エントリーモデルのarrows We2とミドルレンジのarrows We2 Plus
端末の発表自体は5月に行われているため、既出の情報かもしれないが、改めて両端末のスペックや機能についても紹介しておこう。
まずは2モデル共通の機能、性能について。arrowsシリーズの特徴といえば、長年使いやすい堅牢性や、使い勝手のよい独自機能があげられるが、これらはレノボ傘下になった新モデルでも、しっかりと踏襲されている。
ディスプレイはFCNT独自の品質となっており、高さ約1.5mから26方向でコンクリートに落としても、画面が割れにくい耐久性を持つ。1.5mは、日本人男性の平均身長で、通話のためにスマホを耳に当てたときの高さとのことだ。
また、本体は米国国防総省の調達基準であるMIL規格の23項目に対応しており、IPX5/IPX8の防水性能、IP6Xの防塵性能に対応。ハンドソープでの丸洗いや、アルコール除菌にも対応しており、スマホを清潔に保てる。
arrowsの独自機能として、指定の場所からスライドするだけで、登録したアプリや機能を起動できるスライドインランチャー、指紋認証時に設定したアプリをそのまま起動できるFASTフィンガーランチャー、ロックの解除をしなくても音声録音やメモが取れるFASTメモもしっかりと踏襲。
加えて、電源ボタンをなぞって画面のスクロール、ダブルタップで最大5倍まで画面の拡大ができる「Exlider」が復活。片手での操作がしやすいのに加え、Webサイトに掲載されている広告の誤タップを避けやすくなるといったメリットがあり、ユーザーの人気も高い機能だ。
端末別にみると、arrows We2は約6.1インチで解像度HD+のディスプレイを搭載。大きすぎず、小さすぎない、取り回しの良いサイズ感。搭載チップセットは、FCNTでは初採用となる、MediaTek製のDimensity 7025。前機種と比較して、CPUは約30%、GPUは約18%のパフォーマンスが向上。搭載メモリは4GBだが、ストレージの一部をメモリとして活用する仮想メモリが4GB分追加できる。ストレージは64GBで、外部SDカードも利用可能。
また、通話中に還付金詐欺に関するキーワードを検出すると、注意喚起や通話相手へのけん制を行う機能や、見知らぬ番号からの着信板石、通話録音を相手にガイダンスしてから録音、通話後にはユーザーに注意喚起を行う機能など、近年の詐欺に対する独自機能も搭載されている。
カメラにはarrowsシリーズ初の光学式手振れ補正機能も搭載。暗い場所でも明るい写真が撮影できる「Super Night Shot機能」と合わせ、有用な進化ポイントだ。
arrows We2 Plusの注目機能として外せないのが、世界初の自律神経測定機能。カメラの下に配置されているセンサーに指を置くことで、自律神経を計測、数値化できる。
数値は「自律神経パワー」と称され、交感神経と副交感神経のバランスや、これまでの推移をアプリから確認できる。自律神経を整えるためのアドバイス、チャレンジ項目なども表示されるので、意識的に体の状態に目を向けやすくなっている。
実際に試したところ、計測には2分かかるが、毎日の日課として、起きた直後や寝る前に計測し、体の状態をしっかりと言語化してくれるのは有用に感じる。難しい操作もいらないので、多くの人に試して欲しい新機能だ。
ディスプレイは約6.6インチで、メモリ8GB、ストレージ256GBとなる。大きめの端末だが、質量は約182gと、比較的軽量な仕上がり。搭載CPUはSnapdragon 7s Gen 2となっている。
コスパと独自機能を突き詰めた新端末で再起を図るFCNT
レノボ傘下となったFCNTとしては初のスマホとなったarrows We2、arrows We2 Plusは、arrowsならではの独自機能をしっかりと踏襲しながら、中国メーカーとも対抗できるコスパに優れた端末にまとまっている。
また、FCNTとしては、「らくらくスマートフォン」の開発についても予告。2024年度中の発売を目途としている。前機種であるarrows Weが日本国内でのAndroid歴代出荷台数1位と記録的なヒットをしながらも、事業の継続が難しくなってしまったことを受け、今後はレノボのもと、収益性も細かくチェックし、いずれは海外市場への展開も目指すとのこと。
これまでFCNTが築いてきたプロダクトプランニングやマーケティングに、レノボのサプライチェーンなどを掛け合わせた相乗効果にこれからも目が離せない。
取材・文/佐藤文彦