日本人にとって昔からある習慣のひとつ「お盆」。ただ、昨今はお盆にお休みを取らない人も一定数おり、人によってはあまり馴染みのない行事となっているようだ。
そこで『TimeTree未来総合研究所』は、TimeTreeユーザーの予定動向を分析。世の中でお盆がどのように認識され、どのように過ごされているか実態を調査した。
お盆に関する世代間ギャップが「夏休み」「帰省」「墓参り」「盆踊り」予定から浮き彫りに
まずはお盆に特徴的な予定を調べるため、お盆とその前後の土日祝日を含む2024年8月10日~18日の9日間に、その前の9日間と比べて顕著に増加している予定を調査。
その結果、お盆らしい特徴的な予定としては「休暇」「帰省」「墓参り」「盆踊り」に関連した予定が出現していた。
「休暇」関連では、特に「夏休み」の予定に注目し、お盆期間の8月13日から16日に「夏休」「夏季休暇」など夏休みに関連したキーワード7つの予定を登録している人の割合を世代別に見てみたところ、50代・60代ではお盆に合わせて夏休みをとる割合が顕著に高く、若い世代とのギャップが見てとれる。
また、学生が多い10代は、あえてお盆期間に「夏休み」の予定を登録しない傾向があるようだ。
続いて、お盆休み中に多く行われる予定である「帰省」や「墓参り」「盆踊り」についても調査。
まずは帰省について、お盆とその前後の土日祝日を含む8月10日~18日の期間に「帰省」の予定を登録していた人数を世代別に見てみると、実家で暮らしている人が多い10代では帰省の予定を登録していた人数が少なくなったものの、20代以上では若い世代の方がお盆の時期に帰省の予定を入れる傾向が強くなっていた。
一方、同じ期間の「墓参り」の予定についても世代別に調べてみると、若い世代ほど墓参りの予定を入れる人は少なく、年代が上がるにつれて多くなる傾向がみられる。
さらに、お盆に関連した予定として「盆踊り」の予定についても見てみると、こちらも10~20代では「盆踊り」の予定を登録する人の割合が少ないことが顕著に見てとれた。
「盆踊り」は近年では宗教色が薄れ、お祭りごととしての側面が強まっているものの、元来は「墓参り」と同じく先祖を偲ぶイベントとしてのルーツを持っている。
今回の調査結果は、お盆が若い世代にとって「帰省期間」としては認識されているものの、先祖や故人を偲ぶ慣習としては認識されなくなりつつある兆しと言えるかもしれない。
ちなみに、特に他世代との予定傾向が顕著に違った10代でお盆期間(8月13日~16日)に登録数が多い予定を見ると、1位が「部活」2位「バイト」3位「休み」4位「塾」5位「お盆」という結果に。
10代にとってはお盆もいつもと変わらない予定を過ごす期間なのかもしれない。
■TimeTree未来総研所長 深川泰斗氏のコメント
一般的に8月13日~16日の時期を指すことが多い「お盆」ですが、実は明治時代の初めまでは旧暦の7月15日頃に行われていました。
そこから旧暦から新暦への切り替えにより、新暦の7月15日頃に行われる「新盆」と新暦の8月15日頃に行われる「月遅れ盆」、旧暦の7月15日頃に行われる「旧盆」の3つのお盆ができたと言われており、今でも地方によってどのお盆が主流かが異なります。
現代では旧暦から新暦への切り替わりのような大きな変化はなかなか起こりませんが、夏期休暇取得時期の多様化や、宗教観の変化により、特に若い世代にとってのお盆の意味合いが変わりつつあり、今回の調査のような結果が出たものと思われます。
特に「墓参り」という側面では、昨今では物理的なお墓を持たない新しいスタイルなども生まれ始めていますが、そういったスタイルが普及していくと、先祖の霊を送り迎えするというお盆が旧来持っていた役割も、より一層変化していくかもしれません。
調査概要
・2024年6月の国内アクティブユーザーを対象に10代から60代の10歳ごとの年代に分けて登録データを分析
・分析に使用したデータは、匿名性を保つために統計的に処理している
関連情報
https://timetreeapp.com/intl/ja/future-research-institute
構成/Ara