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「奈」は、とくに女の子の名前としてよく使われている漢字です。しかし、名前以外では使用される頻度が少ないため、どのような意味を持つ漢字なのかを確認しておきたい方も多いでしょう。
この記事では、「奈」という漢字にはどのような意味があるのか、由来や中国語での使い方を解説します。さらに、名付けで用いる際のイメージや実際の名前、使用する際のポイントも確認しておきましょう。
「奈」という漢字の意味とは?簡単に基礎知識を解説
「奈」という漢字の読み方で多いのは音読みの「な」です。たとえば、「奈良県(ならけん)」「神奈川県(かながわけん)」「奈落(ならく)」などで用いられます。
そのほかに、「奈」を音読みで「だい」「ない」、訓読みで「なに」「いかん」「いかんぞ」と読む場合もあります。また、「奈」という漢字の字画数は8画です。
それでははじめに、漢字自体の意味や「奈」の由来、中国語での「奈」の使い方を確認しておきましょう。
■漢字自体の意味は「どうして」など
「奈」という漢字自体の意味は、「いかん」「どうして」「どの」などがあります。つまり、「奈」という漢字は「疑問を表す言葉」なのです。
たとえば、「奈何(いかん)ぞ」「奈何(いかん)せん」などのフレーズで用いられます。
また、「梵語・外国語の音訳字」としても使われることがある漢字です。「奈落(ならく)」などは、外国語の音を日本語の漢字で表すために用いられました。
■「奈」の由来は「カラナシ」や「ベニリンゴ」?
「奈」は、もともとは「柰」と書いていました。「柰」は「木」という漢字に「示」という漢字を組み合わせたものです。
「大(木)」は大地をおおう大きい樹を表し、「示」は神事で使われる文字です。このことから、「神事に用いられる果樹」を意味するとされています。
「奈」という漢字が意味する果樹は「カラナシ」です。「カラナシ」とはバラ科のカリンの別名で、「唐梨」と漢字表記する場合もあります。以前は、「ベニリンゴ」を表す名称として用いられることもありました。
■中国語での「奈」の使い方
日本語では「奈良県」など以外で「奈」という漢字が使われることが少ないものの、中国語では文章の一部として用いられています。
たとえば、「奈何」はしばしば反語文に用いられます。「奈何」の意味は「いかんせん」「どうするのか」「どうしたものか」「なんともしようがない」です。また、昔の書き言葉である文語文では、「どうして(……するのか)」と、方法を問う反語文として用いる場合もあります。
文語文では、「奈……何」の形で「……をどうするか」「……をどうすることもできない」とも表現が可能です。この場合、「奈……何」の間には名詞か代名詞を入れます。
「奈」は名付けでよく使われる漢字
日本では、「奈」は文章のなかでというよりも名付けの際によく使われる漢字です。とくに、女の子の名前として高い人気があります。
それでは、名前に「奈」を用いる際の意味・イメージと、「奈」を用いた名前の例を女の子と男の子それぞれ解説します。あわせて、名前に「奈」を使う際のポイントも確認しておきましょう。
■名前に「奈」を用いる際の意味・イメージ
名前に「奈」を用いる際に込められている意味やイメージは、以下のとおりです。
<「カラナシ(カリン)」や「ベニリンゴ」といった果樹を表すことから>
……「豊かさ」「実り」「丈夫さ」など
<「カラナシ(カリン)」の花言葉から>
……「唯一の恋」「努力」「優雅」「豊かで美しい」「豊麗」「可能性がある」など
<古都として栄えた奈良のイメージから>
……「華美」「隆盛」「栄える」「華やか」など
これらの意味やイメージから、「実りのある豊かな人生になってほしい」「美しく華やかな人に育ってほしい」などの思いが込められています。
また、「奈」が疑問や反語を表すことから、「いろいろなことに興味を持ってほしい」「自分の気持ちを伝えられる人になってほしい」などの思いが込められている場合もあります。
■「奈」を用いた名前:女の子
実際に「奈」を用いた名前の例は、以下のとおりです。
・奈緒(なお)
・絵里奈(えりな)
・加奈(かな)
・奈月(なつき)
・杏奈(あんな)
・由奈(ゆな)
・奈穂(なほ)
・恵利奈 (えりな)
・芹奈 (せりな)
・奈々 (なな)
・里奈(りな)
「奈」は、添え字と止め字のどちらとしても使いやすい漢字だといわれています。響きがかわいらしく、一般的に使われている漢字であることなどの理由で人気です。また、字面が左右対称に近いこと、末広がりの字面に幸運のイメージがあることも、人気の理由だとされています。
■「奈」を用いた名前:男の子
「奈」という漢字は、男の子の名付けでも用いられています。「奈」を用いた男の子の名前の例は、以下のとおりです。
・瀬奈(せな)
・奈緒人(なおと)
・可奈汰(かなた)
・香奈斗 (かなと)
・奈津 (なつ)
また、以下のように「だい」と読む名前もあります。
・奈樹(だいき)
・奈哉 (だいや)
・奈一(だいち)
・公奈(こうだい)
■名前に「奈」を使う際のポイント
名前に「奈」を使う際は、以下のポイントに注意しましょう。
・読み方が難解になっていないか
・字画が多くなりすぎていないか
「な」と読む漢字を入れた名前は多いです。たとえば、「奈」のほかに「菜」「那」「南」などの漢字もよく名付けで用いられています。字画数なども考えて、その子に合った名付けをしましょう。
「奈」という文字そのものにマイナスなイメージはなく、強い意味もないため、名付けの際に使いやすい漢字だといえるでしょう。
なお、「奈落」に「奈」が用いられていることでマイナスなイメージを持つ方もいます。しかし、無理やり当て字しただけであるため、文字そのものにネガティブな意味はありません。
「奈」という漢字を正しく理解しよう
「奈」という漢字は、日本語では文章のなかで意味を伝える言葉として用いることがあまりありません。この機会に漢字自体の意味を正しく理解しておきましょう。
「奈」という漢字自体の意味は「どうして」などです。もともとは「カラナシ(カリン)」などの「神事に用いられる果樹」を意味していました。
現在では、子どもの名付けの際に人気の高い漢字として知られています。名付けの際は、意味や読み方の難易度、字画数などのポイントをおさえて、子どもに合った名前を考えましょう。
構成/chihaya