読売広告社(以下YOMIKO)は、同社の子会社であるショッパーインサイトが保有する日本最大級の食品ID-POS購買行動データベース「real shopper SM」(※)を活用して、食品スーパーにおける調味料の購入変化を分析した。
※ real shopper SM:食品スーパーのID-POSデータをもとに生鮮惣菜を含めた全ての食品購買状況を全国規模の買物客単位で分析できるデータベース。
昨今の調味料市場は、従来の「さしすせそ」と呼ばれる基本調味料以外に、風味調味料、外国料理向けの調味料など多種多様な調味料が増えている。
そうした市場動向がある中、家庭で使用される調味料にはどんな傾向がみられるのか。
本稿では同社リリースを元に、分析からみえてきた季節における傾向や兆しについて概要をお伝えする。
画像はイメージです
調味料の購買行動には季節との関連性がみられる
■夏に売上が高くなる「夏型調味料」と冬に売上が高くなる「冬型調味料」に分類
図1 調味料と季節(夏・冬)との関連相関図
調味料における売上変動の傾向を分析すると、夏(7-8月)、冬(12-1月)、それ以外の時期、という季節と関連して売上が変動する調味料があることがわかった(図1)。
図2 季節(夏・冬)との関連性が高い調味料トップ10
さらに、夏との関連性が高い(売上高が高くなる)もの、冬との関連性が高い(売上高が高くなる)ものを、それぞれ「夏型調味料」「冬型調味料」として分類し傾向を分析した。
その結果、「夏型調味料」のなかでも、夏と他の季節との売上高の差が大きく、夏により多く売れる傾向がある調味料トップ3は、しょうが(加工品)、梅肉(加工品)、漬物調味料となった。
「冬型調味料」でも同様に分析したところ、冬により多く売れる傾向がある調味料トップ3は麹・酒粕、スープベース、鍋つゆとなり、季節ごとの旬の食材やよく食べられる料理との関連性が推察できる結果が得られた(図2)。
今回の分析では、調味料カテゴリにおいて季節との関連性がみられることがわかった。
気象変動による年間を通した気温の上昇など環境の変化が著しい昨今の状況を鑑みると、今後も調味料をはじめとした様々な食品の売上に、季節だけでなく気温による影響も大きくなる可能性も考えられる。
「麺つゆ・麺スープ」の併買商品にも季節による違いあり
■「うどんスープ」「そうめんスープ」は夏に指数が高い
図3 「麺つゆ・麺スープ」の併買商品にも季節による違いがみられる
夏の関連性6位「麺つゆ・麺スープ」の金額PI値(レジを通過したお客様1,000人あたりの販売金額指数)分析をしたところ、種類により金額PI値が高い月に違いがあることがわかった(図3)。
「ラーメンスープ」は年間を通じて大きな変動は見られないが、「うどんスープ」は3月頃から上昇し、8月までの暑い時期に山なりになっている。
「そうめんスープ」は7月にピークとなる急勾配な山になり、「そばスープ」は特に12月の指数が高いことがわかる。
■併買商品にも季節トレンドが見られる
図4 「うどんスープ」とのバスケット併買 月次上位10ランキング
「うどんスープ」のバスケット併買のリフト値(「うどんスープ」を購入した時に、同時に別の商品を買う度合を示す数値)を分析した(図4)。
リフト値の各月上位5位をみると、1位「麺つゆ・麺スープ」(「うどんスープ」以外)、2位「生・ゆでうどん」には季節性はみられませんが、3位以降は、4~8月は「乾燥うどん」が3位、「冷凍麺」が5位みられるのに対し、9~3月は天かすやフリーズドライの天ぷらなど「トッピング素材」が3位、「蒲鉾」や「生・ゆでそば」が4位・5位にみられるなど、季節による違いを確認できた。
調査概要
集計期間/2022年6月1日~2024年6月30日
エリア/日本全国 約2億バスケットのデータを分析
対象カテゴリ/季節分析-基礎調味料、加工調味料、香辛料 併買分析は全食品
利用データ/real shopper SMデータ
関連情報
https://www.yomiko.co.jp/
構成/清水眞希