鋭い剣がヒュン!と空(くう)を切り、金属音を立ててぶつかり合う。戦うは白い剣士たち。そんな中世のヨーロッパを彷彿とさせるスポーツといえばフェンシング。2008年北京オリンピックでの太田雄貴選手の大活躍で脚光を浴び、前回の東京オリンピックでは男子団体戦で初の金メダルを獲得。ここ数年で人気がぐっと上昇している注目の競技のひとつだ。
陸上や球技などの花形競技はもちろんのこと、ややマイナーなスポーツに注目してこそのオリンピック。マイナーでなおかつ日本が強い競技のちょっとした裏側を知っていると、このスポーツの祭典が100倍楽しくなるというものだ。本記事では、フェンシングの日本とカナダの意外な関係についての「ちょっといい話」をお届けしたい。
日本は世界トップレベル。今大会でも大注目の競技のひとつ、フェンシング
フェンシングは第1回アテネ大会から実施されている競技
フェンシングは、オリンピックの近代競技としては1896年の第1回アテネ大会から実施されている。その起源は中世ヨーロッパの騎士や貴族の剣術とあって、どこか優雅で格調高い雰囲気が漂うスポーツだ。
一見、私たち日本人からは距離を感じるかもしれないが、実は日本のフェンシングは世界トップクラスの実力を誇る。特に近年では数々の国際大会で顕著な成果を収め、日本選手たちの緻密な動きと戦術は多くのファンを魅了している。同様に、中国や香港、シンガポールなど他のアジア圏の人にもフェンシング人気は高く、太平洋を渡ったカナダでも若きアジア人が多く活躍している。
オリンピックもハーバード大学も。文武両道の若きスーパーヒーロー
カナダ西海岸の大都市バンクーバー。今年4月、パリ・オリンピックに向けて最年少でカナダ代表入りを果たしたのが、当時17歳の高校生ニコラス・ジャン(Nicholas Zhang)選手。チーム・カナダの若きフェンサー(フェンシング選手)だ。
※年齢は代表決定戦当時。2024年7月現在は18歳で、高校を卒業
移民の国、カナダ。アジアにルーツを持つ優秀な人材がさまざまな分野で活躍している。ニコラス選手もそんなアジア系カナダ人
このニコラス選手、フェンシングで国を代表する存在となっただけでなく、アメリカの名門ハーバード大学への入学も決定しているという文武両道。おまけにイケメン高身長。なにごとにも熱意をもって取り組む努力家で人望厚く、性格のよさも周囲が認めるスーパー剣士。野球でいうと大谷翔平選手のような若くて爽やかなナイスガイとあって、注目を集めている。