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精度は97.5%!脳活動を聞き取ってALS患者の「発話」が再び可能になる研究が成功

2024.09.03

ブレイン・コンピューター・インターフェースでALS患者の「発話」が再び可能に

新しいブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)によって、ルー・ゲーリッグ病とも呼ばれる筋萎縮性側索硬化症(ALS)により発話能力を失っていた患者が再び「話す」ことができるようになったとする研究結果が報告された。

このBCIは、脳の特定の部位に埋め込まれた微小電極アレイが伝えようとする言葉のシグナルを検出し、その情報をコンピューターが解読してテキスト化し、読み上げるという仕組みで、その精度は97.5%に達したという。米カリフォルニア大学デービス校脳神経外科教授のSergey Stavisky氏らによるこの報告は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に8月14日掲載された。

新たなBCIに関する研究に参加したのは、Casey Harrellさん、45歳だ。

研究参加当時、Harrellさんには四肢の不全麻痺が見られ、通訳者がいなければ発話もほぼ聞き取り不可能な状態であったという。当時のことをHarrellさんは、「誰かとコミュニケーションを取ることができないのはとてもフラストレーションがたまるし、やる気も失せる。まるで追い詰められたような感じだった」と振り返る。

Stavisky氏らは2023年7月、Harrellさんの脳の左中心前回(運動野の一部で、言語の調整を担当する脳領域)に4つの微小電極アレイを配置した。この電極アレイは、256個の皮質電極から脳活動を記録するように設計されている。

Stavisky氏は、「われわれが試みたのは、筋肉に指令を出している脳活動の記録だ。基本的には、脳活動を聞き取ってそのパターンを音素、すなわち音節や言葉の単位などに変換し、伝えようとしている言葉に変換しようとした」と説明する。

論文の上席著者である、カリフォルニア大学デービス校脳神経外科のDavid Brandman氏は、「これまでの音声BCIシステムでは言葉の間違いが頻発していたため、使用者の言わんとしていることを常に理解することはできず、コミュニケーションの妨げとなっていた。われわれが目指したのは、使用者が話したいときにいつでもその内容が理解されるようなシステムを開発することだった」と話す。

最初の音声データのトレーニングセッションで、このシステムは50語の語彙に対して99.6%の正確性を達成するのに30分かかったという。Stavisky氏は、「このシステムを初めて試したとき、Harrellさんは、自分が言おうとしている単語がスクリーンに正しく表示されるのを見て、涙を流して喜んだ」と話す。

2回目のセッションでは、Harrellさんの潜在的な語彙数は50語から12万5,000語に増加した。追加でわずか1.4時間のトレーニングデータを収集した結果、BCIは、この大幅に増加した語彙に対して90.2%の正確性を達成した。その後も32週間にわたり84回のデータ収集セッションが行われ、Harrellさんは248時間以上のコミュニケーションに従事した。その結果、BCIは最終的には97.5%の正確性を達成するに至ったという。

Brandman氏は、「この技術は、話したくても話せない人に希望を与える革新的な技術だ。このようなBCI技術が、将来的には、患者が家族や友人とコミュニケーションを取る助けになることを願っている」と語る。HarrellさんもBrandman氏に賛同し、「このような技術は、人々の生活や社会への復帰を助けてくれるだろう」と話している。(HealthDay News 2024年8月15日)

Copyright (C) 2024 HealthDay. All rights reserved.
写真:新しいテクノロジーを使って話そうとするCasey Harrellさん Photo Credit: UC Davis

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2314132

Press Release
https://health.ucdavis.edu/news/headlines/new-brain-computer-interface-allows-man-with-als-to-speak-again/2024/08

構成/DIME編集部

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