高校球児たちが熱い戦いを繰り広げる夏の甲子園シーズン。その裏側で、近年インターネットでは、もうひとつの甲子園が熱狂的な盛り上がりを見せているのをご存知だろうか。
それが、VTuberグループ・にじさんじが主催するゲーム大会イベント「にじさんじ甲子園」だ。昨年開催された「にじさんじ甲子園2023」は大手スポーツ雑誌の『Sports Graphic Number』で特集が組まれ、決勝戦の同時視聴者数が25万人を超えるというVTuberの配信でも異例の注目を集めていた。過去の決勝を含めると最大視聴者数は約30万人にものぼる。
一体、なにがそこまで視聴者を惹きつけるのか。本記事では、リーグ戦を間近に控えた「にじさんじ甲子園2024」の魅力に迫っていこう。
「にじさんじ甲子園2024」に出場するにじさんじ所属のVTuberたち
トレンドの「にじさんじ甲子園2024」とは?
にじさんじ甲子園2024とは、『パワフルプロ野球2024-2025』(以下パワプロ)に収録されているゲームモード“栄冠ナイン”を使用した、VTuberによる野球ゲーム大会だ。
『パワフルプロ野球2024-2025』に収録されている「栄冠ナイン」は配信界隈で人気コンテンツとなっている※画像は『パワフルプロ野球2024-2025』公式ホームページより
大手VTuber事務所・にじさんじの人気VTuberたちが高校野球部の監督となって、にじさんじライバーをもとにした選手・チームを育成。ゲーム内時間で3年目が終了した時点で対戦を行う、という夏の名物企画となっている。
この大会がなぜこんなにも注目されているのか。
それは、甲子園同様の熱いドラマがあるからだ。
1年目はあまり活躍が見られなかった選手が、土壇場でヒットを打ってチームの勝利に貢献する。監督が悩み抜いた末に勝利した試合を通じて、選手が急成長するなど、にじさんじ甲子園には視聴者・監督ともに心を揺さぶられる要素がたくさんある。
加えて、各校の選手はにじさんじライバーをモデルとしているため、野球をまったく知らないファンも“推し”の活躍をカジュアルに楽しめる。これも大会が大きな盛り上がりを見せている理由だろう。育成配信がスタートする前には各チームに所属するライバーを決めるドラフト配信も行われ、同時視聴者数が16万人を超えるなど高い関心を集めていた。
特に今年は、主催である舞元啓介さんが「にじさんじ甲子園2024」開催を機に復帰したことでも話題になっている。舞元啓介さんは、体調不良などの理由から2023年8月末に無期限の活動休止を発表。その後、表舞台での活動は一切見られない状態が続いていたが、今回「にじさんじ甲子園2024」の告知と共に事実上の復帰が判明し、ファンの間で大きな盛り上がりを見せていた。
また、共同主催の形で大会をサポートするのは、舞元啓介さんと交友の深い個人VTuberの天開司さんだ。両名とも野球やパワプロに関する知識が深く、育成期間中に行われていた各校の振り返り配信では、プロ野球選手の転生OBやレジェンドが登場するといち早く反応し、いかに強い能力を持っているか解説するなど、野球ファン/非野球ファンのどちらにとってもうれしい対応で配信を盛り上げていた。
「にじさんじ甲子園2024」では、ahamoやG-Tune、GALLERIAなどの企業を協賛に迎え、大会当日はABEMAで観戦配信が実施される予定だ。また、スポーツ雑誌『Sports Graphic Number』1102号では今年もコラボ特集が組まれている。
大手VTuber事務所であるにじさんじはほかにも多数の箱内ゲーム大会を開催しているが、複数の協賛を得て、ここまで大々的に開催しているものはあまり類を見ない。にじさんじの運営元であるANYCOLORにとっても、力の入った企画と言えるだろう。
「にじさんじ甲子園」は、VTuberファンやパワプロファンを超えて広く観戦されている夏の一大コンテンツなのである。