「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする居住環境で最も多いのは「道路や公共空間」
ホームレスに関する研究を行う国際的な機関“Institute of Global Homelessness”によるホームレス状態の定義等をもとに、1,902人に「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする居住環境を尋ねたところ、「道路やその他の公共空間」をイメージする(「する・ややするの合計」74.6%)という回答が最も多い結果となり、従来のホームレスの定義にあてはまる居住環境のイメージがやはり根強いことがわかった。
次いで、「24時間営業の商業施設(ネットカフェ・漫画喫茶・サウナなど)」(同56.3%)となった。続いて、「行政やNPOが一時的な支援として提供する個人に一定期間割り当てられた部屋」(同53.3%)という回答となり、ホームレス状態の人は道路や公共空間だけに居住しているわけではないというイメージを持っていることがわかった。
「メディア報道などを通じて『ネットカフェ難民』といった目に見えにくいホームレス状態が存在することへの認知がある程度広まったということなのかもしれません。ただ、まだまだ多様な『不安定居住』が世界的にはホームレスに含まれ、それに応じて多様な支援が必要であることへの理解が広まってほしいです。」(ダイバーシティサッカー協会担当者)という見解だった。
一方で、「友人や親戚の家」(同29.9%)などはホームレス状態のイメージが弱いこともわかった。「友人や親戚の家に間借りしているのは、居住環境を自ら選ぶ自由が制限されている状態だと考えられます。居住環境について自己決定できることは『適切な住居に住む権利』という人権の要件なので、それが満たされていないことは『ホームレス状態』とみなされます。」(ダイバーシティサッカー協会担当者)
イメージ調査の結果が上記であったのに対し、支援団体に「団体へ支援の相談をされる方で、不安定な居住環境にある方の居住環境」について尋ねたところ、あてはまる人が多いと回答した内訳は以下となった。道路やその他の公共空間にとどまらない、「広義のホームレス状態」を支援していることが見てとれる。
「24時間営業の商業施設(ネットカフェ・漫画喫茶・サウナなど)」…7団体
「友人や親戚の家(一時的)」、「民間が運営する安価な宿泊施設(カプセルホテル、ドヤなど)」、「行政やNPOが一時的な支援として提供する個人に一定期間割り当てられた部屋」…6団体
「道路やその他の公共空間」…5団体
「人の居住に適さない住居」、「暴力に晒されるおそれのある住居」…4団体
「行政が日毎に提供する臨時の夜間宿泊所」…3団体
「極端に人口過密な住居」…2団体
「国外からの難民や難民申請者、その他移民のための収容施設」、「家庭内暴力(DV)を理由に利用する避難所」…1団体
「ホームレス状態の人」がその状態に至った原因としてイメージされるもの1位は「倒産・失業」で約8割
「ホームレス状態の人」と聞いてイメージする人がその状態に至った原因としてイメージするものを尋ねたところ、「勤務先の倒産や解雇、事業の失敗による失業」が約8割(「する・ややするの合計」79.6%)と最も多かった。次いで「借金の返済など債務がある」(同73.0%)が7割以上となった。「アルコール依存症やギャンブル依存症を経済的な事情により生活が立ち行かなくなった」(同67.0%)という回答が続く。
また、「働くのが嫌」(同65.3%)や「本人が望んだ(望んでいる)」(同59.6%)についても約6割の人がイメージを持っており、いわゆる自己責任論的な原因に対するイメージも根強いことがわかった。
一方、イメージ調査の回答上位10項目に関して、支援団体の実感調査では、7団体全てが「心身の病気やケガなどで働けなくなった」に「あてはまる方がとても多い」と回答した。
この他に「あてはまる方が多い」(あてはまる方がとても多いと思う・あてはまる方がまあ多いほうだと思う)と7団体全てが回答した原因は、「精神障害(うつ病や統合失調症など)や発達障害(ADHDやASD)を抱えている」、「物価高騰など経済的な事情により生活が立ち行かなくなった」、「借金の返済など債務がある」「身元を保証してくれたり、サポートしてくれる存在がいない」となった。イメージでは1位になった「勤務先の倒産や解雇、自営業の失敗による失業」も6団体で原因として回答している。
また、イメージ調査と支援団体の回答でギャップがあった原因は「働くのが嫌」だった。前者は6割超であるのに対し、支援団体では1団体のみの回答に留まった。