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1位は東京で26.2℃、冷房の設定温度が高い世界の都市ランキング

2024.08.15

ヒューストン(アメリカ)では、暑い時期に約40%の人がエアコンを24時間使用し、1日あたりの使用時間の平均は最も長い17.2時間

各都市の人々は、暑い時期に1日何時間程度、エアコンを利用するのだろうか。「1年で最も気温が高い月に終日自宅で過ごすときのエアコン(冷房)の平均使用時間※3」を算出した。

その結果、ヒューストン(アメリカ)が17.2時間で最も長く、かつ、41%の人が「24時間」使用するという驚きの結果となった。次いでリヤド(サウジアラビア)が14.9時間、ニューヨーク(アメリカ)が12.6時間の順に、長時間エアコンを使用することがわかった。アメリカの戸建て住宅では、全館空調システムが広く普及しており、こうした機器を使用している人々はエアコンをこまめにオン・オフせず、「つけっぱなし」にするのが当たり前になっているようだ。

この3都市に続くのが東京の12.2時間。東京の人は電気代を意識する人が多いため、エアコンをこまめにON・OFFする人も多いと思われるかもしれない。しかし最近では、日本で「30分程度の外出であれば、エアコンをつけっぱなしにしたほうが、電気代が安くすむ」といった情報も広まっており、「つけっぱなし」運転をする人も増えてきているのかもしれない。

■アメリカのエアコンの特徴

エアコンは、国や地域によって異なる気候や生活様式、住宅構造等に合わせて開発されてきた。そのため、一言に「エアコン」と言っても国によって思い浮かべられるものは異なる。特にアメリカは、日本では少ない「全館空調」というタイプが主流だ。アメリカの「全館空調」では、家全体に張り巡らされたダクト(配管)を通じて、全ての部屋に冷風・温風を送る。

リヤド(サウジアラビア)では「設定温度」と「最高気温」の差が最大20.6℃

エアコンの消費電力量は「外気温」と「設定温度」の差が大きく関係することから、各都市の最も暑い月の平均最高気温※4と平均設定温度※2の差を調べた。その差が最も大きいのはリヤド(サウジアラビア)の20.6℃(平均最高気温44.0℃、平均設定温度23.4℃)、次いでニューデリー(インド)の16.8℃(平均最高気温40.0℃、平均設定温度23.2℃)、ラゴス(ナイジェリア)の12.1℃(平均最高気温34.0℃、平均設定温度21.9℃)となった。

東京では5.8℃(平均最高気温32.0℃、平均設定温度26.2℃)、最も差が小さいパリ(フランス)では2.3℃(平均最高気温26.0℃、平均設定温度23.7℃)だった。リヤドとニューデリーは外気温の高さもあり、エアコンへの負荷が比較的大きくなりやすいと言えそうだ。

1年で最も暑い時期の「エアコンの1日あたりの使用時間」と「最高気温・設定温度の差」を踏まえると、両方の指標で突出しているのはリヤドだ。リヤドでは、エアコンへの負荷が大きい環境で長時間使用する傾向にあるようだ。

平均最低気温(最も寒い月)が20℃以上のバンコク(タイ)、 ラゴス(ナイジェリア)では、過半数が1年中エアコンを使用

日本では、気温が高い数カ月のみエアコン(冷房)を使用する人が多いが、世界では年間でどのくらいの期間使用されているのだろうか。

「1年で約何カ月間エアコン(冷房)を使用しますか」と聞いたところ、東京では平均5.2カ月という結果になった。日本では一般的に6~8月の3カ月間を「夏」と定義することが多いが、近年、夏の暑さが顕著になり、以前より長期間にわたってエアコンを使用している人が多いと想定される。

他の都市では、バンコク(タイ)が平均10.4カ月、ラゴス(ナイジェリア)は9.5カ月と、12都市の中で長い結果となった。また、「12カ月(1年間)」と回答した人が、バンコクでは70%、ラゴスでは53%に達し、過半数が1年を通じてエアコン(冷房)を使用している実態が判明した。この2つの都市は、平均最高気温(最も暑い月)が調査対象都市の中で比較的高く(バンコク:36℃、ラゴス:34℃)、また平均最低気温(最も寒い月)※5が20℃以上と、一年中暑さを感じる気候だ。こうした地域では年間を通じてエアコン(冷房)が手放せない状態になっているようだ。

リヤド(サウジアラビア)とニューデリー(インド)も同じく暑い都市というイメージがあり、平均最高気温(最も暑い月)は40℃を超えている。この2つの都市のエアコンの使用月数は、それぞれ平均7.9カ月と7.0カ月で、他都市と比べて長いようだ。

一方、リヤドとニューデリーでは平均最低気温(最も寒い月)はそれぞれ9℃と8℃と、日本と同様に1年の中で寒い時期もあるためか、「12カ月」使用すると回答した人の割合は18%と16%で、バンコク、ラゴスに比べるとかなり低い結果となった。

■地域ごとに異なるエアコンのニーズ

日本のエアコンには基本的に冷房・暖房の両方の機能が備わっているが、大部分が熱帯地域に属する東南アジアでは、冷房機能だけのエアコンが多く使用されている。

また、インドや中東地域では外気温の高さを踏まえて、50℃以上でも運転が可能な高外気温仕様のエアコンが活躍している。欧州は、地域内でもエアコンのニーズが大きく異なり、冷房よりも暖房のニーズが高い北部に対し、南部の方がエアコンが普及している。

さらに、国によっては室内機のデザイン性が重視されたり、街の景観保護のために室外機が見えないところに設置されたりするといった特徴がある。海外事業比率が80%を超えるダイキンは、こうした地域ごとに異なるニーズ合わせて製品を開発・提供している。

エアコン購入時に最も重視するポイントは、12都市中11都市で「省エネ性」 「環境への負荷」を最も気にしているのはニューヨーク

「エアコンを購入するときに重視するポイント」について聞いたところ、12都市のうち11都市で「省エネ性」が最も重視される結果※6となり、とりわけバンコク(タイ)とイスタンブール(トルコ)で顕著となった。唯一、上海(中国)では「良く冷える、よく暖まる」が1番重視されているが、2番目は「省エネ性」となった。

また、ニューヨーク(アメリカ)、ヒューストン(アメリカ)、パリ(フランス)、マドリード(スペイン)では「購入価格が安い」の割合が「省エネ性」と同様に高く(差が10%未満)、エアコンの電気代と初期費用の両方が重視されるようだ。一方、サンパウロ(ブラジル)、バンコク(タイ)、ニューデリー(インド)、上海(中国)では購入価格の重要度は他都市より低いようだ。

さらに、エアコン購入時に「省エネ性」を最も重視する人々にその理由を聞いたところ、全ての都市で「環境負荷を抑えたいから」よりも「電気代を抑えたいから」が上回った。12都市全体で「電気代を抑えたいから」と回答した人は72%となった。

そうした中でも、「環境負荷を抑えたいから」を選んだ人の割合が12都市の中で最も多かったのはニューヨーク(アメリカ)で45.2%となった。ニューヨークはアメリカの中でも環境意識が高い州の1つとして知られている。

世界的に環境先進地域と言われている欧州のパリ(フランス)とマドリード(スペイン)に加え、イスタンブール(トルコ)、ニューデリー(インド)、サンパウロ(ブラジル)でも「環境負荷を抑えたいから」が30%以上と比較的高い結果だったが、「電気代を抑えたいから」が86%の東京を含め、現状では多くの都市で日常生活と密接にかかわる電気代をより気にする人が多いようだ。

■エアコンとカーボンニュートラル

エアコンは人々の命を守るうえで需要な役割を果たす一方、世界で使用されている全ての電力の約1割をエアコンが消費しているといわれている。エアコンが消費する電力が化石燃料を使って発電されている場合、エアコンを通じて多くの温室効果ガスが排出されていることになる。人々の生活には欠かせないエアコンだからこそ、エアコンが増え続けても環境影響を抑えられるよう、カーボンニュートラルの取り組みを進めることが必要だ。

1台のエアコンが寿命を終えるまでに排出するCO2の総量は1台当たり3,692kg※7。さらに排出総量のうち89%は「エアコンを使うとき」に排出されるものだ。ダイキンはメーカーの責任として、エアコンを「作るとき・運ぶとき」の排出を削減するとともに、省エネ技術の向上に力を入れ、エアコンを「使うとき」も含め、温暖化影響の抑制を図っている。

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