企業向け経済インフラ・プラットフォームである Stripe は、2024年7月18日に最新の決済トレンドや Stripeの取り組みについて紹介するカンファレンス「Stripe Tour Tokyo 2024」を開催。
グローバルおよび国内のエンタープライズ企業のニーズに対応する複数の決済機能を発表した。
本稿では、その概要を同社リリースをも元にお伝えしていく。
2023年にStripeで決済された取引高は世界のGDPの1%に相当する1兆ドル超に
本イベントでは、Stripe CRO アイリーン・オマーラ氏より、2023年にStripeで決済された取引高は、世界の GDPの1% に相当する1兆ドルを超え、100社を超える大手企業が、それぞれ年間10億ドル (約1500億円) 以上の決済をStripe上で処理したことが改めて公表された。
国内については、ストライプジャパン 代表取締役 平賀充氏より、2023年にStripeを利用した国内決済額が前年比55%以上増加したことや、ユーザー企業のグローバル化が進み、越境決済額も越境決済額も前年比 65% 以上増加。国内企業の約4社に1社が多国間での取引を実施していることなど、事業概況や決済トレンドが紹介された。
当日、オープニングキーノートに登壇したソニー・ホンダモビリティ株式会社 代表取締役社長兼 COO 川西泉氏は、次のように述べている。
「ソニー・ホンダモビリティは、モビリティサービスの拡充に向けて、柔軟性の高い顧客データ管理、決済システムを構築し、お客様との継続的な信頼関係を築くことを目指しています。Stripe は、各国における様々な決済手段や税金徴収対応、サブスクリプション課金、クレジットカードの不正使用対策などをシームレスでグローバルに展開されています。ソニー・ホンダモビリティはStripeが持つ多様な決済機能を通じ、信頼性の高いサービスを提供してまいります」
■決済プラットフォームのオープンエコシステム化を実現
Stripeは、他の決済サービスプロバイダー (PSP) との連携強化の一環として、Stripeの中核となる決済プラットフォームをオープンエコシステム化する。
今回提供を開始するVault & Forward APIにより、ユーザー企業は、Stripeだけでなく、複数の決済ネットワークや決済代行会社との接続を可能とするマルチプロセッシングが可能となる。
Vault & Forward APIを使用すると、カード情報をトークン化して StripeのPCI準拠のVaultに格納し、そのデータをサポートしている決済代行業者またはエンドポイントに振り分けることができる。
決済UIコンポーネントのPayment Elementが既に対応を開始しており、他のプロバイダーで支払いを処理する場合でも使用できる。今後、順次サブスク事業向けのStripe Billingや不正対策向けのStripe Radarでも、サードパーティーのプロセッサとシームレスに連携できるようになる予定だ。
また、今回発表された日本向けプロダクトおよび機能は以下のとおり。
主要な国内外の ID による本人確認を簡単に実施できるStripe Identity
マーケットプレイスや E-コマース、ソーシャルメディアなどのオンラインビジネスでは、多くの場合、年齢制限や「本人確認 (KYC)」のためにユーザーの身元確認を行なう必要がある。
また、2023年のクレジットカード不正利用の被害額は540億円までになっており、詐欺やアカウントの乗っ取り防止、悪質業者による不正防止のためにも、身分証明書の確認による信頼性と安全性の向上が急務となっている。
Stripe Identityを利用すると、信頼性の高い本人確認 (eKYC) 機能を迅速かつ簡単、安全に行なうことが可能になり、不正利用者からの攻撃を防ぎつつ、顧客の負荷を最小限に抑えることができるという。
<完全オンライン完結の簡単・便利なeKYC>
平均3秒以下で eKYC を完結。決済を含めてシームレスでスピーディなサービスの提供が可能に
<写真付き本人確認書類画像+自撮り(本人の容貌画像)に対応>
マイナンバーカードや書類から顔写真および米国で使用されるID 番号などの検証チェックを実施。AIを用いてユーザーの顔写真付き身分証明書に加え、自撮り写真を分析して、ユーザーの身元を確認。これにより、盗まれた身分証明書を使った不正も阻止することができる。
<適切な費用対効果>
月額費用なし、初期費用なしの従量課金で導入が可能
<低リスクで安心安全なセキュリティ&プライバシー>
本人確認書類の情報は暗号化の上 Stripeで保有。ユーザー側は自社で管理する必要がないため、情報漏洩リスクを低減
<Mastercardネットワークへの直接接続を開始>
Mastercardネットワークに直接接続することにより、Mastercardを利用した決済がより早く安全に実施されるようになった。また、今後 Mastercardで新機能の提供や機能アップデートがグローバルで実施された際も、タイムラグなく日本側でも使用できるようになる。
Visaやアメリカン・エキスプレスに続き主要な大手グローバルネットワークへの直接接続となり、ユーザー企業は、さらなる決済パフォーマンスの向上が見込める。
<クレジットカード決済の分割払いを順次導入>
クレジットカード決済における分割払いを導入して、分割払い (分割月数はカード発行会社により異なる)、リボ払いやボーナス払いの3つの支払い方法に対応。無料の機能で大きな導入作業も発生しない。
構成/清水眞希