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〝神の遣い〟として愛される「ニホンライチョウ」の飼育繁殖に取り組む恩賜上野動物園

2024.08.11

東園で日本や世界の鳥類を見て驚き感動する

「恩賜上野動物園」では、日本でも日常で見かけることが貴重な鳥や、世界の彩り鮮やかな鳥、餌の塊肉を鋭いくちばしで食いちぎる姿が迫力ある猛禽(もうきん)類などの展示も行われている。

多くの鳥に出会える「恩賜上野動物園」の中でも特徴ある鳥たちを少し紹介しよう。

正門を入ってすぐ左にある「日本の鳥Ⅰ」展示場では、日本に生息する鳥たちを観ることができる。とはいえ、普段から生活している中で目にするような鳥たちではない。自然界でも出会えたら少しうれしくなってしまうような鳥たちが展示されている。また、それぞれの鳥たちには生きてきた歴史や生きる物語がある。

緋色(ひいろ)の「アカショウビン」は、夏鳥であり暖かいところへ渡る渡り鳥である。カワセミやヤマセミなどのカワセミ類に属するのだが、その中で渡り鳥なのはこのアカショウビンだけなのである。冬は東南アジアへ渡り、越冬する。この小さな身体で海を渡るのだ。

[アカショウビン]

瑠璃色(るりいろ)の「ルリカケス」は日本の奄美大島周辺の島に生息している固有種である。一度は、今の「ニホンライチョウ」のように数を減らし「レッドリスト」や「希少野生動植物種」から指定されたのだが、その後の減少した要因である生息域の環境改善、人のよって持ち込まれた生き物の駆除によって、激減していた個体数は増加することとなった。今では「レッドリスト」や「希少野生動植物種」の指定解除がされている。

[ルリカケス]

東園の東の奥に位置する、「バードハウス・バードケージ」では世界で生息する鳥たちを展示している。2階建てのモダンなタイルの壁に覆われたその展示室の1階には地上や水辺で暮らす鳥たちを、2階では木々の上で暮らす鳥たちを展示している。1階と2階が吹き抜けている展示もあり、自由に飛びまわる鳥たちの姿を見上げたり見下ろしたりと様々な視点で観察できるのは面白い展示方法である。

鮮やかな緑、マンゴーのようなオレンジ、目元を縁取る白。赤いくちばしはとても目をひく「ルリゴシボタンインコ」中央アフリカ東部の限られたエリアに生息している。標高1100m~2200mの場所で群れを作って生活しているのだそうだ。1羽でもでも目をひく彼らを、群れで観ることの迫力は、ここ「恩賜上野動物園」でも観ることができる。とても鮮やかで目を奪われる。

[ルリゴシボタンインコ]

灰色と白色の腹と厳かな装いに、烏帽子(えぼし)をかぶっているかのようなトサカ。烏帽子とは、平安時代からの和装で成人男性のかぶり物である。時代劇等で目にすることもあるだろう。東アフリカから北東アフリカなどの広域に生息している。淡い青色の卵を2~3個ほど産み、4週間ほどで孵化する。

[シロハラハイイロエボシドリ]

正門をくぐって東園を右へ進んでいくと、猛禽類が展示されている少しなだらかな坂になっているエリアが現れる。ここには、食物連鎖の頂点に立つ鳥たちを観ることができる。一番見応えのあるのは餌やりの時間だ。

与えられる餌には、生肉や冷凍マウスなどの肉である。

肉を、太めの足の先にある爪でホールドし、鋭いくちばしで食いちぎるかのように食べる姿は流石、猛禽類。迫力がある。日本に生息するタカ科の中では大型である事から「クマタカ」と大きな生き物である熊からの名前の由来となった。

[クマタカ]

日本で飼育しているのは「恩賜上野動物園」ただ一つ。勝手なイメージだが、首も細くスラッとしているイメージがあったのだが、実際に目の前で観てみると、まず全体の大きさに驚かされる。首も太く、なかなかのマッチョ体型。しかし、表情や直立している姿はとても愛らしい。ここでは、同園では複数の「コシジロハゲワシ」が餌の時間には肉の争奪戦を繰り広げる。飼育係が置いていった肉を飛んでいくのではなく、駆けてつけて捕食する姿がまた愛らしい。餌の時間彼らを観たらその愛らしさにファンになる人も多いのではないだろうか。

[コシジロハゲワシ]

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