第45代アメリカ合衆国大統領の4年間の評価は?
トランプが大統領として在任した期間は2017年1月20日からの4年間です。
この間、特に経済政策では「アメリカ・ファースト」を掲げ、内需産業の活性化を目指しました。こうしてトランプ政権は減税政策や規制緩和を推進し、経済成長を促す方向に米国を推し進めていきます。
特に法人税の大幅な減税は企業の投資を促進して株式市場の活況を生み出した一方、貿易戦争や移民政策の強化など、国内外で多くの議論を巻き起こしました。
その他にも、2017年には大規模なインフラ投資計画を発表し、老朽化したインフラの改善に取り組んでいます。
ちなみに移民政策についてはメキシコとの国境に壁を建設する計画を発表したことで、強い反発を受けており、さらに環境政策において、パリ協定から離脱しています。
ときに賛否両論が巻き上がるものの、トランプ政権が基本的に重視する方針は国内産業と経済を守るというものであることが見えてきます。
バイデンに敗れる
2020年の大統領選挙では大接戦の末、トランプはバイデンに敗北しました。選挙結果をめぐっては多くの訴訟や再集計が行われましたが、最終的にはバイデンが第46代アメリカ合衆国大統領に就任しました。トランプは選挙結果を受け入れず、支持者による連邦議会議事堂への襲撃事件が発生し、大きな社会的混乱を引き起こしました。この事件は、トランプのリーダーシップと民主主義に対する姿勢についての議論を巻き起こす結果となったのです。
2024年有罪判決 大統領経験者初の有罪
トランプは2024年、不倫相手への口止め料に関する訴訟で有罪判決を受けました。
裁判の争点であり、支払ったとされる口止め料が選挙資金として報告されていなかったことが問題となりました。この支払いはトランプの弁護士を通じて行われ、その際に偽名や偽の契約書が使用されたようです。裁判では、これらの行為が違法であると認定されました。
これによりトランプは米国史上初の大統領経験者として、有罪判決を受けました。
とはいえ判決後もトランプ支持者の人気は揺らいでおらず、共和党候補として11月の米大統領選挙に出馬します。
2024年の大統領選挙と銃撃事件
7月13日、再び大統領になることを目指し、大統領選挙に向けた講演活動の演説中にトランプは銃撃事件に巻き込まれました。この事件の犯人の動機については、依然として明らかではありませんが、この出来事は大統領選挙の行末に大きな影響を与えています。
負傷はしたものの幸い命の別状はなく、銃撃直後に右手を力強く掲げた映像が繰り返し流れました。
トランプはこの逆境の中での立ち振る舞いによって、支持率を伸ばすことに成功しています。
何よりも逆境をチャンスに変えることができる豪運、これもトランプの天性の嗅覚かもしれません。
<おわりに 米大統領選挙に注目の理由>
これまでトランプは不動産、TVタレント、政治家として、多岐にわたるキャリアを築いてきました。2024年11月の大統領選挙に向けて、トランプのメディアへの登場が増加することになり、その動向がさらに注目されていくはずです。
とはいえ、今回、再び大統領に復帰できるかは分かりません。
次期大統領はトランプで確定かと思われた中で、民主党はバイデン大統領の代わりにカマラ・ハリス副大統領を大統領候補として擁立したことで、再び共和党と民主党の支持率は接戦となっています。
ちなみに投資家目線でなぜ米大統領選挙に注目なのかというと、今後どちらが大統領になるのかによって、世界経済を引っ張る米国の経済政策の方向が異なるため、恩恵を受ける業界も変化するからです。
つまり投資家として主に来年以降の投資戦略を考える上で、大統領選挙はとても重要なトピックとなるのです。
前回はトランプ再任で間違いないと思われる中で敗北しました。
トランプが再び大統領に返り咲くのか、それとも敗れるのか。
今回は米国起業家列伝シリーズとして「ドナルド・トランプ」について解説させて頂きました。
文/鈴木林太郎