子育て支援政策の一環として、2024年10月分から児童手当が拡充されることになりました。
新制度に基づく児童手当を受給するためには、申請が必要となることもありますので、改正内容をチェックしておきましょう。
1. 【2024年10月分から】児童手当拡充の改正点
2024年10月分から、児童手当について以下の4点が改正されます。
(1)所得制限の撤廃
(2)支給期間の延長|高校生年代の子どもについても受給可能に
(3)第3子以降の支給額を3万円に増額
(4)支払月の増加|年3回から年6回に
1-1. 所得制限の撤廃
従来の児童手当制度では、所得制限が設けられていました。
所得が一定水準以上の方は特例給付(月額5,000円)の対象となって児童手当が減額され、さらに所得が高い方は児童手当を受給できませんでした。
今回の改正により、2024年10月分の児童手当から所得制限が撤廃され、所得にかかわらず児童手当を満額受給できるようになります。
1-2. 支給期間の延長|高校生年代の子どもについても受給可能に
従来の児童手当は、中学校修了までの児童が支給対象とされていました。今回の改正により、児童手当の支給期間が高校生年代まで延長されます。
1-3. 第3子以降の支給額を3万円に増額
今回の改正では、第3子以降の児童手当の支給額が3万円に増額されます。
なお新制度では、大学生年代の生計費などを負担している子どもについても、子どもの数にカウントできるものとされています。
たとえば20歳の長男の生計費を負担していて、他に高校生年代の二男と中学生の三男がいるとします。この場合は二男が第2子、三男が第3子として児童手当(=月額計4万円)を受給できます。
その後、長男の生計費を負担しなくなったか、または長男が22歳に達した年度(3月まで)が経過すると、長男は子どものカウントから外れます。この場合は二男が第1子、三男が第2子扱いとなります(児童手当の受給は高校生年代まで)。
1-4. 支払月の増加|年3回から年6回に
従来の児童制度は、2月・6月・10月の年3回支給されていました。
今回の改正により、児童手当は2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回支給されるようになります。新制度に基づく児童手当が最初に支給されるのは、2024年12月です。
2. 新制度に基づく児童手当を受給するための申請が必要となるケース
新制度に基づく児童手当を受給するための申請手続きは、以下の2パターンです。改正によって受給内容に変更が生じる方は、いずれかの申請を行う必要があります。
(1)認定請求
(2)監護相当・生計費の負担が分かる書類の提出
申請手続きの詳細については、お住まいの市区町村役場にご確認ください。また、児童手当の受給者が公務員である場合は、原則として勤務先に申請することになりますので、勤務先に手続きをご確認ください。
2-1. 認定請求
以下のいずれかに該当する方は、新たに児童手当を受給するための申請が必要です。
・所等上限超過等により、現在児童手当を受給していない方
・高校生年代の子どものみを養育している方
2-2. 監護相当・生計費の負担が分かる書類の提出
以下の要件すべてに該当する方は、大学生年代の子どもについて、監護相当・生計費の負担が分かる書類を提出する必要があります。
・高校生年代までの子どもを養育している
・現在児童手当を受給している
・大学生年代の子どもを養育している
・大学生年代の子どもを含めると、子どもの数が3人以上になる
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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