過程ではなく、結果にフォーカスしよう
さて、前述のケースではなく、きちんと目標達成を目的としたうえで、それでも頑張りすぎてします場合。まずアナタに必要なのはタスクと対応するリソースの配分を冷静に見直すことです。あれもこれも完璧にこなそうとすると、前述したように完璧にこなすことや頑張ることばかりに意識が向いてしまい、どこかで歪みが生まれてしまいます。力を抜いた結果ミスをするのは避けたいですが、結果を出せば手を抜けるところは手を抜いても責められることではないです。これは断言します。間違いないです。
毎日手作り料理ではなく、自分を労るためにたまに外食にしたり、レトルト食品に頼ってみたり……たまに手を抜くくらいがちょうどいいと思いませんか?
しかし、これが仕事になると、途端にできなくなる人がいます。
失敗を過度に恐れているのか、ただの完璧主義者なのか。
いずれにせよ、覚えておいてほしいのは、人がアナタの仕事を評価する順番。ざっくりと説明すると「(1)結果の評価」→「(2)過程(アナタがかけた労力)の評価」→「(3)課題の評価」の順番です。そして、(2)(3)に焦点が当たるのは(1)が悪かったもしくは当初予定した結果よりも悪かったときです。
「結果は出なかったけど、頑張っていたし……今回はね」みたいなことを経験したことはないですか? しかし、これは本当にダメだったときの救済措置的なもので、本来は結果が良ければ、とりあえずそれでOKとなるのです(もちろん後に結果の検証も必要ですよ!)。
そのため、頑張りすぎてしまう人は、足元だけに注目するのではなく、目指すべき結果から逆算して必要な労力やタスクを可視化してみましょう。ゴールが見えるようになったら走るコースの全体像も見渡せるようになるでしょう。もしかしたら今より余裕が生まれるようになるかも知れません。視野が広がることによって、1人で抱える必要のないタスクだとわかったり、タスクの優先順位が見えるようになるかも……。
「目標の見える化」。ぜひ口に出して、意識するようにしてください。
何か努力をするのは、すべて「結果を出すため」。その本質を見落としてしまうと、いたずらに精神と体力を消耗してしまうので注意が必要だ。
頑張りすぎると一生の病に……テキトー力を身につけよう
物事に全力で取り組むことができるのは、ある意味でその人の長所です。
一方で、自分の実力や体力、精神力もわかっていない状態で全力を出し続けると、必要なときに力を使えなくなってしまいます。うつ病は怠け病などと言う人もいますが、実はその症状は真面目な頑張り屋さんの方に多くみられるそうです。
どんな物事でも、必ず成功するとは限りません。
今こそテキトー力を身につけましょう。
結果も出しつつ、自分も無理せずに……いきなり力を抜いてチャレンジすることは難しいかもしれませんが、誰かに仕事を任せてみたり、目標のハードルを下げてみたり、今の状態の自分をまずは素直に褒めてあげたり、さまざまな方法を用いて、もっと人生のハードルを下げてもらえればと思います。力を入れることとまた同様に、力を抜くこともまた難しい……そう気付いているだけでも、少しは心がラクになるかもしれません。
犯罪学教室のかなえ先生
元少年院の先生で、犯罪心理学や教育犯罪学の知見からニュースなどを解説するVTuber。近著に『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』。
©夢乃とわ SDイラスト/紀羅わたり
※「教えてかなえ先生」は、雑誌「DIME」で好評連載中。本記事は、DIME9・10月号に掲載されたものです。