爆速新幹線計画
8月12日から17日まで、北海道新幹線の一部列車が青函トンネル内を時速260kmで運行。所要時間が短縮される。
青函トンネルは新幹線が260kmで走行できるよう設計されている。だが、トンネル内は貨物列車も走るため、全速で走るとすれ違う際の風圧でコンテナにダメージを与えることから、通常は時速160kmで運転されている。
今回の走行は貨物の輸送需要が減るお盆休み、昼間の貨物列車を運休しても影響が少ないことから行なわれる試験的な取り組みだ。
短縮時間は5分。なぜ5分のために貨物列車を止めてまで高速行をするのか。鉄道ジャーナリストの梅原 淳さんに話を聞いた。
「青函トンネルでは、以前から貨物需要の少ない時期に一部の新幹線で高速走行を行なっています。以前は時速210kmでしたが、今年のゴールデンウイークから時速260kmに。これは札幌まで開業した時、東京〜札幌を5時間以内で結ぶための布石でしょう」(梅原さん)
札幌まで建設中の北海道新幹線は、時速320kmで走行できるよう工事が進む。また時速260kmで設計された東北新幹線(盛岡〜新青森)も時速320kmで走れるよう、改良工事がなされている。工事が完了し、青函トンネル内が時速260kmで運行されることになれば、東京〜札幌間を4時間45分ほどで結ぶことが可能となる。
「新千歳空港は札幌の中心部から遠いので4時間45分であれば、東京〜札幌の利用者を新幹線に取り込むことが期待できる。高速化の大きなネックが青函トンネルなので、何度も貨物列車を止めて高速走行を行なうのです」(梅原さん)
東京〜札幌は世界屈指の運航本数を誇る飛行機の利用者が多い区間。爆速化が実現したら新幹線の利用者は大幅に伸びるだろう。
「2019年からは新型試験車両『ALFA-X』を使ったさらなる爆速化試験を行なっています。将来は新型車両を作って、時速360km、東京〜札幌4時間30分を目指すのでは」(梅原さん)
新幹線の爆速化はまだまだ続く。
東京〜札幌の新幹線利用者が増えると飛行機の便数が減り、羽田空港の発着枠に余裕が生まれる。それを国際便に割り振れば、インバウンド消費をさらに増やせる可能性も。
将来は最高時速360kmも視野に?
JR東日本『ALFA-X(アルファエックス)』
次世代新幹線車両の開発を目指し2019年5月から東北新幹線で走行。最先端の実験を行なうための先進的な試験室を意味する「Advanced Labs for Frontline Activity in rail eXperimentation」から『ALFA-X』と名付けられた。