バイオメタネーション
食品廃棄物(生ごみ)は、世界中の社会問題。大阪ガスは、そんな食品廃棄物を資源として活用して都市ガスを生み出す実証実験を行なっている。その仕組みを説明しよう。スーパーマーケットを展開するライフコーポレーションから出る生ごみを微生物の力を使って発酵させ、バイオガスを取り出す。その後、グリーン水素と微生物を用いる「バイオメタネーション」を実施、さらに触媒で化学反応させる「サバティエメタネーション」を経ることで、都市ガスとして使える純度の高い合成メタン(e−メタン)を作り出すのだ。
2025年開催の大阪・関西万博では、こうして作られたガスを迎賓館の厨房などへ供給する予定だ。カーボンニュートラルのクリーンな都市ガスを用いて作られた食事で、海外の要人らをもてなすというわけだ。
この取り組みは、環境省委託事業であり、大阪市環境局の事業協力の下で行なわれている。大阪広域環境施設組合の舞洲工場のメタネーション実証設備では、1日1tの生ごみを処理しつつ、1時間に5立方メートルのe−メタンを生産する。以上のメタン生産プロセスは大阪・関西万博での実証を経たのち、2030年の実用化を目指すとしている。
バイオテクノロジー事業は近年その技術が商業レベルの段階に到達し、世界各国でバイオ関連企業が頭角を現わすように。大阪ガスに追随する動きが、今後活発になっていくだろう。
生ごみ由来のCO2を活用したメタネーションの仕組み
バイオガスの原料として食料廃棄物を使うと同時に、水素の製造には再生可能エネルギーが用いられる。そのため、水素の製造過程におけるCO2排出は抑えられる。
大阪・関西万博の会場でも稼働※
食品廃棄物から作り出されたe-メタンは、迎賓館の厨房で用いられる予定となっている。
取材・文/澤田真一
※環境省委託事業「既都市部における再エネ由来水素と生ごみ由来バイオガスを活用したメタネーションによる水素サプライチェーン構築・実証事業」