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ついに日本国内でも利用可能に!緊急時に役立つiPhoneの衛星通信を試してみた

2024.08.01

ソフトバンクの「HAPS」や楽天モバイルの「スペースモバイル計画」といったように、近年は「衛星通信」というワードをよく耳にするようになりました。

デバイス側でいえば、2022年のiPhone 14シリーズ、2023年のiPhone 15シリーズで、衛星経由での緊急通報サービスに対応。当初はアメリカとカナダの2か国のみの提供でしたが、徐々に提供国を拡大。そして、2024年7月末ごろに、日本でのサービススタートも発表されました。

本記事では、実際に日本で、iPhoneを使った緊急通報を試しながら、サービスの詳細や操作方法について紹介していきます。

上空1300キロにある24機の衛星と通信! 2年間は無料で使える!

iPhoneの衛星通信は、衛星通信ネットワークを手掛けるグローバルスター社との協業で行われます。上空1300キロを時速2万5000キロで飛行する、24機(サービス開始時点)ある衛星と通信することで、山の中や海上など、モバイル通信圏外のエリアでも、緊急通報が行えるというもの。執筆時点で、iPhone 14シリーズ、iPhone 15シリーズで利用できます。

あくまで緊急時用なので、LINEアプリなどでチャットを送れるわけではありませんが、iPhoneで緊急通報ができるのは、それだけで安心材料になります。特に衛星通信端末は、大きなアンテナを付けた携帯電話のような製品が必要となることが多いので、手元のiPhoneでできると思えば、山に登る際などの荷物を減らせるという意味でも有用でしょう。

なお、衛星通信による緊急通報は、iPhoneのアクティベートから2年間は無料で利用できます。また、対応国であれば、海外でも利用できます。

■iPhoneで衛星通信をして緊急通報をしたらどこに届く?

日本をはじめ、多くの国では、消防の通報は音声のみの対応となっています。そのため、基地局からの情報は、アップルが用意した衛星中継センターへと繋がり、そこから消防や警察、海上保安庁へと通報が届く仕組みとなっています。

実際にiPhoneの衛星通信を試してみた! 事前の設定はみんなやっておこう

衛星通信を使う前に、というと語弊がありますが、万が一使わざるを得ない状況になったときに備え、事前に設定しておきたいのが、「メディカルID」というもの。ヘルスケアアプリより、身長や体重、血液型、アレルギーなどの情報を入力しておけば、緊急通報時に、必要な情報が自動的に送信されます。これにより、救助に向かう緊急通報サービスの初動がよりよくなります。

また、緊急連絡先を設定しておけば、衛星通信での緊急通報時に、衛星中継センターとのやり取りや位置情報を自動的に共有できるため、状況をすぐに伝えることができます。

これらの設定は、山や海など、通信ネットワークや Wi-Fi の電波が届かない場所に出かける前にやっておくことが肝心なので、時間のあるタイミングで行っておくことをおすすめします。

■衛星通信による緊急通報の手順

衛星通信のサービス開始後、圏外の状態で119番通報をした場合、「接続していません。衛星経由で緊急テキストの送信を試してください。」と表示されます。この画面で、左下の「緊急テキスト」をタップすると、衛星通信による緊急通報が行えます。

次に「緊急通報の報告」と進むと、現在の状態を順番に問われるため、当てはまるものをタップしていきます。最後に、緊急連絡先へ通知するか否の確認も行われます。

続いて、メッセージの送受信を行うため、iPhoneを衛星が飛んでいる方向に向けます。画面上にiPhoneを向けるべき方向が表示されるため、案内に従ってiPhoneの向きを変えればOK。初めてでも、あまり迷うことなく操作できるはずです。

ただしく衛星と通信が出来れば、アップルの衛星中継センターと接続され、今いる場所など簡単な質問がされます。このチャット欄は、緊急連絡先への通知をオンにしていれば、自動的に共有されます。

接続にかかる時間は、状況によって異なるとのことでしたが、筆者が試した状況では、10秒前後で接続できました。本来は大きくなってしまう外部アンテナを本体に内蔵し、衛星特有の狭い帯域幅でも送受信できるソフトウエアを統合することで、これが実現しています。もちろん、モバイルデータ通信を使ったやり取りには劣りますが、接続状況は進行バーによって表示されるため、安心感があります。

■「探す」機能を使った位置情報の共有も衛星通信で可能に

上記した緊急通報が、衛星通信の目玉機能ではありますが、iPhoneの「探す」機能を使った位置情報の共有も、衛星通信を使って可能になります。グループで登山をする際などに便利な機能です。

■Apple Watchは衛星経由での通報をアシスト可能に

Apple Watch Ultraでは、iPhoneにはない、転倒検出機能や、歩いた道順を辿ったり、モバイルデータ通信に接続した最後の場所をマッピングするコンパス機能、86デシベルの音を鳴らすサイレンが利用できます。

また、Apple Watch単体で衛星通信ができるわけではありませんが、万が一転倒が検出されて一定時間動きがなく、モバイルデータ通信への接続がない場合でも、自動的にiPhoneの衛星通信経由で緊急通報サービスに通報することができます。

これらのApple Watchの機能とiPhoneの衛星通信を組み合わせることで、より安全にアクティビティを楽しめるようになります。

取材・文/佐藤文彦

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