賃貸物件を借りる際、「少しでも家賃を抑えたい」と思う人は多いはず。そこで、比較的賃料を抑えられる駅として注目したいのが、快速列車や止まらない「各駅停車しか停まらない駅」だ。
各駅停車しか停まらない駅に住むと、乗車時間が長くなったり、乗り換えが必要となったりというデメリットもある一方で、賃料の安さだけでなく、電車が空いていたり、ホームの混雑が少ないといったメリットもある。
そこで不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」はこのほど、一都三県+大阪府における普通列車(各駅停車)しか停まらない駅の中でファミリー世帯向き賃貸物件の問合せ数が多い駅を調査した「各駅停車駅なのに人気の駅ランキング(ファミリー編)」を発表した。
【東京都】1位はシングルと同じ「綾瀬」。TOP3はJR常磐線沿線の駅が独占
東京都編では1位「綾瀬」、2位「金町」、3位と「亀有」となり、TOP3はすべてJR常磐線の駅となった。
1位の「綾瀬」はJR常磐線と東京メトロ千代田線が乗り入れ、「日比谷」「赤坂」「表参道」などにもダイレクトアクセスができる交通利便性の高い駅だ。東京メトロ千代田線の始発駅になっている場合もあり、座って通勤・通学をすることも可能だ。スーパーや飲食店も充実していながら家賃相場は隣駅の「北千住」(家賃相場:90,500円)よりも6,000円ほど安く、コスパの良い街として人気だ。
2位の「金町」はJR常磐線が乗り入れ、すぐ近くには京成金町線が乗り入れる「京成金町」もあるので2路線の利用が可能だ。下町情緒を残す「金町」は葛飾区立中央図書館や都内最大級の水郷公園である水元公園など子育て環境もよく、長閑で落ち着いた雰囲気の中で子育てをしたい人におすすめの街だ。
3位の「亀有」はJR常磐線が乗り入れる1位の「綾瀬」の隣駅だ。家賃相場も安価ながらスーパーやホームセンターなどが充実しているほか映画館まであり、すべてを駅徒歩圏内で完結させることができる。
【神奈川県】1位はTOP10内で最も家賃相場の安い「淵野辺」。東急線沿線の駅が多くランクイン
神奈川県編は1位「淵野辺」、2位「東戸塚」、3位「古淵」となり、TOP10のうち6駅が東急線沿線の駅となった。
1位の「淵野辺」はTOP10内で唯一家賃相場が6万円台と安価でありながら、横浜まで40分程度でダイレクトアクセスができ、交通利便性も優れている。また南口側には国道16号が通っており、車でのお出かけも便利だ。
「麻布大学」、「青山学院大学 相模原キャンパス」、「桜美林大学 プラネット淵野辺キャンパス」などの大学、「防衛省 防衛装備庁 陸上装備研究所」といった機関、さらに「JAXA 宇宙科学研究所 相模原キャンパス」があり、大学や研究機関が多いのも特徴だ。
2位の「東戸塚」は湘南新宿ライン宇須とJR横須賀線の2路線を利用でき、「東京」「新宿」「品川」といったターミナル駅にもダイレクトアクセスができる。
3位の「古淵」はJR横浜線が乗り入れており、隣の「町田駅」で小田急線に乗り換えて新宿方面へ、「長津田駅」で東急田園都市線に乗り換えて渋谷方面にアクセスが可能だ。駅から徒歩圏内に、「イオン」「イトーヨーカドー」「MEGAドン・キホーテ」「島忠 ホームズ」「ニトリモール」といった複数のショッピングモールが集まっている。家賃相場もTOP10の中で「淵野辺」に続いて安く、コスパの良さが魅力だ。
【千葉県】1位は江戸川の自然を享受できる「妙典」。都心にアクセスしやすい東西線・JR常磐線の駅が上位を独占
千葉県編は1位「妙典」、2位「馬橋」、3位「北小金」となり、TOP10には東京メトロ東西線とJR常磐線上の駅が並んだ。
1位の「妙典」は東京メトロ東西線が乗り入れており、「飯田橋」や「大手町」にダイレクトアクセスが可能だ。駅が開業したのは2000年と比較的新しく、区画整理も施されているため歩道も広く、小さい子どもを育てている人や高齢者にもおすすめの街だ。駅前には商店街や大型商業施設があり生活利便性も良く、少し歩けば江戸川河川敷で自然を享受することもできる。
2位の「馬橋」はJR常磐線の駅で、沿線の「松戸」や「柏」と比較するとあまり知られていない駅だが、治安が良くファミリーを中心に人気のベッドタウンだ。公園が多く、近くには江戸川も流れており、自然やのどかさを享受できる街だ。
3位の「北小金」はJR常磐線が乗り入れる松戸市にある駅だ。閑静な住宅街で、お寺や神社が多くあることから心静かに穏やかな生活を送りたい人にとっておすすめの街といえそうだ。
【埼玉県】1位は東武伊勢崎線が乗り入れる「獨協大学前」。都心や主要ターミナルへのアクセスの良い駅が並ぶ
埼玉県編は1位「獨協大学前」、2位「戸田」、3位「谷塚」となり、都心や主要ターミナルへのアクセスの良い駅が並んだ。
1位の「獨協大学前」は東武伊勢崎線が乗り入れ、足立区内でも最も大きなターミナル駅「北千住」に20分程度でダイレクトアクセスできるほか、東京メトロ日比谷線直通列車であれば「日比谷」や「銀座」にも乗り換えなしで行くことができる。都心へのアクセスだけでなく、東武動物公園や大型商業施設のある「越谷レイクタウン」などへのアクセスも良く、その名の通り大学もあることから学生・ファミリー双方に愛されている街だ。
2位の「戸田」はJR埼京線が乗り入れ、「池袋」や「新宿」へも20~25分で乗り換えなしでアクセスが可能だ。都心へのアクセスの良さだけでなく、駅周辺には飲食店や商業施設もあり、買い物の不自由もない。また、徒歩圏内に市役所やスポーツセンター、市立図書館などの公共施設があることも大きな魅力だ。
3位の「谷塚」に乗り入れる東武伊勢崎線は普通のほか、急行・区間急行・準急・区間準急と様々な種類の電車が走っているため、普通電車は比較的空いており、通勤・通学も楽。また、国道4号線にも近く、車を利用する人にとっても交通利便性の高い街だ。
【大阪府】「大阪梅田」すぐの「庄内」「三国」がTOP3に。TOP10内には様々な路線・エリアがランクイン
大阪府編は1位「庄内」、2位「住ノ江」、3位「三国」となり、様々なエリア・路線の駅が並んだ。
1位の「庄内」は阪急宝塚線が乗り入れており、大阪屈指の繁華街・オフィス街である「大阪梅田」まで4駅という交通利便性が魅力だ。駅すぐの場所には「豊南市場」があり、青果や鮮魚、加工食品などを安く購入することができる。
2位の「住ノ江」は南海線が乗り入れており、大阪ミナミを代表するターミナル駅「難波」まで13分ほどでダイレクトアクセスができる。
3位の「三国」は阪急宝塚線が乗り入れており、1位の「庄内」の隣駅だ。「大阪梅田」まで3駅、かつ近くには国道176号線も通っている。駅周辺には大型スーパーやホームセンター、飲食店があり、交通利便性と生活利便性の両方を兼ね備えた街だ。
■LIFULL HOME’S PRESS編集部 渋谷雄大氏のコメント
優等列車が停まる駅は当然乗車可能な列車本数が多く、目的地までの速達性も優れることから、居住ニーズが高く家賃も高くなる傾向にあります。しかし、コロナ禍を経てテレワークやハイブリッドワークが一定程度定着した今、都心アクセスの優先度が低くなったという方も少なくないのではないでしょうか。そういった方にとっては、比較的家賃の抑えられる「各駅停車しか停まらない駅」は穴場駅といえます。
また、今回千葉県の1位となった「妙典」は3駅隣の浦安で、埼玉県の1位となった「獨協大学前」は1駅隣の草加で、それぞれ優等列車に乗り換えができるため、近隣の優等列車停車駅とほとんど変わらない所要時間で都心に到達できます。このように、各駅停車しか停まらない駅と一口に言っても、その利便性はさまざま。住まい探しの際には、各駅停車しか停まらない駅だからといって一様に選択肢から外してしまうのではなく、優等列車との接続の有無や、目的地までの所要時間を調べてみてはいかがでしょうか。「コスパ」「タイパ」に優れた駅が見つかるかもしれません。
<調査概要>
対象期間:2023年4月1日 ~ 2024年3月31日
対象駅 :普通列車(各駅停車)しか停まらない駅
※平日・土休日/上下とも1日1本以上優等列車が走らない駅は除外、2024/7/11時点
集計方法:LIFULL HOME’Sに掲載されたシングル向き賃貸物件の問合せ数を駅別に集計
※ファミリー向き:2DK、2LDK、3K、3DK、3LDK~
家賃相場:管理費を含む⽉額賃料の中央値(築40年以内、駅徒歩20分以内、専有面積15m²以上40m²未満)
構成/こじへい