アイドルや俳優、アニメのキャラクターはもちろん、今や食べ物、スポットといった文化そのものにまで対象が拡大している推し活。とはいえ、やはり主流なパターンといえば、〝異性の人物を推す構図〟だろう。
アイドルのライブ会場を訪れてみれば、その構図はわかりやすい。
AKB劇場の大半を埋めていたのは男性ファンで、STARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズ)に所属するグループのコンサートで熱視線を送りながらうちわを振る多くは女性ファンだ(もちろん、推し活の楽しみ方は多様に広がり、同性が同性を推すパターンも増えてはいる)。
また、推し活の熱量は人それぞれで、中にはガチ恋やリアコ(=リアルに恋していること)と呼ばれる、「推しのことが恋愛感情として好き」なパターンもある。とはいえ、推しは雲の上の存在。結局は地に足の着いた現実として、身近なところで恋人を作りながら推し活を楽しむ人も多いだろう。
恋人が「異性を推す」って正直アリ?
そこで気になるのが、世の恋人たちはパートナーの熱狂的な推し活をどう受け止めているのかという点。
本来なら嫉妬につながりそうな状況だが、令和のスタンダードはどうなのだろう。@DIMEでは368人の20~70代の男女を対象に、本音を聞いてみた。
■約7割が恋人の推し活を応援!
Q.恋人が異性のアイドルに対して推し活をするのはアリですか?
はい(68.8%)
いいえ(31.2%)
※有効回答数:368件
※調査期間:2024年7月9日~7月16日
※小数点第2位以下を四捨五入
約7割の人が、恋人が異性を推すことを肯定する結果に。推し活という言葉が根付いて早数年、プライベートな感情とは切り離して考えられる人が多いようだ。具体的な声としては、こんな主張が見られた。
・「好きな人には好きなものを好きと言ってほしいから」(24歳/男性)
・「自分の推しの大半は男性なので相手側だけナシというのは不公平だと思いました」(41歳/女性)
・「その推し活をする人のことが好きになって付き合っているからです。やめてほしければその方と付き合うのをやめたらいい」(47歳/男性)
■ただし、許容できるのは「条件つきの推し活」?
とはいえ、回答をよく読み込んでみると、恋人の推し活を肯定しながらも〝条件つき〟であるとする意見が多数だった。
・「自分をないがしろにするほど夢中になっているなら問題があるが、そうでなければ口をはさむことではないので」(58歳/男性)
・「推し方にもいろんな方針があるが、本気のガチ恋勢でなければ何の問題もない」(43歳/性別不明)
・「リアルでは手が届かないから何とも感じない。楽しみがあっていいと思う」(44歳/女性)
その条件とはつまり、夢と現実の区別がついていること。
それを混同して恋人そっちのけになったり、本気になりすぎてしまったりすることには誰しも懸念があるようだ。
恋人には好きなことを自由に追求してほしいと思いつつ、自分が最優先であってほしい気持ちもわからなくはない。
なぜ人は推したくなるのか?
プライベートで大事にしたい相手がいても、推しを思う気持ちも止められない。「デザートは別腹」とはよく言ったもので、そのマインドは推し活にも当てはまる。
では、なぜ人はここまでして推したがるのか。
心理学的にひも解くと、推し活には「プロジェクション」という心の働きがあるのだそう。これは、自分が作り出した意味を世界に映し出し、物理世界と心理世界を重ね合わせる心の動きのことを指す。
具体的には、価値がないものに対して「推しと関連するもの」と思うことで、それが自分の中で特別なものに変化する。例えば、推しカラーがイメージしやすい。今までどうでもよかった色が、推しカラーだと思った途端に特別に思えて、やけに目につくようになる〝あの現象〟だ。
このように、推し活は「自ら世界を意味づけて生きていく力」に繋がるのだ。言い換えれば、それってつまり「生きる原動力」である。
これについては、現在発売中のDIME最新号でさらに詳しく解説しているので、ぜひ読んでみてほしい。
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文/DIME編集部