「のんべえライン」は〝のんべえ〟の戯言から生まれた
『NOMEN』を語るうえで欠かせないのが「のんべえライン」だ。
これは、通常130mlの湯を注ぐところを110mlに減らし、より濃厚な旨みを楽しめる湯量線。実際に作って飲んでみると、「のんべえライン」は明らかに塩味も旨みも濃い。しかし、この味わいが呑んだ後にはたまらない……。
「このラインが生まれたきっかけは、まさに〝のんべえ〟の戯言からです(笑)。
今となっては笑い話ですが、製造直前に、自宅で呑んで酔っ払った社長が試飲したんです。そのときに湯量を間違えて110mlにしたらおいしかった。『呑んだあとは濃いほうがおいしい』と、製造ギリギリのタイミングで湯量を110mlに下げたのんべえラインも加えることになりました」
本当に大慌てでしたと、神山さんは当時を振り返る。しかし「のんべえライン」が生まれたからこそ、単なる〝ギルティーフリーなスープ〟に留まらず、ターゲットが明確化され、独自性が光ったとも言える。
商品化をするうえで大切なターゲットやペルソナの設定だが、それがわかりやすく商品に現れているものは少ない。だが『NOMEN』の場合は、みずからターゲットをはっきりと言っているようなもの。わざわざ「これはお酒を飲む方におすすめのスープです」と謳わなくても、手にとる人がジャッジしてくれるというわけだ。
毎日のさまざまなシーンで『NOMEN』
〝湯を注ぐだけ〟〝ハンディタイプ〟という手軽さを武器に、多くの人の心を掴む『NOMEN』。呑んだ後の〆はもちろん、他にもさまざまなシーンで楽しめる。
まず、コンパクトなうえに軽量だから、登山やキャンプの携行食としてもいいだろう。カップを持参しなくとも湯を注ぐだけ。汗で失われた塩分の補給にも役立つ。
ビニールでシュリンクされたカップは紙製で、飲み終わった後は小さく畳めるからゴミの持ち帰りもラクだ。
この他にも「ダイエットスープとして食べても、満足感がある」という女性もいるという。
神山さんのおすすめアレンジは、春雨を加えた春雨ヌードル風だ。
「小腹を満たす夜食や、ダイエット中の方にもおすすめです。『NOMEN』は、スープそのもののカロリーと塩分は控えめですが、塩味や油分の後引く余韻が満足感につながりやすいよう味わいの匙加減も大事にしています。そこに春雨を加えることで、さらに満足感がアップしますよ」
粉の花椒を加えるウマ辛い「シビ辛スープ」は、生卵を入れるのが神山さんのおすすめ
「とくに新フレーバーの『シビ辛スープ』は、春雨と一緒に卵も加えるとまろやかなおいしさで食もすすむと、多くの感想をいただいています」
この食べ方は、筆者もさっそく実践。春雨+生卵もよいが、春雨の代わりにごはんを加えるのもいいだろう。また、卵の代わりにチーズを加えてもよいかもしれない。痺れる辛さと卵のコクが相まって、食べ終わった後の満足感がさらに増す。
忙しい『DIME』世代、カバンに忍ばせて、朝食やランチのおともにおにぎりや弁当と食べるのもいいだろう。神山さんは、朝食に「老舗のみそ」をみそ汁代わりに合わせるそうだ。
カップサイズは、Sサイズのホットコーヒー程度。デスクに置いてもかさばらない。
筆者は締切間際でランチを買いに行く暇も惜しい時、湯を注いでごはんを少し入れ、〝ラーメンライス〟にしている。さらにレンチンしたウィンナーソーセージをのせると、大げさではなく幸せの味だ。
最後に、『NOMEN』の、今後の展望も聞いた。
「ゆくゆくは、日本のみならず世界的に人気な〝RAMEN〟文化を、ラーメンスープの製造メーカーである弊社から、『NOMEN』というスタイルで広く国内外に発信してゆきたいです。また、ラーメンにはご当地ラーメンをはじめとするさまざまなバリエーションがあるように、これからも種類を増やしていきたいですね。身近なラーメンスープという商品ですので、皆様それぞれのスタイルでお楽しみいただければと思います」
取材・文/ニイミユカ