便秘治療のガイドラインが6年ぶりに改訂
慢性便秘症などの診断や治療方針を決定する際の情報を提供する医療従事者向けの書籍「便通異常症診療ガイドライン2023」が、6年ぶりに改訂された。その最新知見に注目した日本ケロッグ合同会社が、2024年8月6日に、「いま知っておきたい便秘と腸活の新常識」と題したプレスセミナーを開催。3名の専門家が便秘や腸内環境に関する最新の知見を紹介した。
筆者はこれまで、便秘対策の本もいろいろ読み、基本的なことは残らず実践してきた自負があったが、同セミナーではその常識が覆る新情報がいくつもあった。その一部を紹介する。
慢性便秘は、年間約122万円の経済損失をもたらす!?
鳥居内科クリニック院長の鳥居明医師は、便秘の基礎知識を中心に、最新の「便通異常症診療ガイドライン 2023 慢性便秘症」に基づいた、便秘に関する新しい知見を紹介。「便秘くらい」と軽く考えがちだが、慢性便秘症患者は一般の人と比べて欠勤率が2.3倍、生産性の低下が1.7倍となり、年間約122万円の経済損失をもたらすことが明らかになったという。また便秘というと女性に多いイメージがあるが、近年は男性の便秘が増えているという。
排便は大腸の「上行結腸」→「横行結腸」→「下行結腸」→「S字結腸」の各部位で様々な作用によって起こるため、その中のどれか一つが阻害されても便秘が起こる
鳥居医師は、便秘のチェックリストとして6項目を挙げ、2項目以上該当する場合は便秘症の可能性があると説明。興味深いのは「隠れ便秘」の存在だ。ウォシュレットの刺激で排便する習慣がある人は「隠れ便秘」の可能性があり、注意が必要だという。
便秘対策として有効なのが、おなかに「の」の字を描くように、両手を重ねてゆっくりと動かす「腸マッサージ」。「渋滞が曲がり角で起こりやすいように、腸の角になっている場所に便やガスが貯まりやすい。ここを念入りにマッサージするといい」とのこと。便秘を渋滞に例えると、非常に納得がいく。