車両を並行輸入する予定はなし
なお、車両を並行輸入する予定はなく、日本で5ドアが発売されるようになれば、すぐにでもポップアップルーフを装着したコンプリートカーを販売する予定とのこと。
▲ジムニー特有の角張ったシルエットを損なわないよう、ポップアップルーフをデザイン
次世代ポップアップルーフが社会課題を解決
電動ポップアップルーフ開発はホワイトハウス初の試みだという。
「手で押し上げるポップアップルーフはダンパーの圧力でスーッと持ち上がるんですが、電動はモーターで持ち上げます。つまり左右のスピードが同じでないと傾いでしまい、その影響でモーターが焼き付く危険があるんです。そのあたりの調整が難しかったです。
それにジムニーですから過酷な道を行くこともあるでしょう。そうなると故障のリスクが高まるので、今後の輸出については手動か電動か、あらためて検討する予定です」(橘さん)
海外では日本の林道よりもハードな場面もあるだろう。電動で開閉できるのは魅力的だが、トラブルはいただけない。ユーザーとしても悩みどころだ。
それでもあえて電動ポップアップルーフに挑戦したのは?
「ホワイトハウスはポップアップルーフのパイオニアで、そろそろ次世代のポップアップルーフが必要になると考えています。
日本では、コロナ禍での集団感染防止をきっかけに車中泊をする人が増えたと言われています。また、災害時の避難生活に車中泊を選ぶ人も多くいらっしゃいます。
ところがきちんと眠れるクルマではないためにエコノミー症候群で亡くなられる人は少なからずいるわけです。
キャンピングカーという楽しいモノを開発している会社ですが、そのノウハウで社会課題を解決できるのでは。そう考えてポップアップルーフを開発しているんです」(橘さん)
次の課題はスイベルシート
さて、ジムニー5ドアのポップアップテントで2名就寝が可能なら、車内を1~2名の寝室とすればファミリーキャンプも夢ではないのだが「残念ながら5ドアは段差が大きくて、そのままでは車内で眠れません。床を増すか、シート自体を開発するかしなくては」と橘さん。
そうなると期待されるのがホワイトハウスのお家芸、スイベルシートの搭載だろう。
スイベルシートとは、純正フロントシートをくるっと回転させて後ろ向きにできる回転装置。もし、スイベルシートを搭載して車内もベッドにできるならかなり余裕の居住空間ができそうだ。
コンパクトな車体だけに実現にはまだまだ課題が残っているそうだが、このあたりは頑張ってほしいところ。ポップアップルーフとともに輸出のチャンスもありそうだ。
「車中泊を楽しんでほしいけれど、車内にこもっているだけではもったいない。ホワイトハウスではコンパクトな車両にもポップアップルーフを搭載して、多くの人に楽しみを広げてほしいと考えています。(ジムニーほかコンパクトな車中泊カーを)キャンプなどいろいろなことに使ってほしいし、そのポテンシャルは十分あると思っています」(橘さん)
【問】ホワイトハウス
取材・文/大森弘恵