猫の習性を生かした爪切り補助具を利用する方法も
猫が嫌がって暴れると爪切りができないため、「猫をタオルでくるんで足先だけを出す」「洗濯ネットに入れる」などの情報が巷にはあふれています。
それでも難しいため、「ネコネットみのむし袋」(発売元chao shu)や「猫拘束用ハンモック」(発売元LIKENNY)など、爪切りの時の猫の動きを抑止する専用グッズが数多く販売されています。
また「爪切りの時の猫の動きを抑止する」のとは違うアプローチで開発された商品もあります。そのひとつが、目隠しをするとおとなしくなる猫の習性を生かした猫の爪切り補助具「もふもふマスク」(発売元:クロス・クローバー・ジャパン/ブランド名:nekozukiねこずき)。2015年の発売以来、累計で3万枚以上も売れているとか。
猫用品のオリジナルブランド「nekozuki」を展開する盛岡市のクロス・クローバー・ジャパンが販売している猫の爪切り補助具「もふもふマスク」(税込み2640円)。2020年度グッドデザイン賞を受賞
装着した写真を見るとちょっとびっくりしますが、そもそも爪は猫にとって、敵と戦うための大事な武器であり、そこに触られるのは飼い主であっても嫌なもの。でも猫は目を覆って視界が遮られると、自分が相手に見えないところに隠れていると錯覚するため、安心しておとなしくなります。その習性を利用したのだそうです。
面ファスナー(マジックテープ)で簡単に着脱でき、猫の目元をすっぽりと覆うので、リラックスしている間に爪切りができる
開発のきっかけは、爪切りが大嫌いな猫の飼い主からの訴え。爪切りをしようとすると噛まれるため、できないでいるうちに肉球に爪が入り込み、動物病院に連れて行くもやはり大暴れ。麻酔をかけてやっと爪切りを終えたそうで「これからも一生、爪切りの度に麻酔を使うのかと思うと体の負担が心配」という声を聞き、猫にストレスを与えることなく爪切りができる補助グッズを研究したそうです。猫好き社員がアイディアを出し合い、実際に自分が猫になったつもりで使用してみるなどの研究を重ね、1年がかりで完成させた製品だとか。
使用者からは「全く別猫のように大人しくなり、爪切りがスイスイ進みました」という声もあれば、「付けるのを嫌がったので、家族の衣類といっしょに洗濯をして家族の臭いをつけたら大丈夫だった」「いつもそばに置いて慣れさせたら、楽に着けることができた」などの声が。
「猫目線で、猫に負担やストレスをかけない良い方法はないか、猫の本能や習性を活用できないかと考えて、弊社の猫社員たちにも協力してもらい開発しました。この取り組みを通し、定期的な爪切りが習慣になることを願っています」(クロス・クローバー・ジャパン代表の太野由佳子氏)
クロス・クローバー・ジャパンが「猫ひっかき病」の啓発を兼ねて2024年7月1日から募集を開始している「楽しく爪切りチャレンジ選手権」にエントリーしている猫たち
「猫ひっかき病」感染防止に必要な5つのこと
爪切り以外にも、猫ひっかき病を予防するためには、以下のことに注意する必要があります。これからの季節、猫と暮らす方はぜひ心がけておいてください。
1) ノミとの接触を防ぐために、完全室内飼いにする。
2) 定期的なノミの駆除の実施
3) 傷がある箇所を猫に舐めさせる、食べ物を口移しで与えるなど、猫との過度で濃密な接触を避ける
4) 猫にひっかかれたら、速やかに傷口を洗って消毒をする
5) 猫に引っかかれた後でリンパ節が腫れたり、微熱が続いたりして診察を受ける場合には、お医者さんに猫に引っかかれたことを伝える
取材・文/桑原恵美子
参考資料/愛知県衛生研究所 生物学部 「猫ひっかき病」
取材協力/クロス・クローバー・ジャパン