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最低賃金改定の影響で「時給1000円」が低賃金の代名詞になる?

2024.08.13

2024年も今年も地域別最低賃金に関する議論が進められている。昨年2023年は、全国加重平均額が過去最高の引き上げ43円となり、最低賃金1000円を超えた地域は8都府県となった。

では、令和6年度地域別最低賃金の影響はどれほどなのか、またこれから先、最低賃金の影響はどんな広がりを見せていくのか。

アイデム・データリサーチチームの関 夏海氏による関連リポートが届いているので、本稿ではその概要を紹介したい。

引き上げ目安額50円、全国加重平均は1054円

2024年7月24日、中央最低賃金審議会から、令和6年度の地域別最低賃金改定の目安について答申がまとめられた。

【答申のポイント】

●各都道府県の引き上げ額の目安は、いずれの都道府県も50円
●目安通りに引き上げが行われた場合、全国加重平均は1054円
●全国加重平均が50円上昇するとしたら、目安制度が始まって以来最高額に
●引き上げ目安50円を引き上げ率に換算すると5.0%(昨年度は4.5%)

近年は毎年のように「過去最高の引き上げ」が続いているが、今年度もこれまでにない引き上げとなっており、多くの企業では賃金の見直しが必要となってくるだろう。

特に、引き上げ額目安が50円はかなり大きく、もし目安通りに引き上げが行われる場合、最低賃金が1000円以上となる地域は16に増える予想だ。

最も影響が出ると予想されるのは「栃木県」の56.6%

アイデムでは「イーアイデム」「JOBギア採促」を利用した求人広告の情報から、募集時の賃金に関する情報をまとめている。

2024年1月から6月までの求人広告の中には、最低賃金の改定で最新の最低賃金を下回ってしまう場合があるが、それがどのくらいの割合なのかを調べてみた。

●集計対象データ
地域/東日本:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県
   西日本:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、岡山県、福岡県
期間/2024年1月~2024年6月
雇用形態/パート・アルバイト
賃金形態/時給
勤務時間帯/働くスタイル「深夜ワーク」の設定をしているものを除く
集計対象件数/東日本58万5963件、西日本27万8264件

上記の条件で絞られた求人データのうち、令和5年地域別最低賃金に50円を足した、「令和6年地域別最低賃金(仮)」を下回る求人データの割合を、改定影響率速報値として算出した。

集計対象地域の中で最も影響が出ると予想されるのは「栃木県」の56.6%、次いで「神奈川県」の54.0%、「京都府」の53.5%となった。この3府県では、半数以上の募集に影響が出るという予想だ。

■東日本では群馬県以外の地域で今年度の地域別最低賃金が1000円超

東日本の集計対象地域では、「群馬県」を除くすべての地域で、今年度の地域別最低賃金が1000円を超える見込みとなっている。

改定影響率速報値が4割を超えた地域も多く「茨城県」や「静岡県」でも「時給1000円で出せなくなる」影響の大きさが推察できる。

一方で「群馬県」では改定影響率速報値が27.6%で、集計対象地域の中では最も影響が小さい予想となっている。目安額では1000円を超えていないこともあり、近隣地域よりも比較的見直しが必要な求人が少ないようだ。

西日本の集計対象地域では、改定影響率速報値が4割以上の府県ばかりとなった。目安の最低賃金が1000円を超えていない地域もあるが、ここ何年かで急激に引き上げが行われていることもあり、今回も対応を迫られる企業が多くなるだろう。

集計対象地域のうち、令和6年度地域別最低賃金の目安額が1000円に届いていない地域は、令和4年度まで使用されてきたランク別の区分で「Cランク」に属していた地域で、かつ今年度のランク別の区分で「Bランク」に属している。

今年度の引き上げ額の目安はどのランクも一律50円だったが、今後の改定ではAランクに次いで大幅な増加が見込まれる。この状況で来年度以降も引き上げが進めば、いずれの地域でも「時給1000円」の募集は見なくなることだろう。

■2030年代に全国加重平均1500円以上?

今年度の引き上げ額目安50円を引き上げ率に換算すると、5.0%となる。昨年度の引き上げ率は最終的に4.5%になったが、このように近年は4%を上回るペースで地域別最低賃金の引き上げが行なわれている。

これは、政府が目標とする「2030年中頃までに全国加重平均1500円」を目指した動きともとれ、今年度以降も同等の引き上げが行われていく可能性が高い。

2030年中頃、という含みを持たせた表現だが、では毎年どの程度の割合で引き上げていくと、「いつ1500円を超えていくのか」計算してみた。

上記グラフは、全国加重平均が2024年度(令和6年度)に1054円となる仮定のもと、毎年同等の割合で引き上げが進んだ場合のシミュレーションになる。引き上げ率は4.0%から6.0%までの0.5%刻みで表示した。

来年度以降、「毎年4%増」の場合は2033年に、「毎年4.5%増」の場合も2033年に、「毎年5%増」の場合は2032年に、「毎年5.5%増」の場合は2031年に、「毎年6%増」の場合も2031年に、全国加重平均1,500円を超える計算になった。

2年の幅があるが、いずれにしてもこのままの状況で引き上げが進めば、2030年代に政府が掲げる目標を達成する計算になる。

また、将来シミュレーションは最初こそ金額差がわずかではあったものの、年を経るにつれ差が顕著になり、2038年の段階では「毎年4%増」の場合は1825円となったが、「毎年6%増」の場合は2383円となり、500円以上の開きが出ることがわかる。

「2030年中頃までに全国加重平均1500円」が達成される頃には現在と状況が変わっており、次の更なる目標へと歩みを進めているかもしれない。

地域別最低賃金が2000円を超えるとなると、もう最低賃金自体がパート・アルバイトあるいは非正規雇用での話ではなく、正社員を含めた国民全体の問題となってきそうだ。

関連情報
https://apj.aidem.co.jp/column/2245/

構成/清水眞希

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