ミノキシジルの発毛効果を確認・予測する方法の開発にも応用できる可能性
大正製薬は、発毛成分ミノキシジルの作用メカニズムの一部を明らかにして、その研究成果を第31回毛髪科学研究会にて発表した。
ミノキシジルは発毛効果が認められた有効成分として薄毛治療に用いられ、日本のみならず世界各国で使用されている。しかしながら、その作用メカニズムには未知の部分もあり、同社は約40年の歳月をかけミノキシジル研究に取り組み続け、新たな知見を発表してきた。
今回、同社は生体内を「見える化」する、高性能質量分析計を用いた最先端分析技術を駆使。ミノキシジルを使用した男性型脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)の微量の髪から、約6万5千もの膨大なデータを取得・分析することで、髪の内部の「見える化」を実現した。
その結果、髪の内部から、ミノキシジルの使用によって発毛・育毛に寄与する因子が増加した痕跡を発見することに成功。
この分析技術を使ったミノキシジル使用者の髪の解析は、世界初の試みであり、本研究で得られた知見は第31回毛髪科学研究会で発表された。
同社では「本知見はミノキシジルの発毛効果を確認・予測する方法の開発にも応用できる可能性があり、今後も継続して研究に取り組んでまいりたいと考えています」とコメントしている。
研究成果:髪の内部にミノキシジルが発毛を促した「発毛スイッチの痕跡」を発見
髪は、毛母細胞という細胞が集まって形作られることから、その過程で毛母細胞が受けた影響が、髪の中に記録されていることがある。
そこで、同社ではミノキシジル外用剤使用後の髪の中には、ミノキシジルの発毛を促した痕跡が残っているのではないかと考え、男性型脱毛症(AGA)の男性がミノキシジル外用剤を継続使用する、「前」の髪と「後」の髪の提供を受けた。
提供された髪について、高性能質量分析計を用いた「見える化」する最先端分析技術を活用した結果、ミノキシジル外用剤使用により薄毛が改善された人の髪の内部では、発毛・育毛に寄与すると考えられている因子BMP7(※)等が変動していたことが明らかになった。
※ BMP7=Bone morphogenetic protein7は、髪の毛包内に存在するタンパク質の一種で、髪が成長する期間に、毛包においてその量が増えることが知られている。
これらの変動はミノキシジルが発毛を促した痕跡であると考えられる。このことから同社では「ミノキシジルは、BMP7等の発毛・育毛に寄与する因子を変動させることで、薄毛改善効果を発揮する可能性が示唆されました」と説明している。
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https://www.taisho.co.jp/
構成/清水眞希