毎年、富士山の山開きの時期に期間限定で開設されている「富士山頂郵便局」をご存知だろうか?
それは『日本一標高の高い場所にある郵便局』。今年は7月10日から8月20日まで開設されたのだが、街にある郵便局同様、普通通常郵便物の引受や普通切手の販売も行われるという。
そんな富士山頂郵便局に勤務する社員は、あることに嘆いていた。それは、勤務中に実際に目にした「日本一の山を登るとは思えない無謀すぎる服装」だ。
「無謀富士登山ファッション」制作秘話
そして彼らはその想いをいくつかの画像に注ぎ込み、ありえない登山ファッションを世に知らしめた。
驚くほどありえない。登山素人の筆者でも理解できるほど無謀で自信過剰で自分勝手すぎるダメファッションの数々。
この「無謀富士登山ファッション」は、日本郵政が運営するWebメディア「JP CAST」で紹介され、SNSで一躍話題になったのだが、一体なぜ郵便局の社員たちが登山ファッションに警鐘を鳴らしたのか?
今回、日本郵政株式会社広報部の鈴木雄人さんに話を聞いた。日本郵政グループが「無謀な服装」を公開したワケ、そして富士山頂郵便局のリアルについても伺った。
――「無謀富士登山ファッション」制作の経緯を教えてください
「近年問題となっている弾丸登山や不十分な備えが原因となる事故が増えていることを受け、事故の予防や啓発を目的として作りました。無謀なファッションをあえて際立てて紹介し、一つ一つをしっかりと見て頂きたいと思ったんです」
先にも紹介した通り、これらのファッションは富士山頂郵便局の社員が実際に目撃したものばかり。
しかしなぜ、日本郵政が富士登山の注意喚起を行おうと思ったのか?
「富士山頂で実際に働く人のリアルな経験や情報を発信することで、それが事故予防や啓発に寄与するのではないかと考えました。そして、ルールやマナーを守り安全に富士登山を楽しみながら富士山頂郵便局にもお越しいただきたいという想いで実施しました」
話を聞くと、公開された無謀ファッション以外にも衝撃的な服装や信じられない出来事があるという。いくつか紹介しよう。
【今年、富士山頂郵便局の開設に携わった八木さんの目撃談】
「気温0度近くの午前5時にトレーニングウェアだけを着て、息を切らせ体中から湯気が発生している方を山頂で見かけて驚きました。おそらく富士登山駅伝の練習だったのかなと思われますが…」
【これまでに何度も富士山頂郵便局に勤務した戸塚さんの目撃談】
「自転車を持って山頂まで登ってきた方がいました。。。」
あえて言うが富士山の高さは3776mだ。日本一だ。当然酸素濃度も気温も平地より低く、足場もゴツゴツした道が続き山頂を目指すには過酷な道のりでしかない。なのに軽装って…。
ここで、富士登山の基本装備をご紹介したい。
・インナーは吸収性、速乾性に優れた機能性あるものを着用し、重ね着必須。
・変わりやすい天気や雨に備えて、雨具は必ず上下セパレートで脱ぎ着のできるレインウェアを着用。
・ザックにはザックカバーをつけるとより安心安全。
・ヘルメットやマスク、サングラスに加え、携帯用酸素ボンベや行動食、モバイルバッテリーなどの所持もおすすめ。
ちなみに今年の開山期間は9月10日(火)までの予定。登山のご予定がある方は今一度服装や装備のチェックをしていただきたい。