直近のドル円相場の動きを振り返ると、2024年7月3日に1ドル=161円95銭水準をつけた後、7月11日発表の6月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことを機に、ドル安・円高方向へ急速に反転。
11日と12日に相場が一気に動いたことで、市場では、政府・日銀が2営業日連続で、約5.6兆円規模のドル売り・円買い介入を実施したとの見方が強まっている。
そんなドル円相場の今後について三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川 雅浩 氏によるリポートが到着しているので、概要をお伝えする。
ドル円の日足が一目均衡表の雲を下抜けた場合151円台までドル安・円高が進む可能性もある
7月16日配信の米ブルームバーグ・ビジネスウィークのインタビューで、トランプ前大統領はドル高を是正する意向を示し、また、河野太郎デジタル相は翌17日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、円安是正のため政策金利を引き上げるよう日銀に求めた。
これらの発言も材料視され、ドル円は7月18日に一時155円38銭までドル安・円高が進んだ。
ドル円相場が足元で急速にドル安・円高に振れたことで、テクニカル分析上、短期的にもう一段、ドル安・円高が進む可能性が高まりつつある。
ドル円は25日移動平均(昨日7月18日は159円55銭水準に位置)をすでに下抜け、75日移動平均線(同156円81銭水準に位置)辺りで揉み合う展開となっている。
また、一目均衡表では、日足が雲を下抜けるか否かに注目が集まっている。
ドル円がこの先、雲(先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域)の下限(昨日は155円49銭水準に位置)を大きく下回れば、転換線の基準線下抜けと遅行線の日足下抜けにより「三役逆転」が完成し、非常に強いドル売り・円買いシグナルと判断される。
この場合、5月3日安値の151円86銭水準や、200日移動平均線(昨日7月18日は151円40銭水準に位置)辺りを意識し、ドル安・円高が進むことも考えられる。
■一本調子のドル高・円安は収束か、ただ収支構造上、年度内140円水準の回帰は難しいだろう
なお、米国ではインフレの落ち着きを評価する複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官発言を受け、9月の米利下げ開始がほぼ織り込まれました。日米長期金利差は縮小しつつありますが、ドル円相場との乖離は依然大きい状況だ(図表1)。
この背景には、投機筋が円売りポジションを大幅に積み上げていることも影響していると思われ(図表2)、ポジション解消による円買いが進めば、乖離の縮小が見込まれる。
この先、米国の利下げと日本の追加利上げの時期が近づくにつれ、一本調子のドル高・円安は収束し、ドル円相場はドル安・円高方向に進んでいく公算は大きいとみている。
ただ、7月4日付レポートで解説した通り、近年、日本の収支構造の変化によって、円の需給は供給超過(円安要因)になりつつある模様で、よほど想定外の金融ショックなどが発生しない限り、ドル円が年度内に年初の140円水準まで戻るのは相当困難と考えられる。
構成/清水眞希