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自分の発言や行動が原因で、身動きが取れなくなってしまった経験はありませんか?それは『自縄自縛』に陥った状態と考えられます。『自縄自縛』の具体的な意味、どんなときに使われるのかを、例文・類語とあわせて解説します。
自縄自縛とは
自縄自縛(じじょうじばく)という言葉を耳にしますが、その意味を的確に答えられる人はそう多くありません。自縄自縛とは、縄で自分自身を縛り付けた状態を比喩的に表す言葉です。具体的にどのような状態を指すのか、見ていきましょう。
■自分の発言や行動で身動きが取れなくなるさま
自縄自縛とは、自分の発言や行動が原因で、自由に行動できなくなってしまうことを指します。まるで自分で自分の体を縄で縛り付けてしまったかのように、身動きが取れない状態になるのです。
例えば、自己保身のためにうそをつき、そのうそに合わせた設定しか話せなくなるような状態が該当します。
また、近所の家の前が汚れているとしつこくクレームを入れたばかりに、各自が家の前を毎日掃除する規則ができてしまい、自分自身も毎朝掃除をしなければならなくなったという状態も自縄自縛といえるでしょう。
例に挙げたように、自縄自縛は自分の発言や心掛けが招いた窮屈な状態を表す言葉です。
自縄自縛の使い方や例文
自縄自縛は具体的にどのような場面で使われるのでしょうか。言葉の使い方と、例文を紹介します。
■自分の状態や注意喚起、戒めの際に使う
自縄自縛は、自身の状態を表すだけでなく、自分や他者に向けた注意喚起・戒めの際にも使います。
例えば、「自分の発言のせいで、身動きが取れなくなってしまった。まさに自縄自縛だ」といった具合です。自分の行動や発言が原因で、窮地に陥ってしまった状況を表現する際に使われます。
また、他人に対して「そんなことばかり言っていると、自縄自縛になるぞ」と忠告する際にも用いられます。
■自縄自縛の例文
自縄自縛を使った例文をいくつか見てみましょう。
- 彼は彼自身の発言がきっかけで自縄自縛に陥ってしまった
- あの政治家は、選挙前の公約が自縄自縛となって、適切な政策の実行が難しくなっている
- 彼女は、衝動的な行動で自縄自縛になることが多い。もう少し落ち着いて行動すればいいのに
いずれも、自分の発言・行動が原因で身動きが取れなくなってしまった状況を表しています。
基本的には悪い意味で使われることが多いため、他人に対して使う場合は注意が必要です。
自縄自縛の類語
自縄自縛には、似た言葉や慣用句があります。これらの言葉はいずれも、自分の発言や行為が原因で、後になって自分に悪い結果をもたらすことを表現するものです。言葉の使い分けや、意味の違いを把握しておきましょう。
■身から出たさび
『身から出たさび』は、自分の行動や発言が原因で、自分に不利益や困難が生じることを意味する言葉です。また、その不利益や困難は自らの行いに原因があり、自分自身の責任であるという戒めも込められています。
悪い環境を放置しさびが出てしまい手入れに苦労する状態のように、自分の発言・行動が招いた結果に苦しむ様子を表現しているといえるでしょう。
例えば、会社の同僚の悪口を周囲に吹聴し、それが本人の耳に入ってしまい、人間関係が悪化してしまった場合などに使われます。自分の悪い発言が原因で、自分が不利な立場に立たされるので、まさに『身から出たさび』といえるでしょう。
また、身から出たさびは自らの怠慢で不利益が生じた際にも使われます。睡眠不足や栄養の偏りを無視して放置し続け、病気になってしまったようなケースも、該当するでしょう。
■付けが回る
『付けが回る』は、自分の行いが原因で後になって自分に悪い結果をもたらすことを意味します。
『付け』とは、請求書払いを意味する言葉です。請求書払いは、その場でお金を支払う必要がありません。しかし、後から請求書が回ってきて、支払わなければならなくなります。
支払いを後日に回し、支払わなければならないものが増えてしまった状態が『付けが回る』です。
お金のことから転じて、その他の一般的な不利益が生じたときにも使われます。例えば、学生が勉強をサボっていると、就職活動や進学が近づいてきたときに慌てて勉強をしなければなりません。これは、勉強をサボったという自分の行動によって『付けが回る』典型的な例です。
■自業自得
『自業自得』は、自らの行いによる結果を表す言葉です。自縄自縛のように自らを縛り付けるような意味はありませんが、自分の行動が招いた報いを受けることを意味しています。
例えば、会社でミスを隠蔽していると、後になってそのミスが発覚したとき、信用を失ってしまうでしょう。 これは、ミスを隠蔽するという自分の行動が、最終的に自分の立場を悪くする結果につながる例といえます。
自業自得は『良くないことをすると良くない結果が自分に返ってくる』という悪い意味を指すケースが多いものの、元々の語源である仏教用語では善悪の区別はありません。
■因果応報
『因果応報』は、自分の行いの善悪に応じて、それ相応の結果が返ってくるという考え方を表す言葉です。自分の行動が招いた報いを受けることを意味しています。
悪い意味で使われる自縄自縛とは違い、良い行いと悪い行いどちらにも使う点が特徴です。
例えば、人をだますと、いつかは自分もだまされる番が回ってくるかもしれません。悪事を働けば、巡り巡ってその報いを受けるという例です。
反対に、日頃から人に親切にしていれば、困ったときに周りの人が助けてくれるかもしれません。 これも、良い行いが自分に良い結果をもたらす例だといえます。
悪い報いを受けないためにも、日頃から善行を心掛け、悪事は慎むことが大切です。
自縄自縛にならないよう気を付けよう
自縄自縛とは、自分の発言・行動が原因で自由に動けなくなることを指します。この言葉は、自分の縄で自分を縛る様子から生まれたものです。
似た言葉には『身から出たさび』や『付けが回る』などがあり、一般的に悪い意味で使われます。使い方を覚えておくと、身動きが取れない自らの状態や周囲の状況をうまく伝えられるでしょう。
自縄自縛に陥らないためには、発言・行動に十分気を付けることが大切です。
構成/編集部