「ですので」は正しい敬語表現なのか、迷う方も多いのではないでしょうか。「ですので」は「なので」を丁寧に表現した接続詞であり、上司や目上の人にも使えます。ただし、使う際は間違いやすい点があるため、気をつけてください。本記事では、正しく使うルールや例文、代わりに使える言葉をご紹介します。
目次
「ですので」は、ビジネスシーンでもよく使われる表現です。便利な言葉ですが、使う際にはいくつか注意したい点があります。
今回は、よく使う表現の正しい使い方を整理していきましょう。
「ですので」の意味は?
「ですので」の意味や注意点をみていきましょう。
■「なので」を丁寧にした接続詞
「ですので」は、「なので」を丁寧に表現した言葉です。文章をつなぐ役割があり、主に会話で使われます。「〇〇という理由ですので、〇〇ということです」というように、理由と結果をつなぐために使います。
「ですので」は丁寧語のため、上司や目上の人に使っても問題はありません。ただし、使い方にはいくつかのルールがあります。正しく使わないとマナー違反になる可能性もあるため、注意してください。
■「ですので」を使うときは注意が必要
「ですので」は丁寧な表現であるため、ビジネスのさまざまな場面で使われます。しかし、使い方を間違えると失礼になることもあるため、ルールを正しく理解しましょう。
文頭に使用しない
「ですので」は文章をつなぐ表現で、文のはじめには使用しません。「ですので、〇〇ということです」というように、「ですので」を最初に使うのは誤りです。
文頭に使うと、相手がわかっていないことを責めるようなニュアンスがあり、不快を与える可能性もあります。
文頭に使ってしまうと、「だから」と混同している可能性もあります。「ですので」は「だから」を丁寧にした表現ではなく、文章を区切って「だから」という意味合いで使いたいときには、「そのため」「ですから」といった指示語を使うのが適切です。
書類やメールでは使わない
「ですので」は基本的に会話で使う表現で、書き言葉ではありません。ビジネスにおける正式な文書や、メールでは使わないようにしてください。
社内では、同僚や後輩とフランクなやりとりをする場合は使っても問題ありませんが、上司に対しては使わない方がよいでしょう。
書き言葉では、文章を区切って「従いまして」「そのため」を使うのが一般的です。
「ですので」の使い方・例文
「ですので」の使い方について、例文をみながら確認しましょう。
・こちらの件は少し時間がかかりそうですので、あらためてご連絡します
・台風のため本日は臨時休業ですので、恐れ入りますが明日以降にお越しください
・せっかくですので、お言葉に甘えさせていただきます
・交渉が長引いているようですので、契約の締結は少し先になりそうです
・会議の時間が始まるようですので、お急ぎください
・こちらは社員の出入り口ですので、正面からお入りください
・雨が降りそうですので、足元にお気をつけてお越しください
・〇〇さんはご病気ということですので、本日の会議は欠席になります
・明日は定休日ですので、明後日以降にお起こしください
・ここからは立ち入り禁止ですので、こちらの入口からお入りください
「ですので」の言い換え表現
「ですので」には言い換え表現があるため、シーンごとに適切な表現を選んで使うとよいでしょう。
ここでは、会話・文章・敬語について、「ですので」の言い換え表現をご紹介します。
■会話での言い換え
会話で文と文をつなぐ接続詞は、「ですから」「つきましては」という言い換えができます。
「ですから」「つきましては」
「ですから」は「ですので」と同じく、前の事柄に対して結果となることを示す表現です。
文頭で使用できない「ですので」に対し、「ですから」は文頭でも使えます。
ただし、文頭に使う場合は強いニュアンスになるため、使用する際は注意が必要です。
(例文)
・電車の復旧に時間がかかるようですから、出社が2時間ほど遅れます
・ですから、お約束した日時に伺うことは難しいようです
「つきましては」は、「ついては」を丁寧にした接続詞で、「ですので」の言い換え表現になります。先に述べた事柄の結果として、次の事柄が起こることを伝えるときに使います。
(例文)
・今回の件につきましては、多くの方からお問合せをいただいております。のちほど、詳しく説明させていただきます
・来月〇月〇日にセミナーの開催を予定しております。つきましては、以下の日程からご都合の良い日時をお知らせください
■文章での言い換え「そのため」「従いまして」
「ですので」は書き言葉ではなく、とくに正式な文章では使えないため、言い換え表現を使いましょう。書き言葉としては、「そのため」「従いまして」という表現に言い換えることができます。
「そのため」は、前の内容を受けて、あとに続く文を続けるために使う表現です。書き言葉であり、ビジネスシーンの文書にも広く使えます。
ビジネスでは、事実と結論を明確に関連づけることが大切であり、「そのため」は、前提となる事実とその結果を論理的に結びつける役割をします。
(「そのため」を使った例文)
・売上が昨年比で10%増加しました。そのため、今期の予算を増やすことが可能です
・明日は新商品の発表会を控えています。そのため、本日中にすべての準備を整えなければなりません
「従いまして」は「従って」の丁寧語です。前に述べた事柄の結果として、あとの事柄が起こることを伝えるために使います。「つきましては」よりも、かしこまった表現になります。
(「従いまして」を使った例文)
・昨日の地震の影響により、道路状況が悪化しております。従いまして、商品のお届けに遅れが発生しています
・弊社の発注ミスが原因でございます。従いまして、発生した損害はすべて弊社で負担させていただきます。
■敬語での言い換え「ございますので」「ございますから」
「ですので」は丁寧語ですが、さらに敬意を強めたいときは「ございますので」「ございますから」を使います。その際は、あとに続く文章も丁寧な表現に変えることが大切です。
「ございますので」の「ございます」は、「です」「ます」を丁寧にした表現です。補助動詞として使い、「〜でございます」や「〜にございます」というように助詞が変化します。
(「ございますので」を使った例文)
・今回の展示は10年ぶりという貴重な機会でございますので、ゆっくりとご覧いただければ幸いです
・こちらの件につきましては詳しい資料がございますので、さっそくお送りさせていただきます
「ございますから」も「ございますので」と同じく、「ですので」をより丁寧にしたいときに使える言い換え表現です。
(「ございますから」を使った例文)
・雨が降っているようでございますから、こちらの傘をお持ちになってください
・せっかくの機会でございますから、工場の様子も見学されたらいかがでしょうか
「ですので」の使い方を覚えよう
「ですので」は、「なので」を丁寧にした表現の接続詞です。会話で使う言葉であり、ビジネスシーンの正式な文書やメールで使用するのは避けましょう。また、文頭では使用できないため、注意してください。
「ですので」は、会話や書き言葉でそれぞれ言い換え表現があります。より丁寧にしたい場合の敬語表現もあるため、場面に応じて使い分けるとよいでしょう。
「ですので」の正しい使い方を覚え、ビジネスシーンで適切に使用してください。
構成/須田 望