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モチーフは砂時計!飲み干すまでに3倍の時間がかかる飲酒グラス「ゆっくりビアグラス」はなぜ生まれた?

2024.07.21

モチーフは砂時計!飲み干すのに3倍の時間がかかる「ゆっくりビアグラス」

「ゆっくりビアグラス」は砂時計のような形状をしており、中央のくびれ部分は約6mmで、このくびれによって一度に出てくるビールの量が制限されるという仕組み。飲み干すのに通常より3倍ほど時間がかかる。

ヤッホーブルーイングが行った調査では、飲み過ぎてしまう理由の上位は「飲むペース」に関連しており、飲み過ぎてしまった経験のある人では、外食で約6割、自宅で約4割に上った。

「飲み過ぎてしまう理由の1位が『人と一緒に飲むとついつい飲むペースが上がってしまう』、3位が『すぐに飲み干してしまう』で、飲むペースが早くなるほど飲酒量も増えてしまう相関が見えてきました。

一方で飲酒量を減らしたいと思っている方も35%ほどいて、適正飲酒で心掛けていることの3位に『ゆっくり飲む』という回答がありました。

これらの調査から分かってきたのは、適正飲酒と、飲むスピードは非常に密接な結びつきがあるのではないかということ。ここから発想を得たのが、飲みづらいグラス『ゆっくりビアグラス』です」(ヤッホーブルーイング ゆっくりビアグラスプロモーション責任者 河津愛美氏)

モチーフとなったのは砂時計だが、この形は飲みづらいだけでなく、おいしさや香りを保つ役割も果たしている。

ビールとして味わいや香りを損ねないというところを重要視し、グラスの上の部分は通常のグラスと似た形をしており、エールビールの風味を堪能できる設計になっている。

飲みづらい機能として中央部分のくびれがあるが、くびれ部分の大きさを決めるのにかなり苦心したという。別の形も含め30種類ほど検討を進め、試作グラスを6種類製作。1mm単位でくびれを調整しながら、最適な飲みづらさのものをセレクトとして商品化した。

日本初のガラス専門の芸術・工芸・造形技術の教育機関「東京ガラス工芸研究所」との共同開発で、機械で作ることのできない形状のため、職人2名による手作業で製作された。

「飲みづらいグラス」のモニター調査では、93.8%が「飲みづらい」「まどろっこしい」と回答。「ゆっくり飲むからアルコールが回るのが遅く感じる、適正なのかも」「ちょびちょび飲み続けるので飲みすぎなくていい。少量で満足感を得られる」「ゆっくり飲めたのでいつもより味を感じることができた」といったコメントもあった。

肝臓外科医の尾形哲氏によると、ゆっくり飲むことの効用は大きく2つあるという。ひとつは身体面での効用で、ゆっくり飲むことで、肝臓がアルコールを処理する時間を確保でき、肝臓へのダメージを軽減できるということ。

ふたつめは心の健康として、ゆっくりとアルコールを楽しむことで、リラックス状態を維持でき、友人や家族との会話をより楽しめる。これは心身の健康にとって重要な要素で、日常生活の質を向上させる大きな要因になるという。

「ゆっくりビアグラス」は、公式ビアレストラン「YONA YONA BEER WORKS」新虎通り店で8月16日まで、中野区にあるビアバー「麦酒大学」で7月28日~8月3日まで体験できる。

公式サイト「よなよなの里」では、限定10個を抽選販売。8月16日まで応募可能で、価格は9800円。

「私たちはビールを中心としたエンターテイメント事業を提供していますので、適正飲酒も楽しくお客様と一緒に推進していきたいと考えています。

私たちが作っているのはすべてエールビールです。エールビールは温度が上がっても味や香りを一層楽しめるという特徴があります。つまり、ぬるくなってもおいしい、ゆっくり飲んでもおいしいビールです。エールビールを作っている我々だからこそ、あえて夏の暑い時期にゆっくり飲んで楽しく楽しむという、新しい提案ができればと考えています」(河津氏)

【AJの読み】無理やり飲もうとすると首が痛くなるのでゆっくりと楽しむしかない

「ゆっくりビアグラス」が入る容量は「よなよなエール」1缶分350ml。注ぐと「コポコポ」とした音を立てるのがかわいい。

実際に飲んでみると、上に入っている分はすんなりと飲めるが、くびれから下の部分はグラスを傾けてもなかなか液が出てこないので、早く飲みたくても飲めない状態。約6mmのくびれから液を効率よく出すには、頭を思いっきりそらしグラスを垂直に傾けなければならなかった。無理やり飲もうとすると首が痛くなるので、ゆっくりとちびちび飲むしかない。

「よなよなエール」の飲みごろ温度帯は13度。河津氏も話していたように、ぬるくなっても香りやおいしさが楽しめるエールビールが最適で、キンキンに冷やしてのどごしで楽しむタイプのビールには向いていない。

誰もが気になるのが洗い方だが……。「上の部分は普通にスポンジで洗えますが、くびれから下の部分は私たちもがいろいろと検証しました。その結果、試験管を洗う細いスポンジが一番洗いやすいという結論に達しました。ビール自体にはそこまでぬめりなどないので、洗剤を入れてシャカシャカっと振って洗うときれいになります」(河津氏)

今回は期間限定の飲食店体験と、10個のみの抽選販売だが、今後はユーザーの反応を見ながら、量産や体験できる場所を増やすことを検討しているという。

問題は真ん中のくびれが細いため折れやすく、現状では機械で製造することができないということ。「量産する場合は何かを強化したり、少し形を変えるといったところも検討しながら考えていきたい」(河津氏)という。

筆者はもともとクラフトビールしか飲まないので、単価が高い→1缶のビールを、時間をかけてゆっくり飲むというケチなパターンで、強制的にゆっくり飲ませるビアグラスは必要ないが、適正飲酒を考える上では面白いアイディアだと思う。ただし、短気な人には向いてなさそうだけど(笑)。

取材・文/阿部純子

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