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訓告処分と聞くと、なんとなく厳しい処罰をイメージする人も多いのではないだろうか。訓告とは懲戒処分のひとつだが、実はもっとも軽い懲戒処分として扱われることが多い。
本記事では、訓告とは具体的にどのような意味なのかを解説。学生・公務員・会社員における訓告処分の内容もまとめているので参考にしてほしい。
訓告とは
はじめに、訓告の意味と、戒告・厳重注意・訓戒など似ている言葉との違いを解説する。
■訓告の意味
おしえ告げること、いましめ告げることを訓告という。一般的には、企業や学校などで就業規則を守らなかった労働者や教員、あるいは校則を守らなかった生徒などに対し、厳重注意を与える懲戒処分のひとつとされる。
懲戒処分にはさまざまな処分があるが、中でも訓告は処分の内容がもっとも軽い。減給や降格、自宅謹慎などの処分は含まず、今後二度と同じ過ちを繰り返さない目的で注意喚起を行うことが多い。
■戒告・厳重注意・訓戒との違い
戒告、訓戒、訓告、厳重注意は企業による呼称の違いであり、処分の内容はいずれも同等と考えて良いだろう。ただし、企業によっては懲戒処分の段階を細かく定めているケースもあり、場合によって戒告などよりも訓告のほうが軽いこともある。
訓告処分に相当する行為例
学生、公務員(地方公務員)、会社員、教員それぞれの立場でよくある、訓告処分に相当する行為の例と、訓告処分の内容を解説しよう。
■学生における訓告
学校でも訓告処分を定めているところがある。例えばセクハラやストーカーなどのハラスメント行為、レポートや論文に関わる不正、試験での不正行為、路上での迷惑な喫煙、飲酒の強要などが挙げられるだろう。
もちろん学校の規則によって基準は異なるが、薬物の所持・使用、詐欺行為、暴行などは一発で停学や退学処分となるケースもある。
同じ規則違反でも、程度によって厳重注意や反省文の提出で済むケースと、そうでないケースがあるため注意しよう。
■公務員における訓告
公務員(地方公務員)においては、職務上の義務違反や非行が認められる場合に訓告処分を行うことがある。具体的には、軽度のハラスメント行為や、単発での無断欠勤、業務上中程度のミスなど。
■会社員における訓告
会社員における訓告の基準や処分の内容は、企業によって異なる。一般的には、遅刻・欠勤・早退などを繰り返す勤怠不良や、軽度のセクハラ・パワハラなどのハラスメント行為、不適切な言動などが該当する。
訓告処分を受けた場合、基本的には、口頭や書面での注意喚起が処分内容となる。ただし、企業によっては人事考課の査定に影響し、昇給が遅れたり、結果として減給に繋がったりする可能性もあるだろう。
■教員における訓告
教員における訓告の基準や処分の内容も、学校法人によって異なるが、戒告よりも軽い懲戒処分として取り扱われることがある。例としては、職務上の秘密の漏洩や、個人情報の紛失・盗難、軽微な体罰、公金・公文書の紛失などが挙げられる。
教員においては、文書や口頭にて厳重注意を行うのが一般的だ。
訓告を適切に行うために
訓告は懲戒処分の中でもっとも軽い。しかし、不当に訓告処分を実行することは、裁判などの大きな問題に発展する可能性もある。実際に、訓告処分に納得のいかない従業員が訴訟を起こしたケースも多い。
訓告処分を実行する前に以下のポイントに注目し、適切な処分を行えるようにしよう。
・懲戒処分に関わる規則を整備する
・客観的な事実確認を徹底する
・弁明の機会を与える
・訓告処分の公表は慎重に検討する
一つずつチェックしよう。
■懲戒処分に関わる規則を整備する
訓告処分を適切に下すには、根拠となる規則を整備する必要がある。懲戒処分の基準、種類、処分の内容まで丁寧に見直そう。過去に処分の実例があれば、実例を掲載するのも有効だ。
■客観的な事実確認を徹底する
対象者の問題が発覚した際は、私情や立場に関係なく客観的な事実確認を徹底することが重要だ。規則と照らし合わせた上で、訓告処分に相当する問題であるかを慎重に検討しよう。
■弁明の機会を与える
対象者の事実確認を行ったあとは、処分の適切性を確認するために弁明の機会を与えるのが一般的。弁明方法の例としては、書面の提出や面談による事情聴取などがある。
弁明をきっかけに新たな事実が判明することもあるだろう。弁明の内容が合理的であれば、追加で調査をするなどして、本当に訓告処分が適正であるかを再確認しよう。
■訓告処分の公表は慎重に検討する
訓告処分を行った事実を社内に公表すると、対象者のプライバシーや名誉権の侵害に該当する可能性がある。訓告は比較的軽微な規則違反が対象であることから、以下のような根拠に該当しない限りは公表しないことが望ましいだろう。
・就業規則の中で、訓告処分の実行を公表する旨の記載がある
・訓告処分の公表において客観的・合理的な理由がある
・社会通念上相当と認められる
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部