7月16日、東京都内の都立高校で激辛ポテトチップスを食べた生徒14名が救急搬送されたと報じられた。
幸い、搬送された高校生たちに命に別状はないということだが、海外では激辛チップスを食べて死亡する事故も起こっており、改めて過度に辛さを追求した製品の危険性が浮き彫りになった形だ。
今回の激辛ポテトチップスの販売元のホームページに「18禁」など注意喚起をする文字が至るところに書かれているが、そもそも製品が〝辛すぎる〟という理由で、18歳未満に販売ができないなど、法的拘束力は生じるのだろうか。
「18歳未満は食べるの禁止!!」「成人向け」「18禁」……注意喚起の文字がズラリ
今回、高校生が食べて口や胃の痛み、吐き気などを訴えたのが茨城県にある磯山商事が製造販売する「18禁カレーチップス」だ。
※磯山商事ホームページより
同社のホームページを見ると、商品名の「18禁」をはじめ、「18歳未満は食べるの禁止!!」「成人向け」の文字が大きく書かれているのが分かる。
また、ホームページの中では「WARNING」としながら次のような警告文もある。
・18禁!辛すぎますので、18歳未満の方は食べないでください。
・高血圧、体調不良、胃腸の弱い方は絶対に食べないでください。
・手、指にキズのある方は素手では食べないでください。
このことを踏まえると、販売元である磯山商事としても最大限の注意喚起をしていることはうかがえる。
同時に気なるのが、こうした文言の法的拘束力だ。
世の中には、未成年の安全を守る目的でアルコールやたばこのように20歳未満の販売が禁止されており、20歳未満であると知りながら販売をすると販売者に罪に問われるものもある。
「18禁カレーチップス」は18禁をうたいながら高校生に販売をしたことになる。そこに何かしらの違法性はあるのだろか。
アディーレ法律事務所の長井健一弁護士は次のように解説をする。
「今回のホームページの記載に法的な拘束力はありません。また、商品自体の販売は違法ではなく、18歳未満に対する販売に違法性はありません。この商品を食べたことに対する体調不良について、製造会社が責任を負うことはなく、自己責任となります」
とはいえ、安易に子どもが激辛商品に手を出し大ごとになってからでは手遅れだ。
今回の一件を受け社会がどのような選択をするのか、その動向をしっかりと見守っていきたい。
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<取材協力>
長井健一
弁護士、アディーレ法律事務所所属。 『大下容子 ワイド!スクランブル』(テレビ朝日)、『グッド!モーニング』(テレビ朝日)など、メディア出演多数。
https://www.official.adire.jp/profile/nagai_kennichi/
取材・文/DIME編集部