電気とエンジン、それぞれの走行性能は?
Dレンジでエンジンスタート。スタート時に駆動系からのショックを感じた。クラッチが急につながったようなショックだった。「ヴェラール」初のPHEVということもあったのかもしれないが、ここは改良が必要だろう。
走り出してからの動きはスムースで速い。約2.3tの「ヴェラール」を軽快に、音もなく走らせる。「コンフォート」モードでの乗り心地は低速域から中速域では、路面の凹凸によりゴツゴツ感やザラつきが、室内に伝わってくるが高速になると、細かい動きは消え、やや大きめの上下動が感じられる。「ダイナミック」モードでは、上下動よりも全域での硬さが前面に出てくる。
「ヴェラールPHEV」のサスペンションは、ガソリン/ディーゼル版の「ヴェラール」とは異なり、コイルサスペンションしか用意されていない。タイヤはミシュランの「ラティチュード ツアーHP」265/45R21サイズを装着していた。
ハンドリングだが「コンフォート」では全域で重めの操舵力で、コーナーでは切り込んだ後の戻しが強かった。「ダイナミック」モードでも操舵力の重さは、コンフォートと大きく変わらなかったが、高速コーナーでは、若干外側に行こうとするアンダーステア的な動きが感じられた。
一般走行で電気を使い切ってしまうと、2.0Lガソリンターボエンジンが始動する。エンジンは始動すると若干、音と振動が伝わってくるが、5000回転まで回しても、ノイジーな音ではなかった。なので、100km/h巡航時にエンジンで走行しても8速1600回転、7速2100回転なので、平和なクルージングは可能。そのときの燃費は18.0km/Lを記録したので、ガソリン走行でも燃費は納得できる範囲だろう。
ちなみに動力性能は、0→100km/hの加速を計測すると、6秒台で走り切った。車重2.3tのSUVとしては十分速いタイムだ。充電に関してだが、充電口は200Vのみで急速充電はできない。充電量と可能走行距離はどちらもメーター内に表示される。%とkmの両方が表示されるのは親切だ。
試乗中に、充電量が残り6%、航続距離2kmの状態から200V、3kWで充電を開始したが、100%まで6時間20分の表示が出た。この充電時間なら十分常にEVモードで走行できそうだ。ちなみに充電量が残り25%で、満充電時間は5時間だった。
ただ、充電ケーブルを収納するスペースがラゲージにないとか、走行中に充電が十分できないなど改善点はあるが、エンジンとモーターを上手に使えば、スマートなEVライフを楽しめそうだ。ラグジュアリーなミドルクラスEVが提案する、クルマの新しい使い方を体験できそうな1台だ。
■ 関連情報
https://www.landrover.co.jp/range-rover/range-rover-velar/index.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博