ラジコン仕込みの理論でピッチングが大きく進化
山本さんは「ラジコン推し」でも知られ、その腕前もトップレベルだ。
「最初はとにかくラジコンを走らせることに熱中していましたが、周囲を見渡すと、実は上手い人ほど、走ることの何倍もの時間をセッティングにかけているんです。その真剣な姿に打たれ、ふと〝自分はこんなに一生懸命、野球に打ち込んできたのか?〟という気持ちが湧き上がりました。ラジコンのセッティングで学んだ“準備の重要さ”を野球で意識して、主にピッチングフォームを見直し、効率的なフォームや負担のないフォームなどを、自分で研究していったんです。まだ根性論がまかり通っていた時代、動作解析の意味合いでは先駆けだったのかもしれません。今振り返ると、ラジコンがあったからこそ長く現役を続けられたと思いますね」
もうひとつの推し「競馬」も投手としての自己管理法とつながったと言う。
「競馬を実際にはじめたのは現役引退後で、それより先にハマったのは競走馬を育成するゲーム『ダービースタリオン』でした。プレーは遠征時限定で、球場から宿舎に戻ってゲームに没頭すると心身がリラックスでき、深く眠れるので、翌日まで疲労を引きずることはありませんでしたね。このほかにもオオクワガタの飼育に熱中したこともありましたが、飼育時の姿勢によって腰が張ってきたことから、最後は近所のお子さんたちに配りきれいに身を引きました」
一度ハマれば極めないと気が済まない〝明るく健全なオタク〟だという山本さんには確固たる「推し」の流儀がある。
「野球という大きな幹があり、その周りの枝葉として複数の推しがあることで、生活にメリハリがつき、有意義な気分転換になりましたが、野球を邪魔する不健全な『推し活』は1度もありませんでした。裏を返すと、人生をかけた一番の推し活は〝野球〟だと言えますね」
山本さんの推し【1】推し活歴は30年を超える!
投手人生の転機となったドジャースの野球留学。現在でも当時着用したユニフォームや帽子、関連グッズは大切に保管しているという。
山本さんの推し【2】全国大会4位という戦歴も!
現役時代の終盤には、ラジコンを封印していたというが、引退と同時に再開。ラジコン仲間の元プロ野球選手・山㟢武司さんと共に、『山山杯』というラジコン大会を主催している。
山本さんの推し【3】持ち前の推しに対する研究心で的中率も好調
アニメ映画『ウマ娘 プリティーダ―ビー 新時代の扉』では、競馬好きがつながり、解説役として出演。競馬は現役後にはじめた推し活ながら、これまでの的中率はほぼ5割だそう。
©2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会
取材・文/安藤政弘 撮影/玉井幹朗 写真/AFP=時事
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