自転車通勤や徒歩通勤は心身の健康を向上させる
自転車通勤は健康を大幅に改善し、あらゆる原因による死亡(全死亡)リスクを低減することが、新たな研究で明らかにされた。
自転車通勤をしている人では、していない人に比べて全死亡リスクが47%低いのみならず、心臓病、がん、精神疾患の発症リスクも低いことが示されたという。英グラスゴー大学MRC/CSO Social and Public Health Sciences UnitのCatherine Friel氏らによるこの研究結果は、「BMJ Public Health」に7月16日掲載された。
Friel氏らは、スコットランドの人口の約5%が参加した全国健康調査の参加者から抽出した8万2,297人(16~74歳)のデータを分析した。追跡期間は2001年から2018年までとし、この間のデータを入院、死亡、および治療薬処方の記録とリンクさせた。対象者を、学校や職場への通勤手段により、活動的な通勤者(自転車、または徒歩で通勤)と、それ以外の手段で通勤している非活動的な通勤者として分類し、両者間での健康リスクを比較した。
解析の結果、自転車通勤者では非活動的な通勤者と比べて、全死亡リスクが47%(ハザード比0.53、95%信頼区間0.38~0.73)、あらゆる原因による入院リスクが10%(同0.90、0.84~0.97)、心血管疾患(CVD)による入院リスクが24%(同0.76、0.64~0.91)、CVDの治療薬処方のリスクが30%(同0.70、0.63~0.78)、がんによる死亡リスクが51%(同0.49、0.30~0.82)、がんによる入院リスクが24%(同0.76、0.59~0.98)、精神疾患の治療薬処方のリスクが20%(同0.80、0.73~0.89)低いことが明らかになった。
ただし、自転車通勤者では、交通事故による入院リスクが非活動的な通勤者の2倍であった(同1.98、1.59~2.48)。研究グループは、「自転車通勤者は非活動的な通勤者に比べ、交通事故による死傷者のリスクが2倍であるというこの結果は、自転車利用者のためのより安全なインフラ整備の必要性を補強するものだ」と述べている。
一方、徒歩通勤者では非活動的な通勤者と比べて、入院リスクが9%(同0.91、0.88~0.93)、CVDによる入院リスクが10%(同0.90、0.84~0.96)、CVDの治療薬処方のリスクが10%(同0.90、0.87~093)、精神疾患の治療薬処方のリスクが7%(同0.93、0.90~0.97)低かった。
研究グループは、「この研究は、地域、国、国際的な政策立案者に、活動的な手段での通勤は健康にベネフィットをもたらすというタイムリーなエビデンスを提供するものだ」と結論付けている。
さらに研究グループは、「活動的な通勤は集団レベルで健康にベネフィットをもたらし、罹患率や死亡率も減少させる。また、自転車通勤や徒歩通勤がメンタルヘルス問題で薬を処方されるリスクの低下と関連していることは重要な発見だ」と述べている。(HealthDay News 2024年7月17日)
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Abstract/Full Text
https://bmjpublichealth.bmj.com/content/2/1/e001295
構成/DIME編集部