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〝ちょうどいい〟から〝すごくいい〟に進化したホンダの新型「フリード クロスター」

2024.07.20

「ちょうどいい」から、ちょうどいいを継承しつつ「すっごくいい」コンパクトミニバンに仕上がったのが、新型ホンダ・フリードだ。

3代目となったフリードは、クリーンでシンプルなエアーと、クロスオーバーテイストを強め、エクステリア、インテリアともに異なる2列シートも用意した、全幅1720mmの3ナンバーとなったクロスターの2タイプがあり、ハイブリッドも先代の1モーター、i-DCDからホンダ最新の2モーターとなるe:HEVを搭載。クラス初のリヤクーラーを用意するなど、ライバルを驚愕させる新型となっている。

アウトドア、車中泊にもうってつけの2列シートモデル

新型フリード エアー

新型フリード クロスター

ここでは新型フリードe:HEV AIR EXのFF 3列シートモデルに続き、新型ではクロスターのみに用意される、アウトドア、車中泊にもうってつけの2列シートモデルのFFと4WDの試乗記をお届けする。

エクステリアのエアーとの違いは、SUVテイストあるシルバーのパネルを配した前後のデザイン、無塗装の樹脂製ホイールアーチプロテクターの装着が主で、そのホイールアーチプロテクターの出っ張りによって全幅が1720mmとなる。つまり、基本ボディのサイズは5ナンバーの全幅1695mmのエアーと変わらず、全長、全高、ミラー・トゥ・ミラー幅は同じ。エアーと車両感覚、運転のしやすさもまた同様だ。

が、エアーと大きく違うのが、テールゲートの開き方とラゲッジルームの仕立て。ラゲッジルームの開口部地上高はエアーFFの460mmに対して、クロスターのFFは地面スレスレのようにも感じる320mm(4WDは520mm。それでも低い)だ。それは、アウトドアから介護まで幅広く使えるスロープモデルと同時開発されたのがクロスターだからである。電動ウインチも付くスロープは、車椅子の乗降だけでなく、重い荷物を満載したアウトドア用キャリーカートの出し入れにも便利に使えるというわけだ。

大容量ハイトワゴンとも呼べる2段仕立てのラゲッジルームの寸法は、奥行が下段1000mm、上段885mm、幅1270mm、天井高下段1130mm、上段885mm(すべて実測値)。前席を前に出し、2列目席座面を持ち上げてダブルフォールダウンさせ、2列目席背もたれを前にフラットに倒し、ベルトで固定されていたラゲッジルームとの”渡し板”を後ろにスライドさせて隙間を埋め、フラットアレンジした時のフロア長は、大人が真っすぐに寝られる1840mmに達し、フロア後部下が大容量の物入になるから、アウトドアでの車内お座敷化、車中泊にぴったり。

ラゲッジルームは上下2段で使えるワイパブル仕様のユーティリティボードが標準装備(ライバルのシエンタはオプション)され、左右壁面には無数の穴が開いたマグネット対応のステンレス製ユーティリティサイドパネルが備わり、テールゲート内側には開けた際にランタンや濡れたアイテムなどを吊るせるユーティリティナットを用意。かなり本格なアウトドア仕様となっている。ちなみに、先に説明した全長1840mmのフラットスペースを作る際は、耐荷重200kgのユーティリティボードの上段を使用する。

ところで、エアーとクロスターのテールゲートが別物であることは一目瞭然だが、なんとクロスターのFFと4WDでもテールゲートは別仕立て。具体的には、ラゲッジルームの開口部地上高の違いから、FFはシルバーのガーニッシュの上から、4WDはガーニッシュの下からガバッと開くのである。つまり、新型フリードのテールゲートはエアーとクロスター2種類の3種類もあることになる。

インテリアの基本、インパネ、メーターなどはエアーと同じだが、ブラック1色となるインテリアカラー(エアーはグレージュとブラック)、そしてファブテクト素材を用いた撥水・撥油機能を持つシート地が異なる。エアーは標準のフルファブリックと、上級のエアーEX用のファブリック×合皮の2タイプがあるのに対して、モノグレードのクロスターは、ファブテクト素材のブラックのジャージ風ファブリック×合皮シートのみの組み合わせになる。なお、新型フリードで大きな話題、待望の装備となったリヤクーラー(冷房機能のみ)は、クロスターでは3列シート、6人乗りのみに装備。今回、試乗した2列シート、5人乗りには残念ながら装備されない・・・。

とはいえ、クロスターの後席はFF/4WDを問わず、240mmのスライド量を持ち、身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で頭上に210mm、膝周りに最大240mmものスぺースがあるからゆったりできる。

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