Hyundai Mobility Japan(以下Hyundai)は、日本市場のニーズに合わせた中型電気路線バス(EV)「ELEC CITY TOWN」を日本の正規販売店を通じて、2024年末から販売を開始すると発表した。
路線バス運行で求められている各種安全装置を標準装備
Hyundaiは日本市場で2009年から大型観光バス「Universe」を販売。近年は積極的にZEV(※)の開発を推進しており、2022年にはEVの「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」とFCEV(燃料電池自動車)の「NEXO(ネッソ)」を日本市場で発売。
また商用車部門でも、2017年に電気路線バスである「ELEC CITY」シリーズを韓国で発売するなど、アップデートを重ねながら電気バスのラインアップを拡充させている。
※ZEV(Zero Emission Vehicle):走行時に⼆酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCEV)の総称
そしてHyundaiは、2024年末に電気路線バスの「ELEC CITY」シリーズの中型バスに相当する「ELEC CITY TOWN」を日本で発売を開始する。韓国では環境対策としてEVやFCEVといった次世代バスの導入を積極的に進めており、2020年以降は急速に登録台数が増加し、街で次世代バスを目にする機会も増えきた。
地球温暖化対策としてCO2削減が世界的な課題となる中、日本でも公共交通機関を運営する自治体や事業者においてもさまざまな取り組みが求められている。
従来、バスはディーゼルエンジンが唯一の選択肢だったが、技術革新によりバス運行で求められる条件を満たせる電気路線バス「ELEC CITY TOWN」が開発された。
「ELEC CITY TOWN」は、乗客乗下車時の死角地帯の障害物を感知する「SEW-Near」機能、各種センサーで車両の挙動を測定し、モーターの出力・ブレーキを制御する事で悪天候や滑りやすい路面でも車両のコントロールを容易にする「VDC(車両安定装置)」など路線バス運行で求められている各種安全装置を標準装備としている。
そして昨今の2024年問題に対する取り組みとして、車両管理の省力化を実現するOBD2コネクタを介したテレマティクスサービスの導入準備、バス事業者様の車両故障や修理対応による稼働時間減少(ダウンタイム)への対策として現在販売中のHyundaiの大型観光バス「Universe」の部品同様に、国内翌日納品率95%以上を目指して初期部品在庫を準備している。
■ELEC CITY TOWN(エレク シティ タウン)主要諸元
※4 一充電走行可能距離:自社基準(定速60km/h)による測定
※5 自社基準(定速30km/h)による参考値
いわさきグループと世界⾃然遺産・屋久島での電気バス5台の販売基本合意書を締結
Hyundaiは2024年7⽉18⽇、岩崎産業(以下いわさきグループ)との間で、⿅児島熊⽑郡屋久島町(以下屋久島)での電気バス「ELEC CITY TOWN」5台の販売に関する基本合意書を締結した。
近年、地球温暖化対策としてCO2 削減が世界的な課題となる中、日本でも公共交通機関を運営する自治体や事業者においてもさまざまな取り組みが求められている。
現在の屋久島は、島全体で使われる総電力の99.6%を自然エネルギーである水力発電が担っており(残り 0.4%は災害時等のバックアップ用の火力発電等)、そのような中でいわさきグループは、「屋久島のゼロエミッション」化に尽力したいという強い想いを持っていたという。
そこで技術革新により公共交通機関のバス運行で求められる条件を満たした中型電気路線バス「ELEC CITY TOWN」を導入することで、身近なバス路線からCO2 削減に貢献。
さらに同社では、「世界自然遺産である屋久島の自然エネルギーを使い、島内の全てのバスとタクシーを近い将来に 全て ZEV 化(Zero Emission Vehicle)することで、『屋久島のゼロエミッション』の実現を目指してまいります」とコメントしている。
関連情報
https://www.hyundai.com/worldwide/en/
https://www.iwasaki-group.com/
構成/清水眞希