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ボルダリング?ボルダー?スポーツクライミングの種目名が変更された理由とパリ五輪の見どころ

2024.08.05

パリ五輪の競技のひとつ「スポーツクライミング」。日本からは楢﨑智亜、安楽宙斗、森秋彩、野中生萌の4名の選手が出場する。いずれも、世界大会で結果を残している選手でもあり、メダルが期待される競技となっている。

4人が出るスポーツクライミングの複合種目は「ボルダー」と「リード」で構成される。

これを聞いて「あれ?」と思った人もいるかもしれない。「ボルダリングは?東京五輪ではボルダリングだったよね?」と。

パリ五輪では「ボルダリング」が「ボルダー」と呼ばれている。その理由を解説したい。

壁を登るあのスポーツは「ボルダリング」?「ボルダー」?

なぜ変わった?「ボルダー」と呼ばれるワケ

日本では、ロープなどを使わず岩や人工壁を登る競技を指して「ボルダリング」と呼んできた。日本国内にあるボルダリングができる施設も「ボルダリングジム」あるいは「クライミングジム」と呼ばれて(名乗って)いる。

おそらく多くの日本人にとって、このスポーツを「ボルダリング」と呼ぶことになじみがあるに違いないだろう。

しかし実は、海外では「ボルダリング」ではなく「ボルダー」と呼ばれることが多い。IFSC(国際スポーツクライミング連盟)の国際大会でも「ボルダー種目」と表記される。

それに合わせるかのように、2023年2月から、JMSCA(日本山岳・スポーツクライミング協会)はこれまで「ボルダリング」と表記していた呼称を同年4月より「ボルダー」に改めると発表した。国際的に定着している呼称に統一されたのだ。

これに伴い、国内最大の大会として知られている「ボルダリングジャパンカップ」も「ボルダージャパンカップ」と改称された。

なぜ世界と日本で呼称が違うのだろうか。正確な理由は定かではないが、日本において「ボルダー」といえば、アウトドアのクライミングで登る大きな岩そのものを指す言葉であった。もしかしたら呼び分けようという意図もあったのかもしれない。

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他にもある!東京とパリの大きな違いとは

前回大会から変更されたのは種目の呼び方だけではない。

東京五輪では「スポーツクライミング」は規定のコースを登る速さを競う「スピード」、どこまで高く登れるかを競う「リード」、そして難易度の高いコースをどれだけ多く登れるかを競う「ボルダリング」の3種目の複合で順位が決められていた。

しかし、パリ五輪ではこのルールに多少の変更が加えられた。スピードが別種目となり、複合はボルダー・リードの2種目で行われる。

順位は各種目の合計得点で決まる。

持ち点はボルダー・リードそれぞれ100点ずつ。ボルダーでは4つの課題に25点ずつ分配され、全て一発で登れれば100点が与えられる。また、ゾーンと呼ばれる中間地点へ到達した数や、試行回数(アテンプト)に応じて点数が変動する。

リードは登った高さに応じて得点が与えられる。TOP(1番上のホールド)を保持し、最後のクリップを掛けられれば100点となる。

残念ながら「スピード」種目では日本人の代表権が獲得できず、先述の通り、「複合」(ボルダー&リード)で4人の選手が出場する。

ボルダーとリードはルールに違いこそあるが、指の強さや体のコントロール、足の使い方など重要な技術には共通している部分も多い。

一方スピードは他種目と異なり、瞬発力や筋力といったシンプルな強靭さが求められる。

トレーニングのしやすさや結果の出しやすさから見て、今回のルール改正はほとんどの選手にとって有り難いものだったといえるだろう。

ボルダーはロープをつけない。低い壁に用意された課題を、制限時間内に何度もトライして課題をクリアすることを目指す

リードはロープをつけて壁の頂点を目指す。トライできるのは一度きり

新ルールを味方につける!楢﨑選手の「パリ対策」

パリ五輪日本代表・楢﨑智亜選手はボルダーとスピードを得意とする珍しいタイプの選手だ。

ボルダーでの活躍はよく知られているが、スピードでも日本人初の5秒台をマークするなど、十分世界に通用する実力を持っていた。

特に楢﨑選手が編み出したスタート直後のホールドを「スキップ」することで劇的にタイムを縮められる「トモアスキップ」は今でも多くのスピード選手が採用するテクニックだ。

しかし今回楢﨑選手はスピード種目ではなく、ボルダー&リード種目でエントリーしている。

楢﨑選手は東京五輪の時から、ダイナミックな動きで壁を登る姿が印象的な選手だ。海外からは「NINJA」の異名で知られるほどである。

しかし、最近の彼の強みはそれだけではない。

垂壁(地面に対し90度の壁)や傾斜が90度以下の「スラブ」と呼ばれる壁も得意としている。

パリ五輪では「ボルダー」は予選、決勝でそれぞれ4つの課題を登る。さまざまな課題が用意され、少なくともその内の一つは「垂壁」もしくは「スラブ」のになることが予想される。傾斜が小さい壁はダイナミックな動きよりも、手足を繊細にコントロールするテクニックやバランス感覚が肝要だ。

東京五輪後の3年間の世界大会の成績を見ると、楢﨑選手は確実にスラブ壁も得意としてきており、ダイナミックさだけでない、オールマイティな選手へと成長している。

楢﨑選手はパフォーマンスの追求のためクライミングシューズの開発にも携わっている。写真は楢﨑選手がパリ五輪でも履くクライミングシューズ「フラッグシッププロ」(UNPARALLEL)。
※写真はキャラバンより

スポーツクライミング界にとって二度目の五輪が始まった。

種目やルールにはさまざまな変更が加えられたものの、五輪独特の熱気は3年前と何ら変わらない。

競技は8月5日日本時間10時から男子ボルダー&リード複合・ボルダー準決勝で幕を開ける。

大舞台で躍動する選手たちの姿を、今年もしっかりと目に焼き付けたい。

文/キタノ

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