ビーガン食で若返り?
完全菜食主義(ビーガン)の食事スタイルが、老化現象を遅延させる可能性のあることが報告された。一卵性双生児を対象とした研究の結果であり、詳細は「BMC Medicine」に7月29日掲載された。双子のきょうだいのうち8週間にわたりビーガン食を摂取した群は、肉や卵、乳製品を含む雑食(普通食)を摂取した群よりも、生物学的な老化現象が抑制される傾向が認められたという。
この研究は、米国の加齢関連検査サービス企業であるTruDiagnostic社のVarun Dwaraka氏らが行った。老化の程度を表す生物学的年齢の推定には、DNAのメチル化やテロメア長などの指標が用いられた。Dwaraka氏は、「ビーガン食を摂取した研究参加者では、“エピジェネティック老化時計”とも呼ばれることのある、生物学的年齢の推測値の低下が観察された。しかし普通食を摂取した研究参加者では、このような現象が観察されなかった」と話している。
研究に参加したのは一卵性双生児の成人21組(平均年齢39.9±13歳、男性23.8%、BMIはビーガン食群が26.3±5、普通食群が26.2±5)。介入期間は8週間で、前半の4週間は調理済みの食事を支給するとともに栄養教育を実施。後半の4週間は、研究参加者が栄養教育に基づき自身の判断で食品を摂取し、その間、予告なしに24時間思い出し法による食事調査を実施して、各条件の食事スタイルが遵守されていることを確認した。
介入終了時点で、ビーガン食群では普通食群よりも細胞レベルの老化が少なく、また、心臓や肝臓、内分泌代謝、炎症などの検査値を基に算出した生物学的年齢の若返りが観察された。ビーガン食群の介入中の摂取エネルギー量は普通食群に比べて1日当たり平均約200kcal少なく、介入期間中の体重減少幅が平均2kg大きかった。この差は主として、介入前半の調理済みの食事を支給している期間に生じていた。
著者らは、「われわれの研究結果は、短期間のビーガン食がエピジェネティックな加齢による変化の抑制と摂取エネルギーの抑制につながることを示唆している」と総括している。ただし、「ビーガン食による加齢変化の抑制が、減量によってもたらされたものであるかどうかは不明」とのことだ。また、ビーガン食には微量栄養素が不足するリスクもあることから、「サプリメントを併用しないビーガン食の長期的な影響の検証が必要」としている。そのほかにも、「普通食をビーガン食に変更して、適切な栄養素摂取を維持した場合のエピジェネティックな変化、および全身的な健康状態に及ぼす長期的影響の検討も重要」と、今後の研究の方向性を述べている。(HealthDay News 2024年7月30日)
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Abstract/Full Text
https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-024-03513-w
構成/DIME編集部