世界最大規模の世論調査会社であるイプソスでは、2024年11月に行われるアメリカ大統領選挙に伴う米国内の世論調査を継続的に実施している。
今回は、同社がアメリカ時間8月16日に発表したリポートの概要を日本語版リリースを元にお伝えする。
「勢い」のハリス、「争点」のトランプ
2024年8月19日から8月22日まで民主党全国大会が開催されたが、今回のリポートでは、2024年の選挙の最終段階に向けての基礎的な状況を示す5つのグラフが紹介されている。
カマラ・ハリス副大統領が2024年の選挙に参戦したことで、選挙戦は一変した。彼女の好感度は上昇し、民主党員の間で熱狂が高まっている。
もし今回の選挙が純粋に「雰囲気」に基づいていたとしたら、勝利は完全にハリス氏側にある、と同リポートは分析する。
しかし、基本的な争点では、別のことを物語っているという。
1.熱意が高まる
当初、バイデン氏の討論会での惨憺たるパフォーマンスと暗殺未遂事件の後、トランプ氏は優勢に立った。事態はトランプ氏にとって確実なものと思われた。
しかしバイデン氏の退場以降、状況は変わってきている。
ハリス氏は民主党員の熱狂的な支持の高まりにより、世論調査で急上昇した。
2.激戦州が揺れた
激戦州における世論調査の平均では、バイデン氏に対してハリス氏では、わずかではあるが、注目すべき変化が見られた。
まだ互角程度で推移しているものの、いくつかの激戦州では現在ハリス氏が有利になっている。ただし今後も注視が必要だろう。
3.変人攻撃の行方
民主党がトランプ氏とその副大統領候補であるJDヴァンス上院議員を「変人」と呼ぶようになって以来、このスローガンは定着している。常に重要な無党派層を含む多くのアメリカ人が「変」という言葉からハリス氏よりもトランプ氏を連想している。
しかしこの戦略は票につながるかどうかはまだわからない。
4.主な争点ではトランプ氏が有利
もし今回の選挙が「雰囲気」だけなら、ハリス氏が主導権を握っていただろう。しかし経済などの基本的な問題も重要である。
そしてここではトランプ氏がリードしている。主要な争点に強い候補者が85%の確率で勝利することを忘れてはならない。
今回の争点は経済である。ハリス氏が有利に傾くにはさらなる前進が必要だ。この点については、経済に関する各陣営の相対的な効果に注目したい。トランプ氏はこの強みに焦点を当てるだろうか?
今のところ彼はそうしていない。ハリス氏はこの重要な問題に焦点を当てるだろうか?彼女は物価水準を攻撃するポピュリスト的な政策を打ち出したばかりだ。
最終的にはこの選挙はこの争点で勝敗が決するだろう。
5.バイデン氏の支持率はハリス氏の足を引っ張るか?
イプソスの支持率モデルによれば、支持率が40%程度の場合、現職大統領の再選の可能性はほぼ五分五分である。同じ支持率の場合、後継者の立場はずっと悪くなる。