巧緻性とはどのような性質を指すのか、よくわからない方もいるのではないでしょうか。手先や指先を上手に使う能力のことで、育児や教育で重要な要素とされています。本記事では、とくに巧緻性が必要となるビジネスの分野や高めるメリット、大人が鍛える方法を解説します。
目次
巧緻性(こうちせい)とは、手先や指先、体を上手に使う能力のことです。緻密な技術や手仕事、スポーツなどで必要とされます。
今回は、「巧緻性とは何か」、意味を深掘りながら、高めるメリットやトレーニング方法を解説していきます。
巧緻性とは?
そもそも巧緻性とはどんな言葉なのか、
■育児や教育で重視されている
巧緻性は、とくに育児や教育の現場で重視されている要素です。手や指の神経は脳と密接につながっており、手先を動かすと脳が刺激されるため、巧緻性を鍛えると子どもの成長・発達にプラスの影響を与えるとされています。
小学校の受験では、巧緻性を評価する試験も取り入れている学校もあるなど、巧緻性は子どもの能力を測る判断基準ともなっています。
■巧緻性が求められる分野
巧緻性は、日常生活のさまざまな動作に関連しています。手先を使う仕事に必要とされ、ものづくりなど製造の現場やアートの分野で高い成果が期待できるでしょう。
巧緻性が高いことは単に手先が器用というだけにとどまらず、ほかの学習へも意欲的に取り組むようになる傾向があります。巧緻性があることで、幅広い分野で活躍できる可能性が高まるといえるでしょう。
巧緻性を高めるメリット
巧緻性を高めることで、計算能力・集中力の向上や創造力が育成されるなど、さまざまなメリットがあります。
詳しくみていきましょう。
■計算能力・集中力が向上する
巧緻性が高まると、計算能力が向上するとされています。幼稚園の子どもを対象に、計算能力と手指の巧緻性に関する課題をいくつか実施した結果、巧緻性と計算能力との間には強い相関関係がみられたということです。
また、手先や指先をうまく使えることにより、手順を考えながら実行する考察力や行動力といった「考える力」が育まれます。
手先・指先を使って細かい作業を行うには、よく観察して指先に神経を集中させなければなりません。そのため、集中力も向上します。
■創造力を育成する
巧緻性が高いと手先を自分の思い通りに操れるため、さまざまなものを作り出す創造力が育成されます。指先の巧緻性が鍛えられることで脳が刺激され、アイデアも浮かびやすくなる点がメリットです。
手先が器用なことで、思い描くアイデアを実際に形にすることができます。細部にこだわったものを、作り出すこともできるでしょう。
創造力が育まれて新しいアイデアを生み出すことができれば、ビジネスにおいても新商品の開発など可能性が広がります。
■仕事への意欲が高まる
巧緻性が向上すれば作業をスムーズにこなせるようになり、より高度な仕事や学習に取り組む意欲が高まります。巧緻性が高いことで仕事の段取りも早く、手際よく進められるため、成果も上げやすいでしょう。
成果を上げれば周囲の評価も上がり、よりレベルアップに向けて学習をしようとする意欲が高まります。積極的に取り組むことで、生産性も上がるでしょう。
巧緻性を高める方法
巧緻性は、簡単なトレーニングで高めることができます。ここでは、巧緻性を高める2つのトレーニングを解説します。
■指回し体操
巧緻性を鍛えるために、簡単にできるのが指回し体操です。脳の働きと密接に関係しているとされる指を回すことで、脳の活性化ができるといわれています。
指回し体操のやり方は、次のとおりです。
1.半球を包み込むように両手の指先を合わせる
2.ふんわりとした円の形を作ること
3.親指から順に、互いの指がぶつからないようにくるくると回す
4.時計回りと反時計回り、各指20回以上行うこと(秒数では30秒)
円を包む形をキープしながら回すことが大切なポイントです。指がまっすぐにならないよう注意しましょう。
薬指が一番難しく、うまく回らない場合は各指で円をしっかり固定するようにしてください。薬指の支えとなる両隣の小指と、中指をしっかりと押し合うと安定します。
各指30秒ずつの指回し体操を行うだけで、計算力や読書速度が高まるとされています。使うのは10本の指のみで道具も場所も必要なく、いつでもできるのがメリットです。
最初は回しにくくても、繰り返すことで少しずつコツがつかめます。お風呂で回すのもおすすめで、体が温まって筋肉が柔らかくなるため滑らかに回せるでしょう。
■バランストレーニング
巧緻性は、バランス能力を鍛えるバランストレーニングでも養われます。バランストレーニングは脳や神経伝達系を活性化させるため、巧緻性の向上が期待できます。
いくつかのトレーニング方法をみていきましょう。
【方足立ち】
1.テーブルや椅子の背もたれなどに片手をついて立つ
2.床に足がつかない程度に片足を上げ、そのまま1分キープして下ろす
3.3セット繰り返し、反対側も同様に行う
慣れてきたら、支えにしているテーブルや椅子から手を離す・膝を高く上げるなど負荷を上げることで効果が高まります。
【プランク】
1.両肘を床につけて四つんばいの状態になる
2.両膝を伸ばし、頭からかかとまで一直線にする
3.姿勢を保ち、自然な呼吸を続けながら30秒間キープする
4.同じ動作を2〜3回繰り返す
慣れてきたら、キープの時間を伸ばしていきましょう。
【カーフ・レイズ】
1.両足を肩幅くらいに開き、背筋をまっすぐにして立つ
2.かかとをゆっくり限界まで上げ、1秒キープして床の近くまでかかとを下げる
3.同じ動作を繰り返し、10回3セットを目安に行う
重心は親指側に乗せ、目線はまっすぐ前を見ることがポイントです。
巧緻性は大人にとっても重要な能力
巧緻性は子どもの教育で取り上げられることの多い能力ですが、大人にとっても重要です。巧緻性が高いことで日常の動作や仕事がスムーズになり、集中力や創造力が養われます。仕事への意欲が高まり、パフォーマンスも向上するでしょう。
巧緻性は、簡単なトレーニングで鍛えることができます。仕事にも活かせるよう、巧緻性を高めましょう。
構成/須田 望