毎日暑い日が続いている。夜になっても気温が下がらず、1日の最低気温が25度以上の「熱帯夜」となると、かなり暑い中眠ることになる。夜になれば気温が下がり、熱中症になる危険はないと思うのはかなり危ない考えだ。夜も熱中症対策をしたほうがいい理由について、米盛病院救急調整室教育部長の川原加苗先生に話を聞いた。
熱中症で運ばれてくる3割~4割が夜間の熱中症!?
全国の熱中症による救急搬送状況(令和6年7月22日~7月28日)によると、発生場所は、12666人中4929人が住居からとなっている。
「皆さん意外に思われるかもしれませんが、熱中症で運ばれてくる人の3割から4割が夜間に熱中症を起こした人です。明け方にご家族が意識障害などに気づいて、運ばれてきます。運ばれてきた人の体温を測るとかなり高熱で、かなり危ない状況の人もいます」
昼間のほうが気温は高くなるため、熱中症のリスクは確かに高い。しかし、夜は夜ならではのリスクがあり、気をつけなければいけない点があるという。
「昼間だと起床し活動をしているため暑さを感じると水分を意識的に摂取したり、涼しい場所に移動したりと、自分の体の声を聞きつつ対策を行ないます。しかし眠るとなると感覚が鈍ります。暑くて喉が渇いたから、と目を覚ませるならばまだ大丈夫ですが、ご高齢の方などは喉が渇くという感覚も低下します。対応が遅れると、そのまま脱水がすすみ、汗すらもかけなくなり、重度の夜間熱中症になることもあるわけです」
人間は気化熱といい、汗をかいて、その汗が蒸発する際に体表面から大量の熱を奪い去る。だからこそ、発汗により体温を下げることができるのだが、汗をかけないまで脱水状態になるというのはかなり危険なのだ。
夜間熱中症対策に有効なエアコンの使い方
涼しい場所で眠ることが最も大切なポイントだが、まだまだエアコンをつけずに眠っている人もいるようだ。
「エアコンをつけておらず熱中症になって運ばれてくる人が実は結構いらっしゃいます。特に高齢の方ですね。エアコンをつけていなくともせめて窓を開けていれば、風が通り昼間にため込んだ熱は逃げていくので、室温も下がってきます。しかし、昨今では防犯の面などで窓の開けっぱなしは難しいというケースも多く、昼間に上昇した部屋の熱が下がりません。壁も熱を持ったままなので、想像以上に部屋は暑いままなのです」
近年の電気代の高騰で、節約意識でエアコンをつけないという人もいるかもしれないが、命を守るために夜もエアコンは必須な時代だ。では、エアコンをつけるとしたら、どれくらいの温度にすればいいのだろうか。
「一般的に快適な温度は26℃で湿度は50~60%だと言われています。しかし、これはあくまで一般論です。感覚は人それぞれ。26℃だと寒いなと感じる人もいるはずなので〝目に見える汗をかかない程度の寝心地のいい適当な温度〟がいいと思います。目に見える汗をかいているのであればその方にとっては暑い部屋と言えるので、エアコンの温度を下げましょう。
とはいえ、高齢の方はご自身の暑い寒いという感覚が鈍くなってきている可能性もあります。自分の感覚だけに頼りすぎないようにするという意識も同時にもっていただければと思います」
同じ部屋で眠っている人がいると、適切な温度が違ってくることもあるかもしれない。しかし、特に熱帯夜になりそうな日は暑さを強く感じている人に合わせ、掛け布団などで調節することが夜間熱中症対策になりそうだ。
取材・文/田村菜津季
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