気温変動の大きい春、東京など関東南部を中心にスギ花粉のピークが2回
2024年春の花粉飛散の特徴は、2月上旬から中旬の記録的な暖かさの影響で飛散開始から本格飛散に至る期間が短かったことと、気温の変動が大きくなった影響でスギ花粉の飛散ピークが2回あったこと。
2月上旬から中旬は暖気の影響で、全国的に記録的な暖かさとなった。九州や静岡県では2月上旬からスギ花粉の飛散が始まり、中旬には九州から東北の各地で花粉シーズンに入っている。
九州から東海では平年並から平年より数日早く花粉シーズンを迎えたところが多く、北陸や東北太平洋側では平年より10日程度早く花粉シーズンを迎えた。
一方、関東地方では2月5日に大雪になったことが影響し、平年より花粉シーズンインが5日程度遅れた。2月中旬には記録的な暖かさの影響で飛散開始の直後から飛散量が急増。
九州~東北太平洋側の各地で飛散が本格化し、飛散開始から短期間(5日以内)で飛散が本格化したエリアが多くなった。
2月下旬から3月は断続的に強い寒気や低気圧などの影響を受けて気温の変動が大きくなったため、東日本・西日本のスギ花粉の飛散ピークは、場所によるばらつきも。
九州や静岡県など飛散開始が比較的早かった地域では2月下旬がスギ花粉のピークとなり、東日本・西日本の多くのエリアでは3月中旬に、関東南部や、東海から中国・四国地方の一部では2月下旬と3月中旬の2回、特にスギ花粉の飛散量が多くなっていた。
3月終わり頃から4月は、暖気の影響で記録的な暖かさとなる日が多くなった。気温上昇に伴って東北日本海側や北部ではスギ花粉の飛散ピークを迎えて、東日本・西日本の広い範囲でヒノキ花粉の飛散ピークとなった。
また、北海道でも4月中旬にシラカバ花粉の飛散が開始し、記録的な早さとなった。花粉の飛散期間はエリアによって差があったが、飛散開始が早く平年より飛散量が多い傾向が強い北海道や東北北部を中心に、飛散期間も平年より長くなっている。
飛散が多かった北海道や東北北部、東海でつらい人が増加
2024年の花粉症の症状のつらさについて、スマホアプリ「ウェザーニュース」のユーザーから寄せられた花粉症の症状報告を分析(※2)。その結果、花粉症の症状が「つらい」と感じた人の割合は全回答数の27%となり、昨年の23%よりも4ポイント増加していた。
地域別の結果を昨年と比較すると、北海道や東北北部、東海は昨年よりつらい割合が増加しており、特に北海道は22ポイント増と違いが顕著に。
これらの地域では、花粉の飛散量が平年・昨年を上回り、花粉症の症状を強く感じた人が多かったのではないかと考えられる。
西日本は花粉の飛散量が昨年・平年ともに大きく下回ったものの、つらい割合に大きな減少は見られなかった。飛散開始からすぐに飛散が本格化したことが影響した可能性が考えられる。
※2 症状がつらい人の割合:スマホアプリ「ウェザーニュース」の『花粉 Ch.』に 2024 年 2 月 1 日~ 5 月 31 日に 花粉症のユーザーから寄せられた症状報告(のべ127,299通)のうち、“非常につらい”“つらい”の回答を合計し、割合で表示。
つらい症状のピークも2回、シラカバ花粉の大量飛散で4月中旬以降もつらい割合が増加
花粉症の発症時期に関する調査(※3)では、「例年通り」と回答した人が48%と最も多く、次いで「早かった」が41%、「遅かった」が11%となった。
今年は気温の変動によって飛散量も大きく変動したため、花粉症の発症の時期も人によってばらつきが出やすかったのではないかと考えられる。
今年と昨年の症状報告の変化を比較すると、2つの特徴があった。
1つ目は、今年はピークが2月下旬と3月中旬の2回で、これはスギ花粉の飛散ピークと一致していること。
2つ目は、今年は昨年よりも4月中旬以降の「つらい」割合が高くなっていること。これは北海道での「つらい」割合が増えたことが影響しており、シラカバ花粉の飛散時期とも一致している。
全体を通してみると、今年は花粉症が出た時期にばらつきがあったものの、2月から「つらい」と感じる人の割合が昨年よりも多く、「つらい」割合が減少したのも4月下旬と遅めであった。花粉に敏感な人にとっては、「つらい」と感じる期間が長くなっているようだ。
※3 調査:スマホアプリ「ウェザーニュース」にて「今年の花粉症、症状が出た時期はどう?」と質問し(選択肢:“早かった”“例年通り”“遅かった”“花粉症ではない”)、“花粉症ではない”の回答を除いて集計(調査期間:2024年3月19日、回答数:9,256)。
関連情報
https://weathernews.jp/s/topics/202406/250195/
構成/Ara