400点のリアル付録と出会える
学研の「科学と学習」シリーズ60周年を記念した付録展が7月13日~9月1日まで「IMAGINUS」で開催される。過去の付録を巨大化・再現した展示が特徴である。顕微鏡、鏡の遊び、アニメーション、風速計、ピンホールカメラなど、実際に触れて科学の原理を学べる体験が可能となっている。また、約400点の実物の付録も展示される。
元学校を改装して作られた科学体験施設「IMAGINUS」(イマジナス)は杉並区高円寺駅から徒歩5分
巨大顕微鏡の周りで付録体験
展示会場は、プレス関係者や招待客のみが入っているため、まだ静かである。今回は実際の付録をテーマにした展示物が多数配置されており、訪問者は20分程度で館内を一巡できる。イマジナスの広報担当 池田夏子さんが展覧会場を案内してくれた。
この展示会は、学研が初めて公式に協力したもので「科学と学習」シリーズが昨年60周年記念として企画された。展示の最初のポイントは、かつての「科学」付録の顕微鏡だ。付録をテーマに新たな展示物を作るのは学研としても初めての試みで、フォトスポット用にこの巨大顕微鏡が作られたという。
「巨大顕微鏡の周りには5台の付録顕微鏡があり、ヘチマの茎などが観察できるようになっています。倍率は50倍から150倍で、スマホのライトを反射鏡にあてると、より鮮明に見られます」と池田さん。現在と比較して大きく性能は変わっていないが、当時の子供たちにとっては画期的なものだった。
巨大な顕微鏡が迎えてくれる。実際に付録だった顕微鏡を元に作られた記念撮影用のオブジェである
再構築された付録で科学体験
次に、鏡を使った展示が紹介された。参加者は、鏡を配置して学研まんが・ひみつシリーズのピッポくんというキャラクターを鏡に映す。「光実験ミラーキューブ」と呼ばれる付録をアレンジした大型版が体験できる。キューブの中には45度にセットされた鏡があり、これを並べて覗いた時にピッポくんが見えるようにするのだ。ブロックの数が増えると大人でも難しい。
特に興味深いのは、鏡を通じて像が増えるという合せ鏡の展示だ。例えば、鏡を90度の角度で配置すると4人分の像が見え、60度では6人、30度では12人の像が見える。これは、角度と像の数が360度で割り切れるという法則に基づいており、科学的な原理を学べる内容である。
他にも、歪んだ絵や文字が鏡やレンズを通して元の形に戻るという展示もあり、レンズの仕組みを理解できるようになっている。このように、展示物の多くは、実際に学研が過去に発行した付録を元にしており、その巨大化した展示物を通じて、科学の仕組みを楽しみながら学べるよう工夫されている。
ピッポくんと組み合わされた大型版のミラーキューブは誰でも体験できる
円筒形の鏡を使って見られるゆがんだ絵「アナモルフォーシス」も展示されていた
こちらはレンズを使った展示で、拡大や縮小など様々な見え方を体験できる
さらに、参加者は昔のアニメーションの仕組みを体験することもできる。1984年に学研が発行した「びっくりアニメ」という付録が紹介されており、回転する円盤を覗くことでアニメーションが再生される。この体験を通じて、見えなくなる瞬間があることで動きが生まれるというアニメーションの基本原理を学べる。また、風速計の展示では、風の強さを測定する体験ができる。参加者が息を吹きかけると、計測装置が動き出し、風速が表示される。昔の学習付録としては一般的で、展示されているものは、1960年代のものから現代のものまで幅広くカバーされている。
アニメーションの原理を説明するためのスリット入りの手回し円盤
現在も発売されている羽が回ると風力が数字で表示される風速計。2001年には発電機を内蔵してLEDが点灯するタイプが登場した