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「幸せそうな顔の女性」を見るとつい目で追ってしまう科学的な根拠

2024.08.07

幸せ顔は幸せを呼び込む?

我々の〝幸せ顔の女性〟志向はまさに半ば本能的なものであり、いかに根強い社会評価メカニズムであるかが示されることになったのだが、ということはやはり〝幸せ顔の女性〟は何かと得をしたり、モテたりしているのだろうか。つまり〝幸せ顔の女性〟は実際に幸福なのか。

もちろん仏頂面の者よりも、幸せそうな笑顔を湛えた人物のほうが好印象を与えやすいとは思われるが、サイエンス的に「幸せ顔アドバンテージ」はどのような利益を得ているのだろうか。

2019年のスイスの研究では、幸せそうな顔は他者に強い動機づけ効果(motivational effect)を及ぼすことが示唆されている。幸せ顔を見ると何らかの行動に駆り立てられやすくなるというのだ。

進化人類学的に我々は怒った顔や不機嫌そうな顔に気づいた場合、一般的にその表情の人物を危険視して避けようとする回避反応が起きるが、逆に幸せそうな顔を見つけた場合は接近しようという反応が引き起こされる。この研究によれば「幸せ顔アドバンテージ」をあらためて確認したことに加え、幸せそうな顔や不機嫌そうな顔が回避反応よりも強く接近反応を活性化することが確認できたという。つまり〝幸せ顔の女性〟は人気を集め、〝お近づき〟の対象になりやすいことになる。

したがって〝幸せ顔の女性〟には実際に他者が近寄ってくる可能性が高く、人気者になる素地がありそうだ。そこにはマイナス面のリスク(しつこいアプローチなど)もありそうだが、おおむね幸せそうな人に幸せが呼び込まれる条件が整っているといえるのかもしれない。

また「幸せ顔アドバンテージ」には年齢は関係ないという研究結果も報告されている。つまり若い女性でなくとも、年齢を超え、一貫して「幸せ顔アドバンテージ」は多かれ少なかれ機能しているというのだ。

このような〝アドバンテージ〟がある幸せ顔だが、では意図的に幸せ顔になることでもアドバンテージが得られるのだろうか。

落ち込んでいる時の気持ちを明るくする方法として「鏡の前で笑顔をつくる」ことが臨床心理学の分野からも示唆されている。

これは実際とはまったく逆の身体反応を意図的に作り、脳をだますことによって感情を変えてしまおうという「感情偽装」の試みで、勘違いした脳がセロトニンという〝幸せホルモン〟を分泌して、実際に幸福を感じることで自然な笑顔になれることもあるという。

しかし「感情偽装」をずっと続けることは心の中に矛盾を抱え込むことになるので注意が必要だ。むりやり自分の感情をごまかし続けようとすればメンタルに悪影響を及ぼす。サービス業の接客などで笑顔を絶やさない「感情労働(emotional labor)」は、本心を偽っている限りにおいてメンタルに負荷がかかることがこれまでの研究からも指摘されている。

とすれば日常のささやかな幸せを常に感じることでナチュラルな幸せ顔になってみたいものだが、それができるということはすなわち幸運の持ち主なのかもしれない。

※研究論文
https://psycnet.apa.org/fulltext/2024-89932-001.html

※参考記事
https://www.psypost.org/we-apply-human-biases-to-illusory-faces-in-inanimate-objects/

文/仲田しんじ

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