく、月明かりに照らされた剣ヶ峰を見た時はこの世とは思えない幻想的な雰囲気を味わうことができました。富士山頂でしかできない体験だったと思います」
――富士山頂郵便局ならではのサービスは?
加納さん「富士山頂郵便局で差し出していただいたはがきには通常の日付印ではなく、富士山頂郵便局の風景印を押印しています」
八木さん「手紙を日本一高い場所にあるポストから投函することで、登頂した日の風景印が押印されるので思い出に残るサービスだと思います。これは大変人気です」
また、富士山頂郵便局でしか購入できないグッズもあり、登山証明書、オリジナルフレーム切手は特に人気の商品だとか。
ちなみに、富士山頂で勤務したからこそ実感した最高の景色、おすすめの楽しみ方も伺った。
加納さん「やはり山頂である剣ヶ峰は是非登頂して欲しいです。そこから見る景色、達成感は良い経験になると思います。標高が日本一の山というのは死ぬ前に一度は登ってみたい山とよく言われますが、そこでしか見られない景色、登頂するまでの苦労、登った時の達成感など、その全てが詰まっていることが大きな魅力なんだろうと思います」
戸塚さん「富士山の山頂をぐるっと一周するお鉢巡りがお勧めです。遮るものがない単独峰なので、天気が良ければ富士五湖はもちろん、南アルプスや八ヶ岳などいろいろな名山が一望できます」
安易に楽しめる観光地じゃない!富士山はこう登れ!
今年の富士登山でも相次いで目撃されているという無謀ファッション。弾丸登山は今なお後を絶たないという。そこで改めて、富士登山をするときに大事なこと、気をつけてほしいことを教えていただいた。
八木さん「持ち込んだ物は持ち帰る。如何にゴミを出さないか、どうすれば環境を維持できるのかを考えて富士登山に備えて頂きたい」
加納さん「富士山頂は決して安易に行ける観光地ではありません。天気、高山病の備えから、登山経験、体力、脚力も必要です。初心者でも登れない山ではありませんが、情報をしっかり収集して大きなケガが命取りになることを理解したうえで安全登山を心掛けて欲しいです」
戸塚さん「登山マナーをしっかり理解して、他の登山者や山小屋関係者に迷惑をかけないよう事前準備をしてほしいです。特に天気予報には注意して天候に応じた装備をしてください」
富士登山は甘くない。舐めた態度で挑むことだけはやめてほしい。登山マナーと登山の基本を身につけた上で、日本一の体験を味わって欲しいもの。
間違っても、以下のような写真の格好だけはご遠慮いただきたいところだ。
取材協力
日本郵政株式会社
参考・画像提供
郵便局の魅力を発信するWebメディア「JP CAST」
日本郵政公式X
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文/太田ポーシャ