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日本人のおよそ3人に1人が該当!高血圧ケアに企業の枠を超えて取り組むべき理由

2024.08.01

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

交通事故死者数の約30倍に上る心臓突然死

日本では年間8万人もの突然死が起きており、交通事故で亡くなる数の約30倍にも及ぶ。連日、酷暑に見舞われている今夏は、高血圧による心臓突然死のリスクが高まっている。

日本人にとって最も身近なテーマでありながら、放置をすると大きな健康リスクにもつながる「血圧」領域。血圧をテーマに事業を展開している、Mizkan、森永乳業、オムロン ヘルスケア、プリメディカ、新生堂薬局、刀および事業子会社のイーメディカルジャパンの、6社共同で新プロジェクト「PROTECT HEARTS PROJECT(プロテクト ハーツ プロジェクト)」を立ち上げることを発表。血圧ケアの大切さや、日々取り組める身近なアクションの啓発を進めていく。

〇消費者がより健康や血圧について真剣に考える「リアルな接点」での啓発活動

ドラッグストアでの店頭や、健康診断受診施設など、健康や血圧課題が自分ごとになるタイミングに、血圧の健康リスクやすぐに始められるアクションの提案など、リアルな接点ならではの人を介した啓発活動を行う。今後はさらに参画企業を拡大し、小売店やフィットネス施設など日常のなかで健康を意識する多くの「リアルな接点」で共通したメッセージ、啓発を行っていく。

〇SNSなどを活用したソーシャルアクションでの認知拡大

公式X アカウントを立ち上げ、よりカジュアルに「血圧ケア」について考えるきっかけ・接点を作るとともに、自分だけでない周囲の大切な人へ血圧ケアの大切さを促すソーシャルアクションを起こしていく。

〇血圧に関する誤解、不正確な情報に立ち向かう

血圧領域は「血圧は下げない方がいい」「薬は飲まないほうがいい」など、消費者が信じたくなる非科学的な言説もあふれているのが現実。この事業領域に取り組む企業体の責任として、医師・専門家やメディアと協力しながら、書籍や動画配信、ネット記事など消費者の健康を害す情報から「守る」活動と適切な情報発信を進めていく。

プロジェクト参加企業各社の血圧領域への取り組み

〇Mizkan 

マインズ<毎飲酢>」シリーズは、血圧が高め(収縮期血圧130-139mmHg、拡張期血圧80-89mmHgに該当する)の人に適した特定保健用食品(トクホ)のお酢ドリンク。黒酢とりんご酢の2つの味種があり、黒酢やりんご酢をベースにりんご果汁とはちみつを加え、すっきりとした味わいで、無理なく続けられる味わい。ストレートタイプの商品で1L の大容量タイプ(黒酢・りんご酢)と、100mlの紙パック(黒酢)の展開。

「ミツカングループは商品だけでなく、お酢そのものが持っている健康機能についての研究にも取り組み、その成果を『酢の力』として発信しています。

血圧は、未だ多くの人が悩み苦しんでいる健康課題であり、重要な社会課題です。『血圧で悩む人をゼロにする』という目標の実現は険しい道のりですが、PROTECT HEARTS PROJECTの理念に賛同いただいた企業の皆様と共に、この社会課題に本気で取り組み、生活者の皆様のより良い未来・社会の実現に向け活動していきたいと考えています」(株式会社Mizkan 代表取締役社長兼CEO 吉永智征氏)

〇森永乳業

2019年4月にヨーグルトで初となる、1つの商品で血圧、血糖値、中性脂肪の3つの機能性を表示した「森永トリプルヨーグルト」シリーズを発売。現在までの累計売上数量は3億個を突破している。

「森永乳業グループは、健康課題に配慮した商品開発を進めています。その中で、ビフィズス菌、ラクトフェリン、血圧ケアに関連するペプチドなど、当社が長年研究を続けている機能性素材が持つ有用性や可能性を探索してきました。健康寿命の延伸が取り組むべき課題となっている今、様々な企業が力をあわせて、より多くの人の健康で幸せな生活に貢献していきたいと思います」(森永乳業株式会社 代表取締役社長 大貫 陽一氏)

〇オムロン ヘルスケア

オムロン 上腕式血圧計 HEM-7600T-BK」は、本体とカフが一体化したチューブレスタイプの上腕式血圧計。本体に腕を通して装着し、測定ボタンを押すだけのスムーズな測定ができる。

カフは内部構造の改良により、腕に巻いたときに正しい位置からずれてしまっても正確に測定することができるので、装着の向きを気にせず、右腕、左腕のどちらの腕にも簡単に装着できる。

Bluetooth通信機能を搭載し、健康管理アプリ『OMRON connect』にデータを転送すると、測定した毎日の血圧データをグラフで確認できる。血圧管理に特化した「かんたん血圧日記」を使えば、朝晩の血圧値の傾向がひと目でわかり、服薬や飲酒などの行動も簡単に記録できる。

「1973年に家庭用血圧計の第一号機を発売して以来50余年にわたり、日本の高血圧治療に貢献してきました。血圧は心臓一拍ごとに異なり、その時の環境や体調、ストレスによって常に変化しています。血圧の管理は1回の測定結果に一喜一憂することなく、変動と個人ごとの変化の傾向を捉えることが大切です。

高血圧の予防と治療には、正しい知識と家庭での血圧測定と生活習慣の改善が重要です。高血圧に関する課題解決を目指す企業が力を合わせる今回の取り組みを通じて、一人でも多くの人が適正に血圧をコントロールできる社会の実現を目指していきます」(オムロン ヘルスケア株式会社 代表取締役社長 岡田 歩氏)

〇プリメディカ

LOX-index」は、脳梗塞・心筋梗塞の発症リスクを調べる血液検査。血液中で酸化した超悪玉コレステロール『酸化変性LDL(LAB)』と、それを血管壁に取り込み動脈硬化を進ませる『LOX-1』というたんぱく質の2項目を測定し、将来の脳梗塞や心筋梗塞の発症危険度を評価する。

2012年6月に提供を開始して以降、受検者数・受検可能な医療施設数共に増加しており、2024年4月末時点で累計受検者数は80万人を突破、同様の疾患リスク検査としては国内トップクラスの規模にまで成長している。

「高血圧は脳梗塞や心筋梗塞をはじめ、様々な疾患の発症リスクを高めてしまうことが知られています。一方で自覚症状が少ないため、定期健診等で指摘を受けても、多くの方が放置してしまっているのが実情です。

本取り組みを通じて、高血圧の危険性と予防の重要性を知っていただき、一人でも多くの方に自分の健康を守るためのアクションを取っていただけることを、予防医療事業を展開する一企業として心より願っております。

我々の提供する脳梗塞・心筋梗塞の発症リスク検査『LOX-index』も本取り組みを通じてより多くの方に知ってもらい、心血管疾患予防へ取り組むきっかけになりましたら幸いです」(株式会社プリメディカ 代表取締役 CEO 富永 朋氏)

〇新生堂薬局

ドラッグストアで活用されている、新星堂薬局のヘルスケアカウンセリングプラットフォーム「健康台帳」は、性別や年代だけでなく、健康診断の記録、アレルギー歴や疾患の既往歴などのカウンセリング内容、購入した医薬品や健康食品の購入履歴等を記録し蓄積。これらのデータを用いた、正しい顧客情報による、最適な商品の選択が可能となっている。

カウンセリング内容によっては、医薬品の販売ではなく、医療機関を受診することを推奨する受診勧奨機能も備えており、疾患の早期発見や重症化予防による健康寿命の延伸や社会保障費の抑制に寄与している。

「私たちは調剤薬局において、高血圧にお悩みの方と数多く接しており、ドラッグストアでは、カウンセリング時に治療を開始していない患者様も多くいます。高血圧のような慢性疾患では、服用期間の長期化やポリファーマシー(多剤服用)の問題も発生しやすく、食事や運動の制限なども含め、QOLの低下に繋がっていると感じられることが多くあります。

今回、健康に関する各領域のリーディングカンパニーの皆様とともに高血圧、心疾患などのリスクに対するアクションを行っていくことで、より多くの方のQOL向上に寄与できると考えております。また、調剤薬局とドラッグストアという日常生活に欠かせない場として、消費者と直接繋がれる立場だからこそ訴えられることがあると、本アライアンスに参加いたしました」(株式会社新生堂薬局 代表取締役社長 水田怜氏)

〇刀/イーメディカルジャパン

e-メディカル」は高血圧・脂質異常症をはじめとした慢性疾患に特化したオンライン診療サービス。初診から通院不要で、ビデオ通話とチャット機能を通じ 15分以内に完結。日本全国どこからでも利用可能で、オンライン診療は6~23時(土日祝も含)から相談可。

初診からオンラインでの診療によって通院しない便利さと、専用アプリと家庭血圧計を使った継続的な治療サポートにより、いつも繋がり見守られる安心を提供する。

「血圧対策の領域は、優れた対処方法はすでに存在するのにも関わらず、多くの方が治療を開始しない、始めても約半数が半年で治療中断をしてしまうという『高血圧パラドックス』を長年解決できていません。

オンライン診療サービス『e-メディカル』では、会員の約8割が未治療や未継続だった方で、会員継続率も約9割と、マーケティングを用いて消費者を深く理解、洞察することで、人をアクションに動かす変化を起こしています」(株式会社刀 代表取締役CEO 森岡毅氏)

【AJの読み】日本人のおよそ3人に1人!いまや「国民病」といえる高血圧

日本では高血圧患者が多く、約4300万人いると推定されており、日本人のおよそ3人に1人が高血圧という「国民病」となっている。

かくいう筆者も高血圧で、10年ぶりに行った健康診断で指摘され、今年から通院、服薬を開始した。自覚症状もなく、日々で不調を感じることもないので、忙しさにかまけて通院せずに服薬が途切れることもあったが、継続が重要とのことで調剤薬局からリマインドの電話が来て驚いた。

企業の枠を超えた「PROTECT HEARTS PROJECT」は、筆者のような血圧管理が不十分な『高血圧パラドックス』の患者に血圧ケアの重要性を啓蒙する取り組み。様々なタッチポイントで啓発アクションを行っていくとのことで、高血圧患者の気づきや行動変容へのきっかけとなって欲しい。

取材・文/阿部純子

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