このビジョンを基盤にAI関連の研究・開発・人財育成などを推進
電通を含む国内電通グループは2024年8月5日、「”人間の知(=Intelligence)”と”AIの知”の掛け合わせによって、顧客企業や社会の成長に貢献していく」という独自のAI戦略を、新ビジョン「AI For Growth」として発表した。
これは、すでにグループ各社が取り組んでいるさまざまなAI活用に共通する考え方であり、同グループでは「今後もこのビジョンを基盤に、AI関連の研究・開発・人財育成などを推進していきます」とコメントしている。
国内電通グループでは、”AIの知”とは、突き詰めると人間の思考や試行錯誤の軌跡・刻印である、と捉えているという。
そのため、AIを単なる自動化や効率化のための技術・機械として利用するだけではなく、人の思考プロセスやノウハウ、そしてさまざまなデータをAIにインプットし、進化したAIから人がまた学ぶ、というサイクルを通して「人とAIが高め合う」AI活用を推進していく、としている。
具体的には、「AI For Growth」のビジョンのもと、以下3レイヤー、8領域の取り組みに注力していく。
■1:クライアントサービス
AIを活用した「(1)マーケティング支援」や「(2)トランスフォーメーション支援」、「(3)プロダクト開発」を行なう。
例として、統合マーケティングソリューションブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」シリーズや、エンタープライズ向け生成AI活用ソリューション「Know Narrator(ノウナレーター)」シリーズ、AI人財育成サービス「HUMABUILD(ヒューマビルド)」、AIとクリエイティビティで事業開発を支援する「AIQQQ STUDIO(アイキュースタジオ)」、電通のコピーライターの思考プロセスを学習したAI広告コピー生成ツール「AICO2(アイコ ツー)」、デジタル広告のクリエイティブを進化させる「Odd-AI(オッドアイ)」シリーズ、データ利活用によるコンサルティングサービス「BRIDGE」、デジタルヒューマンや対話ロボットなど、国内電通グループ各社の取り組みがある。
これらにより顧客企業の課題に応じた、最適なAI活用・開発が可能だと説明している。
■2:AIアセット
国内電通グループならではの「(4)データインフラ拡充」「(5)AI人財育成」、そして「(6)技術研究・開発」を加速させ、顧客企業向けサービスの高度化を図っていく。
例として、グループの知見を反映し蓄積してきたさまざまなマーケティングデータおよびインサイトのAI活用、独自のスキル認定・研修プログラム強化による国内電通グループ2万3000人のAI人財化、東京大学次世代知能科学研究センターとの共同研究「AIとの協働による人の創造性の拡張」などに取り組んでいる。
■3:コーポレート機能
グループ内の「(7)AIガバナンス整備」と「(8)組織構築・経営」を推進。安全にAIを活用していくためのガイドライン作成や、AIガバナンスコミッティの設置、相談窓口の開設などを通して、”人間の知”が、AIによってより高い創造性と生産性を発揮できるよう取り組む。
<国内電通グループが新ビジョン「AI For Growth」のもとで取り組む3レイヤー 8領域>
同グループは今回の発表に際して、「145以上の国・地域で事業を展開するグローバル各社とも連携し、グループの投資先であるAIベンチャー企業や、海外拠点の先行事例・ノウハウを取り入れて、AIのケイパビリティを拡張していきます。当社グループは今後も、独自のアプローチでこれまでにないAI活用を推進し、顧客企業の成長や社会の進化に貢献していきます」と述べている。
関連情報
https://www.dentsu.co.jp/
構成/清水眞希