ファンが「広告主」となり、誕生日、ライブの開催、デビュー周年を祝うポスターを掲示する応援広告。権利元など各所への許諾がスムーズで、オンラインサイトで手軽に出稿できるのが、こちらのサービスだ。
『Cheering AD(チアリング アド)』とは?
アイドルや声優といった芸能人などの権利元への許諾確認や、交通広告を出すのは難しそう……、といったファンへ向けた、応援広告を手軽に出すことができるサービス。駅構内や電車内はもちろん、イベント会場付近や、海外へ広告を出すことも可能だ。
電車の場合、車内広告だけでなくラッピング電車を走らせることもできる。カフェを推し仕様にすることも可能。
出稿は初年度が5団体、昨年度は1002団体まで急増
推し活には、グッズの購入、イベント参加のような直接的に支援する活動と、多くの人に推しを知ってもらうことでファンを増やす間接的に支援する活動がある。後者の推し活をサポートするのが、駅や列車内などに応援広告を出すこのサービスだ。「著作権・肖像権が厳しい日本で、ファン、事務所&権利元、媒体社、みんなが安全・安心に応援広告を掲出できるスキームを作りました」
サービス開始は2022年だが、そこに至るまでの道のりは長かった。「社内で新規事業アイデアコンテストが開かれた際、韓国アイドル好きの仲間と『応援広告サービス』を考え応募したのですが不採用。『推し活』という言葉が今のように一般化する前だったため『ファンが自腹で広告を出すのか?』という意見が多かった。そこから時間をかけてファン心理を社内に理解してもらい、この事業が実現しました」(河原さん)
初年度は5団体だったが、広告を出す団体は右肩上がりに増え続け、2023年度は1002団体に。「誕生日やイベント開催のお祝いの広告が多いです。推しの出身地に広告を出すこともあります」(河原さん)
現在は、屋外看板、雑誌などにも展開するこのサービス。ファンが広告主となるシステムは、推し活ビジネスの新たな分野と言えるだろう。
ファンたちが掲出した応援広告の事例
推しの出身地でのライブのお祝いに
名古屋でのライブを祝う応援広告を名古屋の地下通路に掲示。写っている2人は名古屋出身のJO1メンバーだ。
推しの魅力を知ってほしい!
アニメの主題歌も多数担当する声優・石原夏織さんの広告は彼女の魅力をストレートに伝えるデザイン。
推しの周年祝いを広告で!
2・5次元アイドル「すとぷり」結成8年を祝う応援広告。都内の地下鉄の駅に掲示された。
「推しの魅力を伝える」応援広告は新たな推し活に※
ブルーレイやコミックを布教用として購入するアニメやマンガのファンのように、推し活をする人には「魅力を伝えたい」という思いを抱える人が多い。
※Cheering AD「推し活・応援広告調査2022」調べ
ジェイアール東日本企画
Cheering AD プロジェクトリーダー
河原千紘さん
一番の推しはSHINeeのテミンくんというK-POP好き。平均で月4回ほどK-POPのライブに出かけているという。立ち上げ当初からこのプロジェクトに関わる。
取材・文/渡辺雅史 撮影/佐々木和隆
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