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箱物行政より地元とファンがシンクロできる〝気持ちづくり〟を!聖地巡礼で成功する街の条件

2024.08.27

推し活の原点とも言われる、アニメ作品の舞台を訪ね歩く〝聖地巡礼〟。経済効果が高く、聖地を観光資源に活用する地域も増加している。ファン、地元双方にとって理想的な街づくりを、聖地巡礼のご意見番に聞いた。

地元とファンがシンクロできる人の気持ちづくりが大事です

境 真良さん経済産業省消費者政策研究官
iU(情報経営イノベーション専門職大学)准教授
境 真良さん
東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。情報処理推進機構・参事などを歴任し、2023年から現職。専門はエンタメ産業と情報産業のビジネスモデルと制度環境。ももクロのあーりん推しとしても知られる。

バージョンアップし続けるコンテンツツーリズムの今

「聖地巡礼(コンテンツツーリズム)というインパクトのある言葉が、アニメファンに意識されるようになったのは『らき☆すた』(2007年)、『ガールズ&パンツァー』(2012年)がきっかけです。その後は『千と千尋の神隠し』のように、聖地と噂される場所を巡る変種も登場し、より大衆化していきました。現地に出向き能動的に作品を応援するスタイルは、現在の推し活の原点ともいえます」と話すのは、聖地巡礼の動向に詳しい境真良さん。

『らき☆すた』から10年以上が経過した今、全国に聖地巡礼スポットが生まれ、巡礼マップの作成やイベント開催など、地域観光に作品を生かす動きも活発化している。

「街とファンの間にちょうどいい余白や距離を求める声があり、純粋に作品に描かれたスポットを探し歩き謎解きを楽しみたいというコアな古参ファンの中には、現在の上げ膳据え膳の歓迎に戸惑いを感じる人も多いと聞きます。一方で、アニメの大衆化で、ライトなファンも聖地を訪れるようになり、効率よくスポットを回れる巡礼マップや、関連イベントは喜ばれています。この2極化は今後も続きそうです」(境さん)

 聖地は経済効果も計り知れず、自治体によっては街づくりにアニメを活用しようとする動きも出てきているが、境さんは懐疑的に捉える。

「聖地巡礼には、作品の記憶の持続期間という問題に加え、質の低い作品に取り上げられても何の効果もないという問題があります。いい作品の舞台に選ばれることは確率論からもギャンブルに近い。それを当て込み都市計画を進めるのはどうかと思いますね。また『スラムダンク』の鎌倉高校前駅の踏切のように、オーバーツーリズムで地元住民の生活に支障がでる懸念もあります。聖地巡礼は、来訪者が快適に感じる街としてのあり方に本質があり、観光を重視するなら、行政主導の箱づくりより、〝人の気持ちづくり〟のほうが重い。例えば『ガルパン』の聖地、茨城県大洗町では、ファンは〝ガルパンさん〟と親しまれ、両者に一体感が生まれています」(境さん)

 その上で、聖地巡礼の導線を設計し旅行用プログラムとして作り直すなどの施策を提案する。

「おもしろいと思ったのは、『花咲くいろは』に登場した架空のお祭り「ぼんぼり祭り」を、舞台となった石川県の湯涌温泉が実際に始めてしまったというケース。物語と現実のシンクロ率が上がり、これはいいなと感じましたね」(境さん)

 地元にとって作品が大事な存在となり、ファンにとっては居心地のいい場所になる。聖地には、作品を軸として両者の間にいい循環が生まれる街づくりが望まれている。

『スラダン』『スラダン』の聖地として世界的に有名な江ノ電鎌倉高校前駅の踏切。記念撮影をするファンで人波は途絶えない。

『エヴァンゲリオン』箱根は、『エヴァンゲリオン』の第3新東京市という設定となったことからファンが集まった。

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